その蜩の塒

徒然なるままに日暮し、されど物欲は捨てられず、そのホコタテと闘う遊行日記。ある意味めんどくさいブログ。

『天の梯』

2014年11月03日 | 本・雑誌
 まだ3巻読んでないんですが、待ちきれずに最終巻を読んでしまいました。つる家から独立し、一人暮らししてひとつ百六十文の鼈甲珠を毎日三十個ずつ翁屋に卸し、その仕込んだあとの床で粕漬けを二十文で売ってるものの、四千両にはほど遠く埒が明かない状態。そんな中、ふきのミスで菊花と蕪の酢の物が盛られた絵皿から毒が滲みて、源斉の母かず枝が一時重体になったり、政吉の自然薯料理でつる家が張出大関になるも、話が一向に核心に入りません。残りページ数を勘定しながら読み進むと、今度は酪(バター)製造疑惑で一柳が危機に。結局その事が原因で登龍楼は廃業することになりますが、店主の采女宗馬が逃げのびてしまったのは、何とも解せません。

 それからの話の展開は、摂津屋を巻き込んだ四千両の算段、源斉との夫婦の契り、野江の身請けまで息もつかせぬラッシュで一気に読んでしまいました。別れ話が多く目頭を熱くしながらでしたが、未来に希望が持てる素晴らしいエンディングでした。巻末の瓦版によりますと、特別巻の刊行があるそうなので大いに期待したいと思います。
コメント
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