久々に今月の新刊から、
米沢富美子「まず歩きだそう」(岩波ジュニア新書)
笹沢教一「ニッポンの恐竜」(集英社新書)
の2冊を購入。
前者は、年末年始にかけて読売新聞朝刊で集中連載されていた記事にも関連している
物理学者の自伝である。
編集部から女性物理学者と付けた方が分かりやすいからという理由でサブタイトルには
「女性物理学者として生きる」
とある。
まあ、読売新聞の連載を読んでいればそのサブタイトルはいらないと思いますが…。
修士以降定年まで、2ヶ月に1本ペースで論文を書いてきたというのだから、
ものすごい仕事量である。
仕事に対する配分が ①下調べ ②議論 ③論文化 を三等分というのは、
言うのは簡単ですが、中々難しいところ。
物理では問題設定を終えた段階でほぼ8割終わったようなものとよく言われますが
並外れた集中力と意志の継続力がなくては、こうはいかないです。
物性物理の詳しい内容そのものは、あまり書かれていませんが、
現代の科学者としてどう生きていくべきか、自伝という形で明確に示されている、と思います。
(ただ内情から読み取れるのは、困ったら論文の本数が決めている、という気が…)
人の生き方って、それぞれの矜持が積もり積もってできるものだと、
改めて思うのでした。
後者は、国立科学博物館と連動したかのような恐竜本の一冊。
日本国内の「恐竜の発見者」の紆余曲折について書かれている異色本。
日本の恐竜はドラえもんの影響でフタバスズキリュウのイメージが大きいのですが、
このフタバスズキリュウにしても、発見されてから学名が付き正式に登録されるまでは
30年以上もかかる長い道のりであったというのは驚きです。
今年は恐竜ブームがまたやって来るかもしれません。
*ジュニア新書は中高生にはちょっと難しいイメージがあったのですが、
最近のは少し平易になってきたかなという感じがします。敷居が高過ぎ
る印象は新装版になってだいぶ薄れてきたようです。