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乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

自然観察交流会  2025年3月1日(土)

2025年03月01日 | 乙女高原観察交流会
※参加された毛利崇行さんがリポートを書いてくださいました。

1   3月1日当日はとても暖かく、標高1700mの乙女高原でも気温10℃もありました。

2 乙女湖は全体的には結氷しておりましたが、暖かさのためか、2月の観察会よりも氷の厚さが薄くなっているようでした。ダムサイトの部分等は氷が溶け、水面が見られました。


3 クリスタルラインの道路は所々アイスバーンや雪面が見られました。2月よりもそのような箇所が多いように感じました。特に水ヶ森林道は全体的に雪に覆われていました。

4 青空の下、富士山、鳳凰三山、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、八ヶ岳連峰、中央アルプス等の展望が良好でした。

5 オヤマボクチとハバヤマボクチの見分け方がわかりました。オヤマボクチはウニのようなトゲが特徴です。

6 谷地の小川沿いには、高さ1メートルにもなる霜柱が観察されました。積雪による保温がないことと、小川の水分補給が成長を助長しているとのことでした。土の上かと思いきや、一歩踏み出すとスカスカの霜柱の上なので、落とし穴が待っています。


7 アシナガバチの巣を見つけ、どちらが下向きなのかと、参加者の話題になりました。


8 シカ柵のマス目が大きくなっている所が見られ、そこにシカが首を入れ、柵の外側から柵内の結構な距離までミヤコザサが食べられていることに驚きました。


9 フデリンドウの若芽を見つけました。寒さに負けず、春に花を咲かせようと着々と準備しているようでした。


10 谷地坊主の群落には高く成長した霜柱があるため、近づけませんでした。霜柱が成長している場所は、局地的に気温が低いことを体感できました。


11 青空には巻層雲が見られ、気象に詳しい鈴木さんが巻層雲の成り立ちについて解説してくれました。


12 グリーンロッジ敷地内の排水マスに水が落ちるときの音が、さながら水琴窟のようで、そのきれいな音色に聞き惚れてしまいました。

12 道の駅まきおかで解散後、玉宮のザゼンソウを見に行きました。まだちらほらと咲いているだけで、見頃はもう少し先になりそうです。

13 前回の観察会でも、発見が盛り沢山でしたが、今回の観察会も新たな発見がたくさんあり、乙女高原の自然の引き出しの多さに驚きました。好奇心旺盛な方、是非自然観察会に奮ってご参加ください。


※伊佐治庸子さんもリポートを書いてくださいました。

 下界20℃、乙女高原10℃という季節外れの暖かさでの観察会。さて、どんな一日になるかなと期待に胸膨らませて道の駅を出発した。
 先ずはカエルの池で卵チェック。岩の奥の方にちょっと水が溜まっているだけで卵は無し。「チィチィチィ(高く)、カッカッカッカッ(低く速く)」姿は見えないがルリビタキの地鳴き。
 乙女湖は、雪は被っていないがまだ結氷。しかし端の方は氷が解け始めている。

金峰山を眺めると五丈岩に雪は無し。「チッ、チチチチチチ」ホオジロが鳴く。双眼鏡でキャッチ。頬、白いか?白いのは眉?「フィーフィーフィーフィー」と大きな声のゴジュウカラ。姿は見えない。シジュウカラ、コガラ、ヒガラは前回の観察会で勉強した。親類筋なので外見も似ている。でもゴジュウカラは系統が違うと鈴木さん。シジュウカラとゴジュウカラはどこが違うの?「40代と50代」と植原さん。あ〜あ。
 柳平のゲート前で加藤さんを待つ間、現在は閉校中の笛川小学校柳平分校を見学。ここで発見したのはジャングルジムの植木鉢!ジャングルジムの内側で松やシラカバ計5本がすくすく成長していた。皆で興奮。除草から護られた、まさに箱入り娘たち!

その隣に子供たちが遊んだであろう登り棒があったが、鈴木さんと「なんだか低いなぁ」。私たち、大きくなったんですね。そばで毛利さんが整地用のローラーを年甲斐もなく押そうと頑張っている。

 空を見ると飛行機が何機も行き交っていて、真下から見上げると白いお腹がきれい。尾翼が赤い飛行機が来た。どこの航空会社だろう? ここに角田さんがいたらきっとすぐに調べて教えてくれるはずだ。同じ方角から2機仲良く並んでやって来た。一機は飛行機雲を作りもう一機は飛行機雲無し。この違いは如何に? 並んでいるように見えるが高度に違いがあって湿度・気温の条件が異なっているのだろうと鈴木さんと考察。
 無事加藤さんと合流して乙女高原に到着。毛利さんが嬉しそうに地図を取り出した。「これ、持って行きましょうか♫」金峰山・甲武信の地図だ。ちょうど山の位置と名前を一致させたかったので、毛利さん、ナイス!
 トンビが一羽上空を舞っている。「あっ、この前と同じトンビだ。」と植原さん。尾が白っぽいトンビだそう。どれどれ双眼鏡を覗くと、確かに頭も尾もロマンスグレーだ。これは個体差というよりシニアのトンビでは?と共感を込めて勝手に決めつけた。

 植原さん(隊長)はサクサク飄飄と歩いて行くが突然止まる。これは何かを見つけたサイン。ベージュ色の3,4センチ程の木片を見せてくれた。雪の上のあちこちに落ちている。キツツキが木をつついた削り屑らしい。でもどの木なのかはわからなかった。
 さあ展望台。ここでちょっとした事件が起きる。小学校校庭の重いローラーを動かした力自慢の毛利さんが、地面が盛り上がって開閉しづらくなった鹿柵のゲートを張り切って開けてくれた。「エイヤッ」と見事に扉を外してしまった。(笑)
 お決まりの富士山拝見。すっきりくっきりの富士山だが、なんと例年なら4月から5月にかけて見られる農作業サインの農鳥がもう出現している。ハトサブレーというより鶴に近い細身の農鳥。今年は雪が少ないんだなぁ。でも富士吉田市の公式発表はまだなので、これは農鳥と認めてないのかも。富士山から左方面に目を移すと電波塔が目印の三つ峠もよく見えた。
 前回は会えなかったブナ爺さんに挨拶をしに。5月頃にはアケボノスミレやフデリンドウが顔を出す場所を途中教えてもらう。楽しみだなぁ。ブナ爺さんは子供たちに掛けてもらった落ち葉の掛け布団で静かに冬を過ごしていた。
 水ヶ森林道に出てロッヂへ戻る道すがら見晴らしの良い場所で山観察。さあ、毛利さん、地図の出番よ!「あ、置いてきちゃいました。」地図は、暖かいからと車に置いてきた上着のポケットの中。はぁ~?マイナス1000点!地蔵ヶ岳のオベリスクを頼りに、あれが甲斐駒、なら、あれは仙丈ヶ岳と皆であれこれ言う楽しさよ!でもいつも自分のテリトリーから見ている見慣れた姿と違うので少し戸惑う。

 林道はところどころアイスバーンで普通の長靴底ではツルリと危ない。落ち葉があるところではそこだけ早く雪が溶け、葉っぱの形状にボコッと沈み込んでいる。その様子をしゃがみ込んで写真に撮っている鈴木さん加藤さん毛利さんを、私がパチリと撮影。


 思いの外距離がある林道をとりとめもないお喋りをしながら進む。「チロル知ってますか?」と毛利さん。リーズナブルで美味しいからファンとのこと。横浜在住のあなたがなぜ山梨市駅前の伝説の喫茶店チロルを知っているのか逆に聞きたい。加藤さんと私にとっては青春の想い出。高校時代、入り浸っていた女子学生の聖地(男子だけの入店お断りだった)。名物イタリアン焼きそばとソフトクリームのチロルセットが大人気。あの頃20代の店主夫婦は今や70代か。毛利さん、ナイス!プラス1万点!
 林道の道端にオオウバユリの乾燥した果実がまるでエイリアンが口を開けたような姿で立っている。先に進むと今度は、おっ、綿毛がフワフワ飛んで行く。イケマのケサランパサラン(桐の箱に入れておくとお白い粉を食べると言われていた、あれ)だ。感動したのはその収納術。殻に羽根付きの種が整然と並んで上手に収まっている。

鈴木さんがアサギマダラの幼虫がイケマの葉っぱを好んで食べると教えてくれた。でもイケマには毒があると。へえ、これは興味ある。帰宅後ググる。イケマはアルカロイドを含む毒草で、アサギマダラはこれを食し自らを毒化して敵から身を守る術を身に着けた。幼虫・蛹・成虫いずれもが鮮やかな体色をしているのは毒持ちを敵に知らせる警戒色なんだそう。イケマはアイヌ語で、イはそれ(神様)ケマは大きな根の意味で、アイヌの人々はイケマの毒をコントロールして生活に取り入れていた。時に薬として、お守りとして。
 12時過ぎにロッヂに戻りお昼ご飯。デザートは毛利さんが用意してくれた、かりんとうまんじゅう。あんこたっぷりで美味しい!毛利さん株ウナギ登り!
 食後テーブルの上に毛利さんの地図を広げ山の位置と名前の復習。すると植原さんが気づいてしまった。「あれ、西関(西関東道路)がない!ユニマートがある!(今はもうない店)」見ると地図の発行年が2005年、20年前じゃん!毛利さん株下落(笑)。でも紙の地図はやっぱりわかりやすい。毛利さんのおかげでその良さを再認識したので、帰りに塩山の天真堂に寄り昭文社の山と高原地図「金峰山・甲武信」を購入した。もちろん2025年版をね!
 さあ、午後の部開始。私にとっての本日のメインイベント。1メートルの霜柱グランドキャニオンを観ること。雪の残る斜面をズルズル滑りながら湿地帯へ。先ずは植原さんが足を踏み込む、といきなり視界から下がる。ズボッ!3,40センチ踏み抜いた!なんとここ全面が霜柱地帯、まるで地雷原。私の履いている長靴はそんなに胴が長くない。途中までは植原さんのトレースを辿るが歩幅が広くて届かない。慎重に着地場所を見極め進む。ギャー、ズボッ!加藤さんと大騒ぎしながらも、なんとかグランドキャニオンに辿り着く。

 高さの計測。1メートル以上。触ってみる。全体は硬い。表面はパリッと剥がれる。毛利さんに剥がれた泥の付いた霜柱を手渡すと水で泥をすすぎ落として食べようとしている。え〜っ!泥落ちないよ、やめときましょうよ。写真も撮って満足してロッヂに戻る。するとロッヂの駐車場でもズボッと足がはまる事態に。底なし沼だぁ。地中で泥濘んでいる。いやぁビックリした。膝と腰にくる。
 高原に戻って来た。西側の空からぼんやりとした薄い雲がサァーと広がって来た。ちょっとクールなすじ雲も混ざる。お天気博士の鈴木さんが「巻層雲」と教えてくれる。割り箸を突っ込んでクルクルしたら美味しそうな綿菓子雲ができそうだ。

 高原中腹から山の観察。ロッヂのモミの木右奥が大烏山(多分)、その右が断崖絶壁のひな岩、北東奥のギザギザ岩が乾徳山、東方向茶色の地肌が続くところが大菩薩峠。冬は山観察にもってこい。毛利さんの地図がここで大活躍したことを申し添えておこう。

 植原さんがアシナガバチの巣を拾った。「この巣はどの方向を向いていた?」私は下向きと思ったが植原さんは横向きじゃないかと。そして上から巣を作っていったのだろうと。

気になり帰宅後ググった。アシナガバチといってもその種類によって巣の形と向きが違うらしい。セグロアシナガバチはキノコ傘が下向き、キアシナガバチはお椀が下向き、フタモンアシナガバチはお椀が横向き、コアシナガバチはシャワーヘッドが下向きで端が上に反り返る、キアシナガバチはシャワーヘッドが下向きで黄色い蓋付きetc.結局どれだったんだろう?
 ハバヤマボクチとオヤマボクチの見分け方も教えてもらった。花の後ろのトゲトゲで見分ける。ハバヤマボクチはタワシで、オヤマボクチはウニ。タワシは恐れるに足らず。ウニはトゲが長くて硬い。痛っ!
 遂に来た!前回の学習の成果が役に立つ瞬間。甲高い声で「チーチーチーチー」と聞こえてきた。双眼鏡で観察する。木の枝に逆さまにぶら下がり足で実を押さえてリョウブの実を食べている。さあ、その鳥は?艶のない黒のベレー帽を被り、喉はちょっと黒、お腹は白くて背中はグレー。こ、これはコガラ!植原さんに確認してニンマリ。なんか嬉しい。

 前回の宿題。シカはどうやって鹿柵の外からササを食べるのか?センサーカメラに映っていた若い雌シカが頭を入れた金網フェンスの現場へ。なるほど、金網の下側が少し凹んでいて他のところより若干広がっているようだ。シカが押し広げたのではなく(かなり硬い)元々そうだとしたら、あちこち試してここに決めたのかなぁ。

ここから妄想。「あれ、ここダメ、入らない。あ、ここもキツイ。お、ここなら頭を傾ければなんとかいけそうじゃん!入りさえすれば帰りはどうにかなる!」なんて一人いや一匹思案にくれてたりして。このプロジェクトは大成功。
 植原さんが何やら赤い実の木の前で立ち止まった。「これ、やっと食べてもらえた。ずっと食べられずに残ってたんです。人気なかったんだよね。」ミヤマガマズミの実。どれどれ、どれほど不味いのか食べてみよう。うん、酸味があるが結構滋味溢れる味で好きかも。ブドウも棚に残され天然のドライフルーツと化したものは水分が抜け糖度がギュッと増して美味しくなるから鳥もそれを待ってたんじゃないかなぁ? 鈴木さんもつまんで、「美味しいですね。私、これで果実酒作ってるんです。」ですって!

 またまた植原さんがしゃがみ込んでいる。今度は何を見つけたんですか?「フデリンドウです。この姿のままで冬を越すんですよ。」3,4センチ程の高さで紫色の肉厚スペード型の葉が薔薇の花びらのように重なった姿。本来ならまだ雪の下で見つからないだろう。それにしても枯れ草の中からよく発見できる。植原さんは神の目を持っている。

「訓練ですよ。」ぼーっと歩いていたんじゃダメね。フデリンドウは茎が細くてちょっと横倒しになっていたので少し心配になった。加藤さんと毛利さんが根本に土を寄せ固定させた。これで大丈夫かな。
 あっという間にもう午後3時。雪のお風呂からもう上がってしまった谷地坊主を見て、最後にロッヂ駐車場の排水桝に流れ込む雪解け水が作り出す水琴窟の音色を聞き、春の訪れを思う。「楽しかったですねー。」「次は総会で!」
小ネタ満載、大満足の観察会だった。

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自然観察交流会 2月1日(土)

2025年02月01日 | 乙女高原観察交流会
※まずは毛利さんのリポートです。

1 乙女湖は結氷しており、厳しい寒さを実感するとともに湖面に動物の足跡が見られました。

2 クリスタルラインの道路は所々アイスバーンになっておりました。
3 夏に入れない湿地は、冬は凍っているため、入ることができました。湿地では、シカ、イノシシ、ウサギ、キツネなどの足跡が観察でき、動物達の動きを想像するのが楽しかったです。
4 霜柱が幾重にも重なり、地面を相当な高さまで押し上げ、水が凍り膨張する際の圧力を思い知りました。冬に水道管が破損するのも納得です。

5 展望台からは富士山がうっすら望めました。笠雲がかかっており、天気の下り坂を感じました。
6 谷地坊主の群落は圧巻でした。生いたちの掲示板もあり、興味深く観察しました。天然記念物として、いつまでも残ってほしいものです。

7 午前中は青空が気持ちよかったですが、午後は急に雲が出始め、天気の下り坂を感じました。南岸低気圧はお手柔らかにしてほしいものです。
8 自然観察会終了後、角田さんのご自宅を訪ね、セツブンソウを愛でました。花が咲くまで最短4年もかかるそうで、種類もたくさんあり、角田さんの丹精込めた地道な栽培に感謝です。
9 このような貴重な観察会に参加でき、じっくり自然を観察することで気づかされることもあり、たいへん有意義でした。皆様、今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

※続いて、伊佐治さんのリポートです。
お二人ともありがとうございました。おかげさまで行けなかった方々に冬の乙女高原を「おすそ分け」できます。

 道の駅花かげの郷を出発して最初に立ち寄ったのは乙女湖です。湖は結氷していました。おかげで動物たちも嬉々としてこのショートカットコースを渡ったのでしょうか、氷の上に積もった雪に足跡が残っています。何本かある足跡には途中交わったX型のものもありました。
 次に寄ったのは焼山峠です。

普段は湿地帯で入れない場所で雪に残された足跡探索です。チーチーと樹上ではコガラが遊んでいます。枯れ木からはまるでとろろ昆布のようなサルオガセがたくさん垂れ下がっていました。

 さて、動物の足跡でわかりやすいのはウサギ。前脚は2つ平行に後ろ脚は少し互い違いに残っています。シカの足跡もたくさんありました。こちらも分かりやすくまるで裁縫で使う和鋏です。ここで植原先生からクイズ。この足跡はどちらからどちらへ向かったのでしょう。単純に先割れスプーンのように分かれている方が前かなと思ったのですが、推進力で雪が溜まっている方が進行方向ではないかとのこと。渡辺さんが早速自分の指を使ってモデル実験。なるほど、奥が深い。さらにイノシシのものらしき足跡、3本指の鹿神様の足跡!(これにはトリックあり)、

一直線のキツネの足跡と、お天道様の下、日向ぼっこしながらの観察です。
 おっ、天然のアイスリンクがあります。この、アイスリンクはどうやってできたのかと皆であれやこれやと考察。グレーチングの下が雪で詰まって水が行き止まりになって溢れてできたのだろうと結論。長靴スケートはツルリンコでした。

 いよいよ乙女高原へ。左手に谷地坊主が見えてきましたが、期待していた雪をかぶった姿ではなくボサボサ頭の枯れ草色の谷地坊主です。高原全体も日当たりの良い中央部分に雪はなく想像していた冬の高原ではありませんでした。空は真っ青、風もなくお日様がぽかぽかと暖かく、のんびり自然観察するには良い気候でした。
 井上さんが双眼鏡で鳥を見ています。私もやっと使い方に慣れてきたパピリオ双眼鏡で観察。トンビが計四羽青空を気持ちよさそうに翅を広げて飛び回っています。誰かがゲイラカイトの話をしました。昭和40年代後半に流行った三角形の洋凧です。参加者皆さん同じような年代で話が通ります。植原先生がトビの英語名はブラックカイトだと続けます。それにしても上昇気流に乗って気持ちよく飛んでいます。良いなぁ。
 展望台で富士山を拝みます。あら、雪が少ない。雪のあるところとないところとでスジ状になっています。

すると渡辺さんが「私は山のスジが好きなんです。特に浅間山のスジ」と。なんとマニアックな見方でしょう。でもスジと聞いて私が想像したのは首すじです。年を取ると顔は化粧でごまかせますが、年齢が正直に出てしまうのが首すじだからです。間髪入れずに毛利さんが「私は牛スジ」ですって! そこからおでんの具の話に変わります。おでんほど地方によって中身の素材が変わるものはありません。それを聞いていた植原先生が西日本と東日本の違いについて話し始めます。いなり寿司の形状や座布団の真ん中の糸の留め方etc.では西と東はどこで分かれるのか?と話はとりとめもなく続いていきます (笑) 。
 さあ、また観察に戻りましょう。乙女高原で一番大きい冬芽を持つホオノキです。この冬芽、これで赤ければタカノツメです。植原先生が枝の段数を数えれば樹齢がわかると教えてくれました。松と一緒ですね。1年に一節ずつ伸びるのです。
 井上さんが鹿柵の効果がよく分かるポイントを示してくれました。それはササです。柵の外のササと内側のササでは全く様子が異なります。ササなんてスジが多くて不味そうなのに冬場は貴重な食べ物なんでしょう。柵の外側の笹は、葉は食べられて茎だけ残っています。内側のササは葉っぱもついています。ところが柵に近いところは葉が食べられています。

そこで再び植原先生クイズです。「柵から何センチ離れたところまで食べられているか?」これまでの最長は70センチ。確かにそのくらいまで食べられた跡があります。さあそうなると、金網フェンスの柵から一体どうやってササを食べたのかが不思議です。15センチ四方の金網からニューッと首を伸ばして食べたのでしょうか? 70センチも! 喧々諤々考察開始です。雪でササが柵側に倒れ込んでいた時に食べたとか、前脚でササを引き寄せたのだとか、脚の和鋏(ひづめ)でチョキチョキしたとか(笑)。こうなると実際の様子を見たくてたまりません。植原先生がセンサーカメラを設置しました。うまく行けばシカが四苦八苦して柵の外側から内側のササを食べる様子が見られるかもしれません。楽しみです!

 さあ、もうお昼です。エネルギーを使ったのでお腹はペコペコです。暖かいとは言え雪も残る高原なのでトイレにも行きたい。ロッジへ戻ることにしました。あれ?空を見上げると飛行機雲とは別に白い線が弧を描いています。何だろう?鈴木さんも不思議に思ったそうです。渡辺さんが虹に気が付きました。どうやら白い弧が太陽の周りをぐるりと回っていてそこに彩雲が出ているようです。どこからともなくトンビが7,8羽やって来て上空を旋回しています。カラスも鳴いています。「これはなんとか現象ではないですか?」詳しい鈴木さんが、ハロやアークの説明をしてくれました。やはりこれから天気は下り坂なのだろうと納得。この現象はあっという間に消滅し鳥たちも姿を消しました。しかし案の定お昼を食べ終えた頃から、あんなに青かった空は真っ白になりお日様も雲に覆われ寒くなってきました。
 午後は谷地坊主を見に行き、霜柱で盛り上がった地面やミルフィーユ状の氷を見て本日の高原での自然観察は終了です。

午前中とは打って変わって寒くなり鼻水を垂らしながら帰途につきました。
 林道でヒガラの行水シーンに遭遇したのはラッキーでした。早速コガラ、シジュウカラ、ヒガラの違いを勉強しました。少しずつ名前が覚えられれば良いなぁと思いました。
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1月11日(土) 自然観察交流会

2025年01月11日 | 乙女高原観察交流会
※井上さんがレポートを書いてくださいました (写真も)。

 厳しい寒さが続いていて、乙女高原は日中でも零下という予報。防寒対策をしっかりして出かけました。牧丘の道の駅に集まったのは3人。植原さんの車に乗せてもらって出発。林道を登っていくにつれ、道路わきには雪、日陰は凍っているようなところもありました。

 乙女湖のところで、まず車を止めました。ダム湖は3分の2くらい結氷して白くなっています。見ていると不思議な音が聞こえてきます。鳴くような、ものが鈍くぶつかるような音です。大きな音もしました。氷の下で何かぶつかっているのでしょうか。
 金峰山は雪で真白。青空に映えています。柳平からの先の林道は雪がうっすらと積もって凍っていました。運転には気を遣ったことと思います。

 乙女高原に到着。気温は-3℃。草原はまだら状に雪が積もっています。草原に入ってみると、雪が解けて氷になったところと雪が残っているところ、刈った草の根元が見えているところとで、まだら模様になっていました。氷は薄くて、下が空洞になっており、端は丸いような複雑な形に解けています。

氷の上は冷え込んで、下(地面のほう)が温かくて、下から溶けて上だけ残って氷になったのでしょうか。どのようにできたのか不思議な光景でした。スパイク付きの長靴を履いて、その薄氷や雪の上をバリバリと音を立てて歩きました。


 冬の楽しみの一つは冬芽観察です。まずレンゲツツジ。枝の先端には赤い花芽が、芽鱗(がりん)と呼ばれるうろこ状のものに覆われて、ろうそくの炎のような形についています。その花芽の下には葉痕(ようこん)と呼ばれる葉の落ちた三角形の痕があって、その中には維管束痕(いかんそくこん)がニコちゃんマークみたいに見えてかわいいです。葉痕のすぐ上には葉芽が小さくついています。枝の所々にこの葉痕と葉芽がついていて、枝には細かい毛もついています。花の咲く時期にはあまり枝の様子など観察しませんでしたが、枝だけになったレンゲツツジはとてもおもしろいし、かわいいです。
 森のコースではオオカメノキを観察しました。この冬芽は対生(向かい合って出ている)で万歳しているように見えるのがかわいいです。裸芽(らが=芽鱗に包まれていない芽)で、寒さを防ぐために細かい毛に覆われています。ベージュ色でビロードのような感じです。葉芽には葉脈が見えていて、花芽は丸く擬宝珠(ぎぼし)のような形で葉芽の真ん中にあります。印象的なオオカメノキの冬芽です。
 鋭いトゲがたくさんついたハリブキもありました。先端にはえんじ色の固い芽がついていました。ニワトコの冬芽は細い枝の両側に対生しています。先端に芽はついてないので、上には伸びないで横に広がっていく樹木だと植原さんが言っていました。冬芽で樹木のでき方もわかるというのは深いですね。他にはウリハダカエデやミズナラの冬芽を観察しました。

 展望台へのゲートは地面が凍って開けにくくなっています。二人で少し扉を持ち上げながらゆっくり開けて、展望台に出ました。富士山がくっきり、きれいに見えました。下の盆地は少しかすんだよう。富士山は白く光ったところと黒く影のようになったところがあります。黒いところは尾根のようで、雪が少ないので、黒っぽく見えたのでしょうか。
 ヨモギ頭からは樹冠越しに南アルプスがよく見えました。白根三山や甲斐駒ヶ岳、鋸岳などがかっこよく、仙丈岳は真白。中央アルプスや八ヶ岳も真白でした。

 ブナ爺さんの所へ降りていく途中のダケカンバの太い幹には、縦に1mくらい裂け目ができていました。寒さで裂けたのでしょう。葉を落としたブナ爺さんの枝は直角に曲がったり、カーブしていたり、くねくねしているのがよくわかります。どんな人生・・・でなく樹生を送ってきたのでしょうか。ブナ爺さんから少し下ったところにも太くて、幹の片側が大きく割れ、根元はごつごつして苔むしたブナがあります。植原さんいわく、ブナ婆さんだそうです。


 水が森林道に出ました。木をつつく音がするので、探すとコゲラがいました。キバシリらしい鳥も。カラ類の声もしました。

 林道はうっすら積もった雪が凍っています。そこに動物の足跡がたくさん残っていました。冬のもう一つの楽しみはアニマルトラッキングです。動物にとっても、林道は歩きやすい場所なのでしょうね。2つが重なったもの、真っすぐ一直線に進んでいるもの、道路を横切るもの、間隔の狭い細かい足跡が一直線に続いていると思ったら、途中で二つに分かれてしまっていたり。テン?キツネ?タヌキ?シカ?何が通ったのかな。どんなふうに歩いたのかな、走ったのかな。想像するのも楽しいです。
 雪の上に赤い実のほぐれたようなものがありました。これはテンの糞を小鳥がほぐして食べたのではということ。赤いのはツルウメモドキの実。肉食のテンがツルウメモドキを食べるのですね。しばらく行くと、雪の上に糞がたくさんあります。赤い色のもの、黒っぽい色のもの(ヤマブドウを食べたもの)、茶色いようなものなど。ここはトイレかと思ったら、植原さんが「おおっ」と声をあげました。ガードレールの外、道路下に鹿の死骸発見。もう背骨と足の骨と毛皮ばかりになっていましたが、動物たちにとってはごちそうがたくさん食べられた場所だったのでしょう。糞がたくさんあるわけです。動物たちの足跡を見ながら、凍った雪道をザクザクと音を立てて歩きました。

 ロッジに戻って、玄関前で昼食にしました。風もなく、穏やかです。太陽のおかげで思いがけず、暖かい。時々、太陽が雲に隠れることがありましたが、そんな時は雲の端がピンクや緑になる彩雲が見られました。

 午後はツツジのコースを歩きました。太陽が南にまわって、草原の雪面は陽に反射してまぶしいです。青空をトビやカラスが飛んでいきました。ツツジのコースの山際は陽当たりが悪いので、雪がたくさん残っています。10cmくらい積もっていたでしょうか。ここでは遊歩道の杭の上に残った雪の造形がおもしろかったです。上部表面は氷で内部は空洞のもの、上部が傘状で下が細くなってきのこ雲のような形になったもの、三段のきのこ雲のようになったものもありました。


フクロウがいたというモミの木を植原さんに教えてもらいました。フクロウが止まっていたという枝には、白い尿痕がありました。

 谷内坊主を見に行きました。

雪の中にボサボサ頭の谷内坊主がいっぱい。なかなか壮観です。ここでは水が凍らず流れていました。水に手を触れてみると冷たいけれど、びっくりするような冷たさではありませんでした。水は凍っていないので、0℃より高いし、気温は0℃より低いので、あまり冷たく感じなかったのかな。
 谷内坊主の近くから、斜面を見上げると不思議な光景が。斜面が長く大きくえぐれています。まるで、イノシシが土を掘りおこしたよう。土は30cm以上も盛り上がっていて、穴があいています。下側の土は下へ崩れています。穴の奥は霜柱が段々に見えているところもあるので、霜柱の仕業ですがどんなふうにできたのか、不思議でした。

 ロッジに戻る途中、草原には土の小山がいっぱい。モグラ塚です。たくさんのモグラがいるのかと思いきや、1匹のモグラが50m四方くらいのテリトリーを持っているらしいです。冬は寒いから深いところにトンネルを掘るので、土の量が増えて、モグラ塚が目につきやすくなるとのこと。地下にはモグラの作ったトンネルが伸びているはずですね。

 帰り道では所々に小鳥がいました。ホオジロ、カシラダカなどです。野鳥も見やすいのが冬です。ということで、おもしろいことがたくさん見られた観察会でした。もっとたくさんの人が参加してくれるといいですね。
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自然観察交流会 2024年12月7日

2024年12月07日 | 乙女高原観察交流会
 道の駅・花かげの郷牧丘に9時に集合した5人で乙女高原を目指しました。
 まず立ち寄ったのが「杣口のサワラ学術参考林」。ここは毎年、氷華がたくさん見られる場所です。ところが、今年は今まで暖冬だったせいか、氷華は一つもありませんでした。せっかくですから、サワラの葉の裏を見て、白い模様(気孔帯)がⅩだったりHだったりするのを観察しました。


 次に大烏山登山道入り口付近で車を停めました。ヒノキの植林地があったので、ヒノキの葉とサワラの葉を比べようと思ったからです。ちなみに、サワラもヒノキもヒノキ科ヒノキ属の植物です。ヒノキの葉を見てみようと車を降りて、あっと思いました。ここは陽当たりがよく、氷が残っているとは思えなかったのですが、トネアザミの根元に氷華を発見。やっぱり、たくさんの目があると、発見が多くなります。茎の根元を食い破って氷が出てきているという感じでした。

 ここではコボタンヅルの綿毛の付いた実も観察。この綿毛、タンポポなどキク科の綿毛とは全然違っていて、魚の骨みたいに見えます。今、ちょうど図書館から借りて来た『花からたねへ』という本を読んでいるのですが(小林正明、全国農村教育協会)、この綿毛は雌しべの柱頭と子房を結んでいた花柱が変化したものなんだそうです。魚の骨の背骨に当たるのが花柱で、そこからあばら骨のように小さな毛が出ています。

 石の上についた動物の糞も発見。中にゴマのような種が入っています。おそらくサルナシだと思われます。サルナシの皮と思われるものもあります。ですが、全体的に濃い紫色をしています。「たぶんこの動物は木の実が大好きで、サルナシやブドウ(ヤマブドウとは限らない)を食べた」と想像しました。糞の大きさから、テンではなくキツネのものだと思います。


 柳平のすぐ前の鳥居峠でも途中下車。小さな赤い実がたくさん付いている木があったので、名前を教えてもらおうと思ったからです。何人かに見ていただきましたが、アズキナシだそうです。来年、葉が出てきたら、もう一度、確かめようと思います。


 次に停まったのは焼山峠。ここから小楢山林道を歩きました。そこには、カメバヒキオコシにできた氷華がいっぱい。一つ一つ個性があって面白かったです。あまりにも面白いので、たくさん写真を撮りました。
 「乙女高原フィールドノート」というブログは「植原が乙女高原に行った日に3枚の写真を選んで載せる」というルールでやっているのですが、この日は乙女高原の草原でも氷華が見つかり、ルールを破って10枚もの氷華の写真を載せてしまいました。よろしければ、ご覧ください。
https://blog.goo.ne.jp/otomefc/d/20241207




 氷華を見ていたら、ルリビタキの声(地鳴き)が聞こえたので双眼鏡で観察したり、ツグミの声を聞いたりしました。
 焼山峠に戻ってくると、カラマツにからみついたツルウメモドキの赤い実が、まるで、クリスマスツリーのように見えます。「おもしろいねえ」と双眼鏡で眺めていたら、あれ、クリスマスツリーの中腹にサッカーボール大の白っぽいものがあります。スズメバチの巣でした。

 目線をクリスマスツリーから下げて、また、びっくり。ヤマブドウがたわわに実っていました。角田さんが取ってくれたので、みんなで味見。酸っぱかったです。このまま干しぶどうになったら、少しは甘くなるでしょうか。次回の自然観察交流会が楽しみです。


 さて、道草を楽しんでいたら、お昼を過ぎてしまいました。ようやく乙女高原に到着し、お昼にしました。お日様はぽかぽか暖かいのですが、少しでも風が吹くと身震いするくらい寒いです。木の看板に寄りかかると、とても暖かいことを発見しました。木がお日様によって温まっているのと、風をさえぎってくれるのが理由だと思います。少し食べては看板のところに行く・・・というのを繰り返しました。


 午後から、草原の中を歩きました。角田さんと井上さんがハサミを持参してくださり、草原内に侵入した木々を伐りながら、歩きました。ウスユキソウに氷華ができているのを観察しました。


 ハンゴンソウにはもう氷華はなく、氷華ができた跡でした。岡崎さんに言われて、見てみると、草刈りボランティアの時に茎が切られた後に氷華ができたので、氷華のでき方がよくわかります。茎の中央付近、髄にあたる部分はまったく無傷です。そこから外側の茎の皮が裂けていました。つまり、地中から水を吸い上げる導管が通っている形成層の外側に向けて氷が出て来るので、形成層の外側が裂けて割れるけど、中心は無傷というわけです。勉強になりました。



 冬至も近いので、あっという間に夕方の太陽になりました。次回を楽しみに解散しました。
 ちなみに、翌々日の12/9にも乙女高原に行きましたが、このときは、サワラ林のところでたくさんの立派な氷華を観察することができました。ここでは今年初の氷華だったと思います。


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3月の自然観察交流会

2024年03月02日 | 乙女高原観察交流会
※井上さんがレポートを書いてくださいました。ありがとうございました。

 3月2日、前日の朝、私の住む大月では5cmほどの雪が積もって、雪景色になったので、乙女高原はどんなだろう、上まで行けるだろうか、気にしながらも行ってみることにしました。牧丘の道の駅に集まったのは3人。天気はよいけれど風が冷たく、乙女高原はかなり寒いことを覚悟しながら、出発しました。

 林道の雪はきれいに除雪してあり、問題なく柳平まで行けました。そこから先は除雪してなく、車のわだちがあるだけ。雪は10~20cmくらい積もっているので、ここから歩くことにしました。長靴にするか、スノーシューにするか悩んで、長靴をはいて、スノーシューは持参することにしました。乙女湖は水の入ってくる上部を除いて、全面結氷して、白くなっています。

しばらく行くと、鳥の声がしました。雪のない斜面に降りて餌をついばみ、木の枝に止まり、また地面に降りて、をくり返す小鳥たちの混群でした。コガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、アトリたちです。しばらく3人で双眼鏡をのぞいて、バードウオッチングを楽しみました。
 2月11日のスノーハイクの時は、ウサギ、キツネ、テン、リスなど、動物たちの足跡がたくさん見られたので、楽しみにしていましたが、今回はほとんどありません。どうしたのでしょう。シカの足跡とヤマドリの足跡はありました。雪面が硬くて、軽い動物たちの足跡はつかなかったのでしょうか。

 林道を歩いているとおもしろいものに出会います。
◇その1、雪で覆われたコンクリートの法面の所々が三角形の山形に雪がなくなっています。これは雪崩と同じ現象で、上部の雪が落ちた影響で下の方に雪崩がひろがっていって、斜面に三角の模様ができたようです。

◇その2、林道に積もった雪が畑の畝のようにでこぼこしています。車のわだちの跡かと思ったけれど、幾筋もあるし、どうも違うらしい。風の影響なのか、雪解けなのか。「雪えくぼ」ということばを教えてくれたのは鈴木さん。融雪時にできる雪面の無数の凸凹のことだそうですが、畝状になるのとは違うらしいということで、何なのでしょうか。

 そんなことを考えながら進むと、道端にちょっと大きめの鳥が。法面のコンクリート壁をつつきながら、移動していきます。3人で双眼鏡を見ながら、何だろう、お腹が白く見えるし、シロハラ?でもちょっと違うみたい、何だろうと言っているうちに飛んで行ってしまいました。法面の上の灌木に何か小鳥がいます。ちょっと赤く見える。ベニマシコでした。法面の上でかすかな声がするので、見ていると、灌木のしげみに青い色が見えました。ルリビタキです。そして林道の上に広がる青空に、白く悠然と舞うノスリも見られました。かっこよかったです。
 その都度、止まってバードウオッチングしながら進むので、焼山峠に着いたのは11時半。乙女高原到着は昼過ぎになってしまいます。急ごうとしますが、雪は深くなり、またカケスやカラ類の声がして、立ち止まってしまいます。そして四季の森を過ぎたあたりでトビが上空を、カラスも10羽くらい、鳴きながら飛んでいます。これはなにか事件かと思いきや、果たして事件現場に遭遇。林道上の雪が赤く血痕で染まっています。そして道路横の斜面に鹿の死骸が。林道から下に落とされたようです。生臭い匂いが斜面からあがってきているようでした。また少し行くと、小さな血痕と糞があります。テンか何かが鹿の肉を食べて糞をしたのかな。


 木道の湿地の所までくると、雪は25cmくらい。車のわだちは狭くなって長靴だと歩きにくいので、ここで私はスノーシューを装着しました。雪面を歩いてもあまり沈まずに歩けます。雪面が硬いので、ザクザク音をたてながら歩きました。しばらく行くとまた小鳥を発見。コガラ、ゴジュウカラなどです。そしてようやく乙女高原が見えてきました。草原は全面真っ白ですが、前回より雪は少ないようです。もう1時近く。お腹すいた~と言いつつ、ロッジ玄関前で弁当を広げました。

 朝方吹いていた冷たい風もやんで、陽ざしは暖かく、ロッジの屋根の雪はとけて、水が勢いよく落ちてきています。とはいえ、百葉箱の中をのぞくと温度計はマイナス1,5℃。氷柱が屋根から下がり、また水の落ちる地面にも氷柱ができていました。

 昼食後、雪であけにくくなった鹿柵入口の扉をあけて、草原の中に入りました。誰の足跡もない雪原です。雪は陽当たりのよいところで10cmくらい、日陰では30cm近く積もっていました。雪原の斜面はすじをいくつも引いたようになっていて、また3人でいろいろ推理しました。雪玉が上から落ちてきた?雪解けのきざし?よくわかりません。真青な空にダケカンバやシラカバがくっきり見えて美しいです。ツツジのコースをまわってみました。やはり、動物の足跡はほとんど見られませんでしたが、キツネの足跡がくっきり草原を横切っていました。谷地坊主はほとんど雪をかぶっています。その湿地から遊歩道を下りました。林の中も雪はしまっていました。

 林道に出てしばらく行くと例の事件現場です。何か変化があったか、斜面を覗いてみると、死骸の上の方にあった足がなくなっていました。誰かが持ち去ったのでしょう。そしてまたしばらく下るとカラマツの木の上の方に黄色い小鳥が。マヒワです。数羽が細い枝にぶら下がって、カラマツの実をついばんでいるようです。岡崎さんは初めてマヒワを見たと感激していました。その近くにはカラ類もいました。

 焼山峠に3時到着。ここからはもう日陰になっている所が多くて、少し冷たい風も吹いてきています。行きにシロハラみたいな鳥がいたところで同じ行動をしているツグミがいました。行きに見た鳥はどうやらツグミだったようです。行きの疑問の答え合わせが一つできました。疲れた~と言いつつ林道を下り、柳平に到着しました。
 雪面で期待していたアニマルトラッキングはあまりできませんでしたが、野鳥をたくさん見ることができました。これも春のきざしのひとつではないでしょうか。疲れたけれど、いろいろな鳥に出会えて楽しい観察交流会でした。

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