ペンギンの憂鬱

日々のうだうだ~読書と映画と酒と料理~

偶然の祝福/小川洋子

2011-11-22 | 読書
つづきましてぇ~は~。
またまた小川洋子

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お手伝いのキリコさんは私のなくしものを取り戻す名人だった。
それも息を荒らげず、恩着せがましくもなくすっと―。
伯母は、実に従順で正統的な失踪者になった。
前ぶれもなく理由もなくきっぱりと―。
リコーダー、万年筆、弟、伯母、そして恋人―失ったものへの愛と祈りが
哀しみを貫き、偶然の幸せを連れてきた。
息子と犬のアポロと暮らす私の孤独な日々に。
美しく、切なく運命のからくりが響き合う傑作連作小説。
(「BOOK」データベースより)
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ひじょーーーーーに良い
すごく面白かった。

ただしこれは、小川洋子の他作品をいくつか読んでからでないと
面白みが少し減ってしまうような仕掛けです。
読んでなくてもストーリーに何の支障もありませんが、
読んでいると、更に深みが増す、ということです

~川上弘美・解説より一部抜粋~
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失われたものたちの世界、と私は小川洋子の世界を呼んでいる。
失われたもののなすすべのない哀しみが、どの小説でも
硬質な筆致で描かれている。
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そう。儚く美しい表現がすばらしいのです

本作は、短編の連作という、彼女にはあまり無いタイプの
短編小説でしたが、構成も素晴らしい。
一度、全部の短編を読んで、もう一度、自分なりに組み立てながら
再読するとまた違った味も出てきます。

私は自分が犬を飼っているので
『涙腺水晶結石症』はかなりグッときましたが、
意外に『エーデルワイス』も好きでした。
101回目のプロポーズみたいな雰囲気もあり

さてさて、また小川洋子の波が来たかな。