WIND AND SOUND

日々雑感 季節の風と音… by TAKAMI

少年の心の「魔」 3

2007-06-10 | 教育ママ日記

先日、PTAの役員会で、校長先生が挨拶し、その後、新年度初めての会だったこともあり、全員が自己紹介をしました。そのときに、ひとりのお母さんが、自己紹介がてら、校長先生に質問をしました。
「時々、近所で、とっくに学校の授業が始まっている時間に、小学生が飴をなめながらひとりで登校していたり、中学生が公園で煙草を喫っているところに出くわすことがあります。どうしていいかわからず黙って見過ごしてしまうのですが、こんな時には、どうしたらいいのでしょうか。」

「まず、『おはよう』と声をかけてあげてください」

校長先生は、まず、お母さんの、地域の子供に向けられた心に感謝を述べてから、このように即答されました。
私は、一瞬でこの校長先生を、ますます大好きになりました。
(以前からいい人だ~~と思っていたのよ)

どこの地域でもそうだと思うけれど、うちの校区でもかなり挨拶運動に力を入れています。親はもちろん、地域ぐるみであいさつ運動を推進しましょうというもの。子供達は、よく挨拶をしてくれます。Takも、エレベーターやマンションの敷地内で会った人には、進んで挨拶をしているし、通学途中でも、小学生と中学生が、すれ違いざまに挨拶をする微笑ましい姿も見られるとか。ちゃんと地域に浸透しているんだな、それも子供達から広がって…と、感心しています。
この挨拶運動、ひとことで清清しい気分になれる即効性ももちろんですが、本当に子供たちの心に実を結ぶのは、きっと、ずっと経ってからなのでは。
挨拶は、いわば「種蒔き」だと思います。

この校長先生だったら、あの少年にどう接しただろうな。

「かわいそうだから生き物に乱暴はやめなさい」
と言わなくても、自分から近づいてきた子供と一緒に座ってのんびり話をしたり、遊んだりすれば、彼はその間、「乱暴」はしないのです。とても簡単なこと。
千切れて散乱した蔓も、いろんな話をしながら、一緒にすぐそこのゴミ箱に捨てにいけばよかった。私は、Takと同世代のこの少年に「自分でやらせなくちゃ」と思ってしまったけど、ここでひと呼吸おいて、地域のおばちゃんの立場になれば、自分の子育てに対しても立ち止まって、深呼吸することができるってもんです。

親は近視眼的になるのが当たり前。その場で不都合なことをしたら、「ダメ」と叱ってやめさせるのは当たり前。いろいろ理想はありますが、「この場合しょうがない」ってのがあるのも現実。
「ダメ」といえば、たいていの子供はその場で止める。でも、これは対処療法。
「魔」を摘み取るのではなく、種を蒔く。水をやる。それがぐんぐん育っていけば、「魔」は、自ずと消えて失くなる。だってそれは、もともと恐れや孤独や不安の心がつくった「幻」。
そういう接し方は、親じゃないほうが、簡単にできることなのかも。
「役割分担」というのがあるんだな。親には親、家族には家族、地域には地域の。

「この子の親はどんな育て方をしているのだろう」と、他人の子供を心で突き放し、親を心で非難するのはやめましょう。

親には難しいけど、他人には容易い子供の見守り方、接し方ってのがあると思う。
通りすがりの人の一言が、一生心に残るということもある。親だけが子供を育てているのではないのです。
実際に私は、Takを育てることについて、どれだけ周囲の友達や、保育園や学校の関係者の方々にお世話になってきたことでしょうか。
「母子家庭」ということで、私は、偏見よりもむしろ理解やあたたかい眼差しや協力を、どれだけいただいてきたかわかりません。
Takは、ほんとうにたくさんの人に育てていただいていると思っています。

子供達との出会いも一期一会。

あの少年との出会いも私にとっては、いろんなことを考えさせられた、忘れられない出会いでした。
子供だってたくさん出会いのひとつひとつを憶えてはいなくても、暖かい出会いやふれあいが心の栄養になって成長していくに違いないのです。
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5 Comments

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Unknown (Unknown)
2007-06-10 22:54:00
 >子供達との出会いも一期一会
すばらしいです。…
TAKAMIさんの意見に賛成です。
えみりんも仕事柄、色んな家庭や児童をみておりますが
『あいさつ』が一番です。
喧嘩しかけるほうも、される方にも原因があるのです。
かまって欲しくて、振り向いて欲しくてしている場合があります。

じわっと少年の横に座っているだけでも
心の氷は解けてゆくと思います。
なかなかむつかしいことです。

『子育て支援』が叫ばれだしていますが
本当は親がするべきことを、お金で解決しようとする
風潮があるようです。
育児放棄と同じことです。
この仕事をしていて、常に思うことです。

子供を見てあげてと…話を聴いてあげて
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Unknown (ikehirochan2)
2007-06-11 09:49:49
『魔』を摘み取るのではなく、種を蒔く、水をやる。
まさしくそうですね。
「ダメ」というのは簡単だけど、それでは根本的に解決しないもの。
地域の中で年に1、2回、朝の登校時に「みどりのおばさん」してますが、
「おはようございます!」自ら挨拶をする子、
「おはよう」こちらから声をかけてもじろっと見るだけで無言で通り過ぎる子、
いろいろです。
「おはよう」の挨拶ひとつでその日一日の始まりが気持ちよく迎えられるのになぁ。
と、思いつつ、
いろんな事件があって、一時期「知らない人とは口を利かないように」と、学校でも指導することがありましたね。
人との関わり方がとても難しくなった今日。
こういう時代に知らない子と接触を持つということの難しさは、昔の比ではないと思います。
『種蒔き』『水やり』を家庭のみならず学校でも地域でも全体で出来るといいんだけど・・・。
乾いた子供の心に注ぐ水は、その子に寄り添う気持ち『愛』しかないのかなぁ。


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Unknown (TAKAMI)
2007-06-11 21:25:25
♪えみりんさん
教育関係者、子育て大先輩が大勢いらっしゃる中で、今回のテーマを自分の言葉で書くのには、かなり勇気がいりました。
共感いただいてホッとしています。
「本当は親がするべきことをお金で解決しようとする」
これは、社会の問題でもあると思うのですが、
私も本当に同感です。だからTAKAMI家は貧乏なのです。きっぱり!
塾にいくお金や、大半の子供がしているから…という理由だけでやらせる習い事のためのお金は要りません。
私は、Takと向き合う時間や、自分の心のゆとりを確保するために、本当に必要な収入を得るためにしか働いていません。
もっと仕事をすることはできるけれど、「ゆとり」「遊び」の部分がなくなると、絶対にどこかにしわ寄せがくると思うのです。
親子の関係、健康、Takの情緒面…などなど。
「ゆとり」って、お金のことじゃないんですよね。
ギリギリの生活をしているからこそ大切なものが見えるというのもあります。
「Takと美ヶ原に行きたい」という目的があって、そのためにならちょっと頑張って働く。
仕事をするということは、私にとってはそういうことです。
ちょっとテーマからそれちゃいましたが、ほんとの豊かさって、なんでもお金で解決できることとは全然違いますよね!

♪ikehirochan2さん
「ダメ」「ダメ」「ダメ」 ああしなさい、こうしなさい!!
…と、実は私、、、言ってます(-_-;)
それがつい、この公園の少年に向かって同じことを言ってしまったというワケです。
Takの学校でも、あいさつ運動を推進しつつ、一方では、「不審者が侵入した」ことを想定しての避難訓練?もやっているようなのです。
Takは、その避難訓練の感想文の中に、「日ごろから、近所の人に挨拶することが大切だと思った」というようなことを書いていました。
「知らない人とは口を聞かないように」とは、正反対のことです。難しいですね。
それに、「種まき」「水やり」と言うのは簡単だけれど、「愛」を伝えることもまた難しいと思います。
大人同士でもなかなか素直に伝えあうことができないですもんね。
完全な大人なんてほんとにいませんから。
私たちは、その自分の不完全を自覚しつつ、なるべく素直に人とかかわっていかなくてはいけないですね。
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考えちゃって (おゆき)
2007-06-13 06:28:16
1から読んでいて考えちゃって書き込み出来ませんでした。
自分は今 周りの子に対してどんな態度をしてたか・・
昔は地域が子を育てて良かったなどと言っていながら
自分はちゃんと声をかけていたか・・自信ないな。。
そうね、まずは挨拶から・・・
マンション内と園までの送迎、園内では実行してるけど
ちょっと外になるとしてないわ。
やってみよう。

良い校長先生みたいで良かったね。
まずはトップがまともじゃないとね・・
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Unknown (TAKAMI)
2007-06-13 08:39:52
♪おゆき
一緒に考えてくれてありがとう。
人の顔をおぼえるのが超苦手な私ですが、
あの子の顔は忘れられません。
きっと寂しくて、遊び相手が欲しかった子供を、
私は結果的にとっても冷たく突き放してしまったんだなあ、、と思うと、ホント自分が情けないわ。
逆に彼は、私に、こうやって考えるきっかけをくれたのよね…
校長先生、なかなかお茶目で、親近感の持てるタイプなのよ♪
しかも、運動会で子供達の演技に涙するような人だし、心の優しい、いい人です(*^_^*)
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