乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

黄色いスミレ観察会

2024年06月01日 | 観察会
※井上さんがレポートを書いてくださいました。

6月1日、大弛峠への林道の柳平ゲートが開いた日、鶏冠山西林道の黄色いスミレ、キバナノコマノツメを見るために、牧丘道の駅に12名が集まりました。今回は乙女高原を離れての観察交流会です。数台の車に分乗して、鶏冠山西林道のゲート前に到着。車を降りると、ひんやりしていて、上着を1枚はおって出発しました。標高が2,000m近いこの辺りはまだ新緑の季節ですが、例年に比べると、季節の進みが早いようで、ミヤマザクラなどの花は終わっていました。が、道端にはシロバナヘビイチゴの花や茎が30cmくらい長く伸びたタンポポが見られました。

歩き始めはカラマツの植林地です。カラマツにはナガサルオガセがぶら下がっていて、昨日の雨のためか、水滴がたくさんついていて、美しかったです。

ミヤマハンショウヅル、チョウセンゴミシの花がたくさん咲いていました。

しばらく歩くと白っぽいクリンソウも咲いていました。カラマツ林にはミヤコザサが茂っていましたが、鹿の食害にあっているところもありました。キビタキ、オオルリなどのきれいな鳴き声が聞こえてきて、初夏になったことを感じさせます。途中でオオルリが枝の上のほうで囀っているのを観察することもできました。さらに進んでいくと、ウラジロモミやコメツガなどの針葉樹林帯もあります。この辺りにはミヤマハコベやベニバナツクバネウツギなどの花がみられました。マイヅルソウが咲き始めていましたが、ツバメオモトは咲き終わってしまったようで、小さな実がついたものもありました。ミズナラやカンバ類、カエデ類などの森は新緑が美しかったです。ミネカエデの花が咲いていましたが、亜高山帯にあるカエデの仲間、オガラバナの花は見られませんでした。もう咲き終わってしまったのでしょうか。
歩き始めて1時間半くらいで剣が峰西側の平坦地に到着。ここで一休みです。ここではヨツメガの仲間(帰宅後、調べたらエゾヨツメというガでした)を発見。名前の如く、薄茶色の羽根に黒い目のような模様がありました。メスのようで、お腹が膨らんでいたので、産卵前かもしれません。気温が低いので、植原さんの手の上に長いこと止まっていました。

しばらくこのガを観察後、出発しました。
剣が峰の北斜面になる辺りは林道の上斜面は亜高山帯の針葉樹の森で、林道わきにズダヤクジュ、咲き残りのミヤマスミレ、イワセントウソウなどの花、バイカオウレンやウスギオウレンの実が見られました。コケの中にオサバグサも咲き始めていました。メボソムシクイのさえずりが亜高山帯に来たことを感じさせてくれます。

剣が峰をまわりこんで、またカラマツ林の中を進むと、巨大な岩場に出ます。前日の雨で、岩の上から水滴が落ちてきていました。火山の痕跡でしょうか。板状節理のようになっている所もあります。

この岩場を過ぎたあたりからキバナノコマノツメが見られるようになってきました。斜面から小さな沢が流れ出ているようなところに何か所かキバナノコマノツメがまとまって咲いています。

苔むした岩と、水の流れとでとてもいい雰囲気です。キバナノコマノツメは湿った場所が好きなようです。この辺りの南側は深い谷になっていて、琴川の源流部です。晴れていれば富士山も見えますが、この日は曇り空で、残念ながら見えませんでした。

昼過ぎにキバナノコマノツメの群生地に到着。黄色いスミレを見ながら、昼食をとりました。

そしてそれぞれ写真を撮ったり、観察したりして帰路に着きました。
来た道を引き返すので、どんどん下っていきますが、途中でコヨウラクツツジに来ているマルハナバチを見たり、行きに見た花をまた確認したりしながら、出発したゲート前に到着しました。ここで、終わりの会をして解散。キバナノコマノツメをたくさん見られ、その他いろいろな花や樹木を見たり、鳥のさえずりを聞きながら、気持ちのよい林道歩きができた一日でした。

帰りに乙女高原に寄って、次週に行われる乙女高原案内人講座のために、数名でロッジのそうじをしました。高原ではレンゲツツジが咲き始めていて、これからいよいよ花や昆虫の季節がやってきます。楽しみです。
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春の自然観察会

2024年05月12日 | 観察会
 観察会を運営してくださった井上さんがレポートを書いてくださいました。

 午前中の遊歩道づくりがとても手際よく進み、11時前にすべてのコースのロープ張りが終了しました。午後の観察会は早めに始めたらどうかという声もありましたが、午後のみ参加する人もいることを考慮して、ゆっくりお昼を食べ、予定通り午後1時から開始しました。参加者は16名です。

 草原はようやく緑が萌え始めましたが、まだほとんど枯草色です。乙女高原のカンバ3兄弟はこの時期、それぞれに様子が異なっています。高山性のダケカンバはまだ芽吹き、最も低地性のシラカンバは葉が緑に、中間のヤエガワカンバの葉は黄緑色。そんな違いを見てもらい、草原に入りました。最初に目に入ってきたのは黄色いキジムシロ、そして、鹿柵の際にはつんと伸び始めたヤナギランの芽。森のコースを進んでいくと、ピンクのテープが結ばれた番号札がいくつかあります。これは、この芽は何の植物なのかを調べるためのもので、あれこれ予想をしながらも何かよくわからないので、成長していくのが楽しみです。興味を持ったら、時々、成長の様子を見にいかなくてはなりませんね。
 森の中に入ると、点々とタチツボスミレやエイザンスミレが咲いています。またシロバナエンレイソウがまとまって数本咲いていました。サナギイチゴには、コマルハナバチが吸蜜に来ていました。

昆虫も活動を始めています。さらに登っていくと、マイヅルソウの葉が群生していました。つぼみのついたものもたくさんあり、咲くのが楽しみです。森を抜けたところには毛むくじゃらの三角形の葉がありました。セイタカトウヒレンのようです。美しいサクラスミレが咲き始めていました。

またエゾノタチツボスミレはまだ花は咲いていませんが、茎や葉が立ち上がっていました。

 展望台に出ましたが、曇り空で残念ながら富士山は見えません。それでブナ爺さんまで行ってみることにしました。

よもぎ頭では御料局の三角点があることから、もともとは皇室の持ち物であったのが、明治時代に起きた大洪水の被害を憂えた天皇陛下から下賜され、恩賜林(県有林)になった名残であることの説明をしました。
 ブナ爺さんに下る道の両側のミヤコザサは鹿の食害ですっかり背丈が小さくなってしまっています。ブナ爺さんのところには、倒木がありました。キツツキの仲間がつついて、とても大きな穴が開いていた枯れ木がついに倒れてしまったのです。倒木はキツツキの仕事ぶりがよくわかります。のみで掘ったように長くて深い穴になっていました。けずりかすもたくさん落ちていました。

ここではオオルリのさえずりが聞こえてきました。どこにいるのかみんなであたりをキョロキョロ。なかなか探せない中、角田さんが発見しました。皆で「どこどこ?」角田さんがあの木の何番目の枝の所などと説明するのですが、なかなか見つけられずにいるうち、オオルリが少し飛んで位置を変えたら、ようやく見ることができました。瑠璃色の美しい色と美しいさえずりに皆でしばらく見惚れ、聞き惚れていました。

 草原に戻って、草原のコースを下りました。いろいろな植物の芽が出始めていましたが、咲いているのは黄色いキジムシロやミツバツチグリです。春先は黄色い花が多いような気がします。春に咲く花は「虫媒花」といって昆虫に受粉を手伝ってもらう花が多く、花たちが昆虫を惹きつけるための工夫が、色と匂いなのだそうです。早春にいち早く活動を始めるアブやハエは、黄色い色に敏感だそうで、春には鮮やかな黄色い花が多いのですね。
 ロッジに近づいてきて、駐車場に向かう三差路を過ぎたあたりには、遊歩道の左右にヤナギランの芽がツンツンたくさん出ています。夏が楽しみになってきました。
 1時間半くらいかけて、草原を一回りして、いろいろなものを見ることができ、楽しい観察会になりました。
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谷地坊主の観察会

2023年07月01日 | 観察会

※井上さんかレポートを書いてくださいました。

 天気予報は雨。でも乙女高原なら雨でも歩けるだろうし、植原さんはきっと来ているだろうと思い、出かけました。途中では小雨が降ったりもしましたが、乙女高原に近づいていくと、雨は止んできました。塩平からの林道ではコアジサイが上品な薄紫色に咲いています。ヤマアジサイも咲き始めていました。アワブキの白い花も目につきました。法面の上にクモキリソウがきれいに咲いているのも見ました。
 乙女高原に到着すると、果たして植原さんがいました。さすがに一般のお客さんはいません。雨も止んでいるので、予定通り谷地坊主の観察です。長靴をはいて、念のためレインウェアを着て、傘を持って、観察場所になっている湿地へ向かいました。

 


 谷地坊主はすっかり夏の姿になっていて、緑の葉が四方八方に伸びていました。それがたくさん並んでいて壮観です。その中で、身体測定をするものが5つ決めてあり、プレートが打ってあるので、それらの計測をしました。

2人だけなので、植原さんが計測し、私が記録をしました。高さ、左右の広がり(幅)を測り、そこにいた生き物(虫)と植物も調べます。記録はその姿のスケッチもあるので、よく見ると、穂が出ていました。5つのうち、1つは何かで削られていて、根の部分が3分の1ほどなくなっていました。またもう一つは以前は島のようになったところにあったそうですが、今は流れの中で根の部分は削られて、プレートも流されてしまったとのこと。この計測はしませんでした。ほとんど流れのないところにできる谷地坊主ですが、時に大雨が降ったり、動物が歩くなどして変化していくのかな。それぞれにドラマがあるのでしょう。4つの谷地坊主の計測、記録を終えて、ロッジにもどりました。

 玄関前でゆっくり昼食を食べました。午後、植原さんは遊歩道の草刈りをするとのこと、私は草原を観察させてもらいました。
 先週のマルハナバチ調べ隊のときは、アヤメが盛りでしたが、もう終盤。ノアザミやヤマオダマキ、キンバイソウなどが咲き始め、夏の花たちが、開花の準備をしているようです。ヤナギランやオオバギバウシ、マツムシソウなどが増えてきていて、咲くのが楽しみです。
 ノアザミにはヒョウモンチョウの仲間やトラマルハナバチもやってきていました。少し晴れ間がのぞくと虫たちが出てきます。アブの羽音、エゾハルゼミや鳥のさえずりもよく聞こえていました。森のコースのマイヅルソウは実になり始めていて、そこにイチヤクソウが蕾をつけて立ち上がっています。膝くらいの高さになったエゾノタチツボスミレの花もまだ見られました。展望台から久々にブナ爺さんのところまで行ってみました。ヨモギ頭からブナ爺さんへの斜面にはギンリョウソウがいっぱい。やや終盤ですが、あちこちが白く見えていました。

 

 ゆっくりしていたら、1時間くらいの草刈り作業をし終えた植原さんが草原の上までやってきました。植物や昆虫を観察しながら、草原を下りました。ヨツバヒヨドリももうすぐ咲きそう。いろいろな植物が葉や背丈を伸ばしています。カラマツソウ、ハンゴンソウ、ハバヤマボクチなどなど。鹿柵のおかげでみな伸び伸びと育っているようです。
ロッジに戻って解散。雨に降られることもなく、楽しく観察ができました。

 私はミヤマシグレという木の花を見るために、途中の「四季の森」に立ち寄りました。ミヤマシグレはガマズミの仲間で赤い小さい蕾がたくさんつきます。そして、その先に白い小さな花が咲くのですが、その花が開いているところがなかなか見られず、すぐクチャっと縮んでしまうようです。蕾はたくさんありました。花も咲いていましたが、しっかり開いているのかよくわかりません。でもミヤママルハナバチが何頭も来ていたので、咲いているということでしょう。赤い集合花にクリーム色のマルハナバチ。可愛くてしばらく見入ってしまいました。いろいろ楽しい乙女高原です。

 

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谷地坊主の観察会

2022年07月02日 | 観察会

7月2日(土)、谷地坊主の観察会を行いました。午後は雨の予定でしたし、午前中から遠雷が聞こえてきていましたので、急いで行いました。乙女高原の谷地坊主は山梨市の天然記念物に指定されています。それを現地で観察し、マーキングしている谷地坊主の身体測定を行いました。参加者は6名でした。
 角田さんが観察会のユーチューブ動画を作ってくださいました。ご覧ください。
 https://www.youtube.com/watch?v=tf6QLFfw9eo

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スミレ観察会2022その3「黄色いスミレ・ハンキング」

2022年06月04日 | 観察会

6月4日(土)、今年度最後のスミレ観察会を実施しました。道の駅に集合した人で、六本楢まで移動し、そこから、黄色いスミレ群生地を目指して歩いていきます。

道端の水気のあるところにはクリンソウ。赤い花ばかりでなく、ほとんど白い花もありました。

ミヤマハコベの花びらは、よく見るとⅤサインのように見えます。

若葉を通して、6月の陽光が降り注いでいます。まるで黄緑色のステンドグラスのようです。

 けものの糞(たぶんキツネ)に、たくさんのキマダラヒカゲが集まっていました。

木々にシカの痕跡。白っぽい筋が見えるのは、シカの下前歯でかじった痕です。それにしても、はぎ取った部分の境界線が横一直線になっているのが不思議です。この木はサクラ。サクラの皮は横向きに剥がしやすいので、矛盾はないのですが、それにしても、横一直線ですね。

道端にミズゴケが生えているところがありました。

 

そして、ようやくキバナノコマノツメの群落にたどり着きました。そこで弁当を食べ、同じ道を帰りました。

帰りに見つけた「落とし文」。裏が真っ白い葉を巻いているので、造形の面白さがよけいはっきり分かります。

 乙女高原にも寄ってみました。レンゲツツジが咲き始め。森の中にはギンリョウソウもありました。ロッジの庭で大勢の人がテントを張っていたので、びっくりしました。

 三島市から参加された吉澤さんがレポートを書いてくださいました。以下に掲載させていただきます。

 また、これも角田さんが当日の様子をユーチューブにアップくださっています。

 → https://youtu.be/xCsITjSw6bI

 

 道の駅花かげの郷まきおかに乙女高原ファンクラブ7名、97会9名が集合、自己紹介の後、林道川上牧丘線の六本楢に移動し、シロバナノヘビイチゴの白い花が星を散りばめたように咲き乱れる林道鶏冠山線を歩き始める。

 登るほどにミヤマハンショウヅル、コミヤマカタバミ、ミヤマスミレ、ズタヤクシュなどを見かけ、稜線近くで群生するキバナノコマノツメを楽しむ。

 終日さわやかな好天気に恵まれ、途中で金峰山~鉄山~朝日岳の山並みが望まれた。富士山は雲のため山頂付近のみを見るにとどまった。

 帰路、乙女高原に立ち寄り、森の道コースで白花のエゾノタチツボスミレを探勝する。茎は凛と直立し、切り花にもなりそうな立ち姿であった。

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