その蜩の塒

徒然なるままに日暮し、されど物欲は捨てられず、そのホコタテと闘う遊行日記。ある意味めんどくさいブログ。

『山女日記』

2015年12月11日 | 本・雑誌
 録画してたBSNHK百名山を観てたら、湊かなえが出ててこの本を宣伝!?してたので読んでみました。それより、顔が普通過ぎてびっくりしました。小説の方は、一人称作家面目躍如といったところでしょうか、主人公がくるくる替わり読みにくいったらありゃしない。自問自答が多い上、昔と現在がごっちゃに。主人公が替わるということは、当然登山経験の設定も変わってくるわけでしょ。ところが読み終わってみるとそうでもない、という不思議な小説でした。もっとも山岳小説のジャンルには当てはまらないと思いますけど。。

妙高山…主人公;江藤律子。丸福デパートの同期芝田由美と登る。職場結婚で悩む律子と不倫の由美。
火打山…主人公;老人ホームの事務員美津子。合コンで知り合った神崎秀則と登る。トンガリロで神崎美津子として再登場。
槍ヶ岳…牧野しのぶ単独行。身勝手な年配女性木村に翻弄される。
利尻山…主人公;宮川希美。医師の夫を持つ姉と登る。姉が夫に離婚を切り出されてることが判明。
白馬岳…主人公;宮川希美。姉とその子ども(小学生)七花と登る。姉が夫から目玉焼きの写メをもらったことからすると、離婚はないのでは!?と想像させる内容。
金時山…主人公;丸福デパートの梅本舞。恋人の大輔と登る。
トンガリロ…主人公;旅行代理店をやめて帽子屋さんになった立花柚月。宮川希美の大学時代の友人でもある。恋人だった吉田との旅行とツアー旅行がかぶり分かりづらいかも。ツアーの方は、牧野しのぶと牧野と大学の山岳部で一緒だった郵便局員の太田永久子、それに神崎夫妻。

登ったことのある山は、それぞれのポイントをトレースしながら読めてより面白かったです。火打山と金時山では、最初はカッコつけてても徐々にバケの皮が剥がれていく過程が、面白いというより切なかったですね。単独行、恋人と、女2人で、家族で、最後はグループトレッキングと色んな形態の登山が出てきました。夢や理想と現実の狭間で悩んだりと、それぞれ悩みを抱えながらも自問自答し、山頂で一応の結論が出たとみていいと思います。トンガリロの吉田は海外へ飛躍すると思いきやとんだ食わせ者だったわけで、ハッピーエンドを期待した読者は裏切られた形ですが、帽子屋としての矜持はしっかりと主張したエンディングだったのではと思います。

山に色々抱えて持っていくと精神的なゴミで山が汚れますから、頭をカラにして登るのが一番いいのでは。

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