乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

入笠山の花畑と湿原

2021年07月25日 | 参加報告

 乙女高原を訪れた方から、よく「入笠山も(花がたくさんで)よかったですよ」といった話を聞いていたので、一度は行ってみたかったのですが、コロナ禍でなかなか機会が作れません。ところが、このところ山梨も長野の感染状況が落ち着いているようなので、今年こそは夏の花の時期に行ってみることにしました。
 7月25日に決行しました。入笠山は、冬季、富士見パノラマスキー場となり、ゴンドラが設置されていますので、頂上近くまでゴンドラで行くこともできるのですが、登山の道すがらでも自然観察したかったので、ふもとの登山道入り口駐車場に車を止めて、歩いて登ることにしました。自宅から沢入登山口まで、中央道経由で1時間半くらいでした。ここから上はマイカー規制区間になっていました。

 山道を登るにつれ、アカマツ林からカラマツ林へと替わっていきました。両者ともよく手入れされ、林床は基本的にミヤコザサ。最近は乙女高原のミヤコザサはシカに食べられてしまい、みすぼらしい感じなので、久しぶりに立派なミヤコザサを見た感じです。乙女のササはひざ以下、ここのササは腰以上です。

ササにモミジイチゴなどが混ざっていました。足元から上へと視線を上げていくと、ミヤコザサからいきなりアカマツやカラマツになります。中間の亜高木層を欠いているので、とてもすけすけしている感じがします。だから、森の中にも関わらず、さっきからホオジロの声が響いているのだと思います。ホオジロは疎林が好きな鳥です。ウグイスもよく鳴いていますが、うっそうとした笹原のおかげだと思います。道にテンの糞を3つ、見つけました。中に小さな種がたくさん入っていました。木いちごの種だと思います。

【入笠湿原】1時間ほど歩くと、シカ柵が見えてきました。漁網のようなシカ柵です。ゲートは乙女のような「開き戸」ではなく「引き戸」になっていました。

ドアを開いて入ると、自動的にドアが閉まるようになっていました。中は入笠湿原でした。たくさんの花が咲き乱れています。

シシウド、カラマツソウ、ヨツバヒヨドリ、クガイソウ、ヤナギラン、ノアザミなど、乙女高原でもおなじみの花から、カワラマツバ、コバギボウシ、ノハナショウブなど、乙女ではお目にかかれない花もありました。この湿原は広さが2ヘクタール弱だそうです。斜面を登るとだんだん狭くなる三角形をしていて、不自然だなあと感じました。近くの山小屋・山彦荘の方に話を聞くと「以前はスキー場だった」とのこと。だから、森の木が直線的に伐られていたのです。「斜面の下はキャンプ場だったんですよ」とも。時代の流れを感じます。

 

【入笠花畑】ここから、入笠山山頂を目指します。「入笠花畑」経由です。入笠湿原と同じく、花畑もシカ柵の中でした。

ここもあふれるばかりの花々。草原の斜面を、ジグザグに登っていきます。乙女のシモツケソウは花の色がバラエティに富んでいて、ほとんど白から赤に近いピンクまでありますが、ここのシモツケソウは見事なまでにまっかっかでした。

入笠湿原で見られた草花はもちろん、アサマフウロやチダケサシ、オトギリソウ、カワラナデシコなども咲いていました。ヤナギランの葉にスズメガの仲間が止まって…これは、あきからに卵を産んでいる行動だったので、彼女が去った後、そっと葉をひっくり返して、卵を確認しました。

シロバナノヘビイチゴの赤い実がおいしそうだったので、一つ失敬。おっとこれは秘密です。
 シカ柵ゲートを出て、山頂を目指しました。岩場コースと迂回コースがあったので、迷わず岩場コースを選択。でも、とってもショボイ岩場でした。山頂は裸地で、岩がごろごろしていました。四方の眺めは最高です。

諏訪湖も伊那の街並みも見えました。夏空にいくつかパラグライダーが気持ちよさそうです。あいにく八ヶ岳や富士山、南アルプスはほとんど雲に隠れていました。たくさんのアキアカネが飛んでいました。ここで少し休憩し、来た時とは別の道を下り、次の目的地・大阿原湿原を目指しました。ここでもカラマツとミヤコザサの中を道は伸びていました。クリンソウやサワギクの姿が現れ、湿原が近いことを教えてくれました。

【大阿原湿原】何も表示はありませんでしたが、湿原に着きました。教室一つ分のウッドデッキがあり、そこから木道が湿原の中を通っていました。

湿原の中に木が生えています。双眼鏡で確かめましたが、シラカバやズミ、カラマツ、ヤナギ類といったところです。さっそく歩き始めました。
 おっ、足元に小さな小さな白い花…と思ったら、モウセンゴケの花でした。

さっそくパピリオ双眼鏡で拡大して観察です。葉が平たいはんぺんのように膨らみ、細長いとげがたくさん生えています。とげの先には透明な水玉が一つずつ。とてもきれいに輝いていました。虫でも捕まっていないかなと探しましたが、見つけることはできませんでした。試しに水玉に指を近づけてみたら、くっついて離れなくなりました(撮った写真を後で確かめたら、虫が捕まっている写真が偶然撮れていました)。

 12ヘクタールの湿原の縁に沿うように遊歩道が敷かれてあり、それを一周しました。途中で会った男の子が「まるでアフリカのサバンナみたいだね」と話をしているのが聞こえました。確かに「草原の中にポツンポツンと木が生えている」景観はサバンナみたいです。おまけに木々は日光を独り占めできる状況にも関わらず、根本近くには枝がなく、地上2メートルくらいのところから枝が出て葉が茂っていました。その様子がますますサバンナぽかったです。

 あ、報告が遅れましたが、入笠湿原にも大阿原湿原にも谷地坊主はありませんでした。「入笠山に谷地坊主はあるか?」これが今回の登山の大きな目的の一つでした。
 遊歩道に沿って杭が打たれ、ロープが張ってあるのは乙女と同じでした。杭とロープの結節も、「穴にロープを通す」なんてことではなく、とっくり結びでした。これも乙女と同じです。ただロープが上と下の2本張られているのが違いました。また、とっくり結びと言いましたが、時々、ただぐるっと杭を一回転してあるだけだったり、とっくり結びではない(いい加減な)結び方がしてあったりしたので、笑ってしまいました。ロープ等に自然や植物を解説ひるような看板は一つもありませんでした。

 湿原を一周して、最初のウッドデッキに到着。そこからちょっと森に入ったところで昼ご飯にしました。靴をぬいで、少しくつろぎました。近くのウラジロモミの幹に立派なシカの角研ぎ跡がありました。

食後は帰りに向かいましたが、できるだけ午前とは違う道を選びました。カラマツにたくさんの長いサルオガセがついていました。


 乙女のサワギクはとてもか弱い感じですが、ここのサワギクは大きくて、とても元気です。午前には通らなかった八ヶ岳がよく見える展望台と、再度入笠花畑を通って、マナスル山荘に到着。屋根に天体望遠鏡の入ったドームが付いている山小屋です。ここでソフトクリームを食べました。


 再度、入笠湿原を歩いて、ゴンドラの山頂駅まで行きました。ここで入笠山のガイドブックが売ってたら買いたいなと思ったのですが、そんなものを売っている気配はありませんでした。ゴンドラからマウンテンバイクを持った人がたくさん降りてきて、びっくりしました。ちっちゃな子も一人前にヘルメットやひざ当て・ひじ当てをしています。ここから専用のコースを下るのだそうです。駅前にも山野草園があり、ここには植物解説板もあったので、一周して見学しました。

※ギンボシヒョウモン?に求愛しているツマグロヒョウモン。誤解してる?

そこからまた入笠湿原に戻り、3度目の湿原観察を楽しみました。エゾリンドウの株がたくさんありました。開花期はさぞきれいだろうと思います。


 登山道を無事に降りました。車でゴンドラの麓駅にも寄ったのですが、ここにもガイドブックはなし。仕方がないので、帰路に着きました。

 今回、初めてヤマケイの登山スケジュール作りアプリを使って、スケジュールを立てて見ました。それでおおよそのコースタイムが予測できたので、時間をうまく調節しながら、見たいところを全部、余裕を持って、歩くことができました。このアプリは結構便利です。おかげさまで充実した山の自然観察行となりました。

 結論。乙女高原には乙女高原の、入笠山には入笠山の、ステキでかけがえのない自然があり、甲乙つけようとするのはナンセンス!!

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