乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

マルハナバチ調べ隊で、またたくさんのマルハナバチ

2016年09月03日 | マルハナバチ調べ隊
9月3日(土)のマルハナバチ調べ隊のレポートを井上さんが書いてくださいました。


 9月の観察交流会は、本年度3回目のマルハナバチ調査隊と兼ねて、9月3日に行った。この日の参加者は芳賀さんのお孫さんの女の子も含めて8名。天気は雲はあるものの晴れて観察日和である。

 10時にロッジ前のベンチの所で植原さんのレクチャー開始。マルハナバチの種類や行動について、調査の方法について話を聞く。その後、皆で草原を歩きながら、どんなマルハナバチがどんな花に来て、どんな行動をしているかを記録するラインセンサス調査を行った。

 今年はシカ柵の効果で、草原内の花が多く咲いている。そのためマルハナバチもたくさんいる。どのハチも忙しく蜜を吸い、花粉団子もつけているのも多かった。ノハラアザミ、タムラソウ、ヤマハギなどに来るハチが多いようだ。ハチの種類ではミヤママルハナバチ(ミーちゃん)が最も多く、次にトラマルハナバチ(トラちゃん)、オオマルハナバチ(オーちゃん)も数頭見かけた。私の記録では1時間ほどの調査で60頭、調査用紙2枚では書ききれないほどだったが、植原さんは68頭見たとのこと。さすがだ。今年はマルハナバチが多い感じはあったが、実際に調査してみると、本当にたくさんいて、嬉しくなった。



 少し早めの昼食をとり、午後から待ちぶせ調査を行った。マルハナバチの来そうな花の所で15分間、どのハチが何をしに来るのかを調査する。これを各自2回行った。私は1回目、花がたくさん咲いているノハラアザミの前で行った。15分間にミーちゃんが15頭、トラちゃんが10頭、次々にアザミの花を移動しながら、蜜を吸っていた。

 2回目はハバヤマボクチの前で調査した。ここにはトラちゃんしか来なかった。大きな下向きの花の中にもぐって、花粉を体にたくさんつけながら、蜜をすっていた。4頭やってきた。ここはツツジのコースへの分かれ道で、タムラソウが群落になっている。アカタテハが長い間、蜜を吸っていたり、2頭のミドリヒョウモンが交尾をしそうな様子を見せたり、たくさんのマルハナバチがタムラソウに来ているのも見ることができた。



 終了後、各自が調べた結果を報告し、植原さんが集計して1時間換算の数を発表した。その結果はノハラアザミにくるのが最も多く、マルバダケブキ、タムラソウにも多く来ることがわかった。

 早めにマルハナバチ調べが終わったので、もう一度草原をひと回りして花などの観察をした。1本のシシウドにキアゲハの幼虫が8匹もいて、花の先まで食べ尽くしてシシウドは丸裸のようだ。この後、この子たちはどこに行くのだろうと心配になった。(ちなみに翌日には下の方の葉の部分に移動していた)きれいな黄緑色で黒とオレンジの模様もはっきりし、そろそろさなぎになりそうな様子であった。

 モリアザミが咲き始め、ハンゴンソウの黄色も目立つ。草原のコースを展望台まで登ると、雲に隠れていた富士山が、頂上をわずかに見せてくれた。

 ツツジのコースから駐車場への遊歩道では、マツムシソウの薄紫色が昨年に比べてぐっと増えた。昔は一面のマツムシソウだったそうだが、何年後かには期待が持てそうな気もする。ススキ、アキノキリンソウ、ワレモコウ、シラヤマギク、ウメバチソウ、ハナイカリなど秋の野の気配を感じさせる花がたくさん咲いていた。とてもきれいな黄色のミーちゃんも見かけた。もしかするとオスのマルハナバチだったかもしれない。数年前に作ったシカ柵の中はオミナエシなど花がとても多いが、今年は柵の外も花が増えて、シカ柵内の花が目立たないくらいだ。本当に花も増えてきて嬉しいことだ。水場の所では、アケボノソウ、アキノウナギツカミ、ミゾソバなどを観察した。 
 
 草原を後にして、湿地のところに寄り道。アケボノソウ、トリカブトが咲いている。トリカブトにはミーちゃんがやってきて、花の中にもぐって蜜集めをしていた。道端のキリンソウの中に、似ているけれどちょっと違うものがあり、ミツバベンケイソウではないかと教えてもらう。花が咲いているのもあり、ここにはミーちゃんが来ていた。(注 写真でトリカブトにきているのはトラちゃんです)



 林道を塩平方面に下る途中で、キバナアキギリ、カワミドリなどを観察する。キバナアキギリにもトラちゃんが入って蜜を集めていた。また自然観察路入口では、フシグロを見つけたり、ナンバンハコベの実やツリフネソウに入るトラちゃんを観察した。さらに下って、セキヤノアキチョウジが咲き始めている所をちょっと歩いてみると、立派なフシグロ、ヒナノウスツボ、ヤハズハハコ、ヤマハハコ、メドハギ、木を覆い尽くす勢いのクマヤナギなどを見ることができた。乙女高原への林道もとてもおもしろいことを再認識した。

 この日の観察で、花とマルハナバチの関係が深いことがよくわかった。小さいヤマハギの花にはミーちゃんしか来ないし、大きなハバヤマボクチの花にはトラちゃん、トリカブトやツリフネソウ、キバナアキギリのような、もぐらなくてはならない花には、ぴったりの大きさのトラちゃんが入り込んでいる。マルハナバチは自分の決めた同じ種類の花を渡り歩く習性があるので、花はマルハナバチにしか入れないような形に進化して、受粉をしてもらい、蜜を与えているのだそうだ。動くことができない花は、きれいな色や形、いいにおいや甘い蜜で虫を誘い、虫を使って子孫を残す。花のすごい戦略には驚くばかりだ。

 たくさんの花とマルハナバチ、その他の昆虫も観察できて、とても楽しく有意義な一日であった。
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