乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

コロナ禍の中でのロープ張り

2020年05月17日 | 遊歩道作り

 本当に困りました。コロナの影響で遊歩道づくりができません。でも、夏のことを考えると、せめてロープ張りだけでも行わなくてはなりません。でも、その打ち合わせができません。公民館・市民会館等、打ち合わせをできる場所が軒並み休館しているからです。

 市が助け舟を出してくださいました。市役所の会議室を貸してくださったのです。3密を避けるために、窓は開け放し、席は一つおき、そして、議事も最低限にして短時間で終えられるようにしました。話し合いの結果、以下のようになりました。

・イベントとしての(=人を集めての)遊歩道づくりは中止とする

・世話人、案内人、市・県職員のみに呼び掛ける

・10日(日)の9:30からファンクラブ中心に行う。雨天の場合、中止

・初めの会や終わりの会はなし。各自で作業していただく

・谷地坊主への遊歩道づくりを優先して行う

・13日(水)には市とファンクラブが中心となって、残りの遊歩道づくりを行う

・杭は市の予算で購入し、下の駐車場とロッジ前に置いておく

 

 やっと計画が立てられホッとしたのもつかの間、林道の閉鎖期間が延長され、10日(日)、13日(水)の作業ができなくなってしまいました。しかたがないので、遊歩道づくりを17日(日)に延期したのですが、その延期連絡がうまくつかなかった方がいて、ご迷惑をかけてしまいました。

 

 そうやって迎えた17日(日)は、とてもいい天気でした。「初めの会はなく、各自で作業をする」つまり「勝手に作業する」ということなので、さっそく谷地坊主への新しいルートに沿って、杭を置いていきました。4月の観察交流会に参加した皆さんがルート沿いに園芸用の緑のポールを刺してくれていたので、あとは位置を微調整すればいいだけでした。一部に旧遊歩道の杭を使いましたが、地面の下の部分は思いのほか腐って細くなっているのが多く、びっくりしました。

 そのうち、古屋さん、三枝さん、…と多くの方が来てくれ、それぞれロープを運んだり、杭を地面に打ち込んだりと、それぞれの作業をしてくださいました。

 結局、この日来てくださったのは、市職のお一人を入れて13人。「この人数で作業が終わるかな」と心配になりましたが、谷地坊主への新ルートも完成し、全コースの遊歩道にロープを張ることができ、しかも、そのロープに「草原に入らないでください」などの看板をつるす作業もできました。1日をフルに使ったのでなく、「終わって遅い昼飯を食べる」程度の時間で済みました。なんといっても21回目(=21年目)の作業ですからね、皆さん手慣れたものです。

 

 谷地坊主への新ルートについて説明します。

 「下の駐車場」から急坂を下りて湿地に向かうというのが旧コースでしたが、急坂の部分での土壌流失がひどかったです。県の事業で階段を作ってもらいましたが、それでもだめで、階段の脇がえぐれて、深い谷になっていました。一方、山梨ロータリークラブの皆さんが発足50周年記念事業の一環として、昨年の11月に新しく設置してくださった谷地坊主の解説板を生かすよう、解説板の前が広場になるよう遊歩道ルートを変更するのが課題でした。

 

 今回、新たに作った谷地坊主への遊歩道はこの2つの課題を同時に解決した画期的なものです(と素直に自画自賛できるほど、すばらしいアイデアだと思います。あ、ぼくのアイデアではありませんが)。

 旧ルートでは、斜面の高低差が大きなところをまっすぐ下に下っていましたが、今度のルートでは高低差が小さなところを斜めに下りています。これで土壌流失は起きないと思います。また、谷地坊主解説板への遊歩道を「袋小路」としないで、遊歩道のうち解説板周辺の部分を膨らませて、そこに多くの方が滞在できるようにしました。遊歩道の一部が太くなっているだけなので、人の流れもスムーズにできると思います。

 コロナが下火となり、乙女高原を訪れることができるようになったら、ぜひ、この遊歩道を歩いてみてください。

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2020年5月6日の乙女高原自然観察交流会

2020年05月06日 | 乙女高原観察交流会

※井上さんがレポートを書いてくださいました。

 

 今年は新型コロナウィルス感染防止のため、例年行われているスミレ観察会も中止になってしまいました。林道のゲートも例年なら、ゴールデンウィーク前には開くのに、今年は閉じたまま……。ですが、定期的に高原の観察を続けている観察交流会の常連メンバー4名で、感染に気をつけながら、乙女高原の様子を見に行くことにしました。いつもなら道の駅に集まって、誰かの車に相乗りで行くのですが、今回はそれぞれの車で、乙女湖集合ということになりました。

 林道はヤマブキやヤマザクラが目につきます。私は山の神やカエル池に立ち寄ってタチツボスミレやマルバスミレ、マルバコンロンソウなど確認しました。カエル池ではヤマアカガエルのオタマジャクシがたくさん泳ぎ回っていました。

 サワラ林の所で、植原さん、山本さん、鈴木さんが先着してウラゲヨウラクを観察していました。これまで道端の1本しか見ていなかったのが、実は林の中にたくさんあることがわかりました。

ちょうど満開で、暗い林の中で上品なクリーム色が美しかったです。ここではウリハダカエデの芽を包んでいた皮がカールしたものも可愛くて、皆でカメラを向けました。

 林道をさらに登っていくと、ピンク色の濃い桜が所々に咲いています。オオヤマザクラでしょうか。また鮮やかな黄緑色のイタヤカエデ、赤いカジカエデの花も林道沿いで見られました。

 焼山峠では、ミヤマスミレがたくさん咲いています。そして今年もフギレミヤマスミレがいくつか咲いてくれました。

エイザンスミレ、咲き残りのヒナスミレも可愛かったです。昨年見つけたオクタマスミレは残念ながら、今年は見あたりませんでした。

 

 乙女高原に到着。草原はまだ枯草色で、ところどころにキジムシロやミツバツチグリが咲いているくらいです。

 森のコースを登って行くと、エイザンスミレが咲いています。きれいなピンク色の花がいくつかありました。

そしてエゾアオイスミレも終盤ではありましたが、咲いていてくれました。なぜか白っぽかったです。薄茶色の粘土細工のようなおもしろい形はムシカリの出始めたばかりの葉です。

 展望台周辺ではきれいなピンク色のアケボノスミレ、明るい紫色の小さなアカネスミレがありました。

ヒゴスミレは咲き終わっていました。この日は曇り空で富士山は見えませんでした。

 草原のコースを下って、入り口ゲート近くでフデリンドウを数株見つけました。上品な水色の花がいくつか咲いています。

寒さのためか葉も蕾も紫がかっていてこれも可愛かったです。

 草原を出て、林道を少し歩いてみました。ヒゴスミレが2株、4輪咲いていました。細かく切れ込んだ葉と中心部が緑がかった白いスミレです。いい匂いもしました。

斜面にはアケボノスミレも咲き始めていました。さらに少し先に進むと、植原さんがちょっと変わったタチツボスミレを見つけました。同じ株なのに普通の薄紫の花と白い花があります。そしてさらに先の斜面にはマルバスミレもありました。

 ロッジ前にもどり、昼食にしました。別々のベンチで距離をとって食べました。

 

 午後はまず、例年早めにスミレが咲く湿地への道を少し歩いてみました。サクラスミレが2株、咲いていました。咲き始めで美しかったです。きれいなアカネスミレもありました。またタチツボスミレがたくさん咲いていました。

 次に四季の森に移動、森の入口近くにもサクラスミレ、ツボスミレが咲いていました。遊歩道では、ミヤマスミレがたくさん見られました。タチツボスミレ、ヒメイチゲも咲いています。淡いピンク色のヒナスミレもまだ咲き残っていました。途中でひときわピンク色が目立つスミレがありました。近づいてみるとヒナスミレのようですが、少し花が大きめで葉が丸い感じです。ヒナとミヤマの交雑かも……と盛り上がりました。後日、植原さんが乙女高原フォーラムで講演をしていただいた、いがりまさしさんに確認したところ、不稔ならば交雑だということなので、花後も観察をしていく必要がありそうです。

 塩平方面へ下り、途中の自然観察路入口に寄ってみました。この付近ではフモトスミレ、エイザンスミレ、アケボノスミレ、マルバスミレ、タチツボスミレ、ヒゲネワチガイソウ、シロバナエンレイソウが見られました。道路わきにはモミジイチゴモも咲いていて、マルハナバチが来ていました。

雨が降り始めたので、観察は終了し、塩平のゲートの所で解散となりました。

 

 13種類ものスミレに出会うことができたスミレ三昧の一日、そしてスミレの多様性を感じた一日でした。コロナ禍で訪れる人も少ない乙女高原ですが、季節は確実に進んで、高原は花や昆虫の季節になっていきます。早くコロナが収束して、自由に観察できることを願うばかりです。

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