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能『安宅』…♪

2022-09-26 10:24:07 | Weblog
昨夜はNHK Eテレで観世流の能『安宅』を観ました
頼朝に追われた源義経一行が奥州目指して落ち行く途次さしかかった安宅の関での顛末。
山伏に身をやつし武蔵坊弁慶に率いられた一行12人、その中に義経もいます。
安宅の関では鎌倉からの命で山伏には厳しい詮議の目が向けられていて、どうすれば関を越えられるか苦慮した弁慶は義経に合力の恰好をさせて、云々とまぁよく知られたストーリーです。
弁慶を演じるシテの観世銕之丞さんの朗々と響く声、山伏たちのピタリと揃った声、義経役の子方の張りのある声、一言一句が明晰に聴きとれる。
こりゃ、字幕はいらないけどな
って、滑舌が良いってこういうことよね、って改めて思いましたね。
また、歩き方の緩急によって情景の変化を表現したり、歩く方向に変化をもたせることで距離を表現したりと、実際には三間四方の本舞台と橋掛かりという限られた狭い空間なのに、描かれている場の大きさが感じられました。
『安宅』、言わずと知れた歌舞伎の『勧進帳』の元になっている能です。
テレビ画面に目を向けていながら頭の中には故中村吉右衛門丈の弁慶が浮かんでいました、吉右衛門丈の弁慶に対して幸四郎(現二代目白鷗)丈の富樫が。
能の『安宅』と歌舞伎の『勧進帳』の違いは華やかさや躍動感のあるなしではなく、歌舞伎は強調して演じ眼前で見せてくれるのに対して能は見る人の想像力に働きかける、ってことではないかな。
🎶旅の衣は鈴懸けのぉ~ 旅の衣は鈴懸けのぉ~🎶
うん、佳いものを観ました
コメント
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