
不比等は、皇位を巡る争いで血で塗られた歴史を繰り返さぬよう、大宝律令を実施し養老律令を制定し律令体制の整備に努め、平城京を造り栄えさせたにも関わらず、首皇子(おびとのみこ=後の聖武天皇)にすら藤原氏の繁栄しか考えてないと映ります。結果的には長屋王の変を機に蘇我一族は滅びてしまいますが、その怨念が疫病という形で災いをもたらしました。疫病の都への侵入を防ぐため、八衢比古(やちまたひこ)八衢比売(ひめ)久那斗の三神を祀りましたが、久那斗神は今でも道祖神として集落の入口や道路の分岐点で睨みをきかせています。そう考えるとよく千四百年もの時を経て継承されてるものだと、感心せざるを得ません。
結びとしては聖武天皇のお言葉にもある通り、「自らの弱さを知り、ひとの心がわかる」「苦しみを分かち合い、喜びをともにしたい」というのが人としてのあるべき姿かなと思います。系譜にややこしい点がありますが、日本人のルーツを知る上でもぜひ読んでおきたい一冊です。