乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

甘利山の草刈りに参加しました

2022年10月30日 | 参加報告

 山梨日々新聞の催し物欄によると、甘利山の秋の草刈りは10/22(土)、23日(日)、29(土)、30(日)の4日間行われるといいます。甘利山の草原を守っている(NPO法人)甘利山倶楽部の皆さんには、毎年、乙女高原の草刈りに参加いただいているのですが、なかなか「恩を返す」機会がなく、今年こそは!と思っていたところ、代表世話人の角田さんが30(日)の部に参加なさるというので、その日に甘利山に出かけてみることにしました。
 いい天気でした。甘利山に向かう道「甘利山公園線」が工事のため通行止め。遠回りをしなければなりませんでした。しかも、ナビが選択したのは、近いほうの「桐沢」経由ではなく、遠いほうの「小武川沿い」の道のほうでした。おかげで、家から2時間以上かかりました。が、「お、ここにカツラの林。ちょうど落ち葉の時期。いい匂い!」など、道中を楽しむことができました。ちなみに、帰りは「桐沢」経由だったので、今度は大きな露頭を目の前に見ることができました。

 いよいよ甘利山。倶楽部の皆さんがシカ柵を完璧にメンテナンスし、その中をきれいに草刈りされているのがよくわかりました。これだけきれいにするのは、本当に大変だと思います。

 

 駐車場に着いたのは、開始時刻に30分遅刻の9:30ころでした。甘利山倶楽部の事務局を置いている「つつじ苑」というステキなログハウスを訪ねたのですが、あれ? 人がいない! いやー、遅刻しちゃったので、みんな上に行っているのかなあと思い直し、受け付けを済ませて、ゆっくり歩いて甘利山山頂に向かいました。

 途中、軽トラが、すごい角度で置いてありました。「きっとこれで草刈り道具を運んだんだろうな。それにしても、軽トラこそは最強のオフロードカーだ」と感心しながら進みますが・・・なかなか草刈りしている人に会いません。登山している人には何人か出会ったのですが・・・
 山頂まで行くと、シカ柵の中で草刈りしている方が二人いたので、声を掛けてみると、「ここを刈るように言われました」とのこと。上のほうから草刈り機のエンジン音は響いてきますが、複数ではなさそうです。「(参加者が)こんなに少ないんだ」と正直、思いました。
 草刈りを始めました。やってみると、草刈りというより笹刈りです。笹の中に野草やレンゲツツジが埋もれている感じです。笹はミヤコザサでした。草刈りが継続されているところは、明らかに笹の丈が低く、笹も可愛い感じですが、奥の方の見るからに草刈りが滞っていそうなところは、笹の丈も高く、葉も大きく強そうな感じがしました。刈ってみましたが、こういうところは笹が密生していて、下まで光が届いていない感じでした。途中、角田さんも奥さんと一緒に来て、作業を開始しました。

 途中でお茶タイム。やっぱり参加者は少なく、全部で10人程度でしょうか。林道が閉鎖されていることも響いていると思います。でも、こんな時に参加してくださる方をこそ大切にしないとなと思いました。


 お昼まで続きの作業。そして、お昼はいったん下りて、つつじ苑の中で取らせていただくことにしました。コンビニで買ってきたおにぎりを食べたのですが、倶楽部で出してくださった豚汁がとってもおいしくて、おにぎりといいハーモニーでした。
 一休みして、午後の作業。今度はレンゲツツジの株のまわりの笹を刈ることに注力しました。午前より集中力が低下したせいか、「あ、笹と一緒にレンゲツツジ切っちゃった」という場面が何回かありました。正直に白状し、謝ります。すみません。
 午後も途中でお茶タイムがあり、エネルギー補給・水分補給・休息を済ませ、3時近くまで作業を続けました。少人数での作業だったせいか、「シカ柵の中全部がきれいになった」みたいな「作業成果の見える化」までは無理でした。でも、「刈ったのがたとえ全体の0.001%であっても0ではない(0はいくら足しても0だけど、小さくても数字がある限り、足せば大きな数になりうる!)」ことを誇るのがボランティア活動だと思います。

 終了後、ふたたびつつじ苑で反省会。倶楽部事務局の小林さんが、出された意見を一生懸命にメモしている姿が印象的でした。

※参加された角田敏幸さんがレポートを寄せてくださいました。

 南アルプスユネスコエコパークの緩衝地域に位置している甘利山は 6月に山頂一帯を真紅に染めるレンゲツツジの大群落や貴重な高山植物が自生し、富士山の展望がすばらしい一大名勝地です。
 美しく豊かな自然を守り、次世代に継承していくために毎年、市民や有志の皆さんのご協力により、レンゲツツジの下草刈り、環境美化活動を行っています。何時も甘利山倶楽部の皆さんが、毎年乙女高原の草刈りボランティアに参加して下さり感謝するばかりです。今回乙女高原のファンクラブの皆さんにもメイル等で参加を呼びかけました。


 今回、秋の草刈りに家内と参加しました。家から1時間30分程で甘利山の駐車場に着きました。駐車場に着くと植原さんの車が有り、甘利山倶楽部の小林さんと家内で約12分位歩いて上がると、先に植原さんが草原の中でミヤコザサを一人で手狩りで刈っているのが見え、するともう一人刈っている方がいて、もう少し上がって見ると山の上の稜線にも2人の姿が見え、1人は刈り払い機で刈っていてエンジン音が静かな山に響き渡っていました。遅れて家内が到着して、レンゲツツジ内のミヤコザサを6人で手狩り、手狩り途中の休憩には植原さん持参の種なし柿、甘利山倶楽部の方の温かい紅茶を頂きました。
 昼は下山して甘利山倶楽部事務局のロッジで豚汁を頂きました。また、ロッジ横には雪が白く積もって残っていて、ロッジ内は薪ストーブが炊かれて、暖かい部屋での昼食はありがたかったです 。


 昼食後、また、山の上に登り富士山を眺めながら草刈りをしました。
 草刈り終了後、ロッジ内にて草刈り終了の会をして解散となりました。

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「未来に残したい草原の里100選」選定記念フォーラム

2022年10月18日 | 参加報告

 代表世話人の角田さん、三枝さん、ウエハラの3人で特急かいじ号に乗って新宿まで、そこから小田急線で経堂まで行き、歩いて東京農業大学へ向かいました。途中、お昼を食べたり、農大の「食と農の博物館(これがまた面白かった!!)」

を見学したりしてから、フォーラムの受付をしました。会場は横井講堂という、木をふんだんに使ったホールでした。

 フォーラムでは主催者である「全国草原の里市町村連絡協議会」会長の岩井さん(東伊豆町長)のあいさつから始まり、選考委員長の湯本さん(京都大学名誉教授)の記念講演がありました。草原の歴史や草原を守る意義・価値といった話で、とても興味深く聞かせていただきました。認定証授与は、岩井会長から「草原の里」代表に認定証が手渡され、二人で記念写真を撮り、代表から一言挨拶する・・・というルーティーンでした。ファンクラブの代表は角田さん。とても立派な態度でいただいていました。

 今回、「草原の里」に選ばれた草原は33箇所で、そのうち16箇所の代表が実際に来ていました。印象的だったのは、16箇所の「草原の里」のうち3つは草原のある自治体の長(具体的には町長さん)が来ていたことでした。地元の自治体が草原の保全を強力にバックアップしているんだなあということを強く感じました。

 その後、6つの「草原の里」から事例発表がありました。中止されていた山焼きを復活した話、刈った草をまとめて「茅ボッチ」という谷地坊主みたいなのを作って草原に並べる話、刈った草を地元で大切に継承されてきた在来馬に与えている話など、多様で豊かで面白い草原保全の実践事例を聞くことができました。

 その後、大学の建物の最上階のラウンジに席に移して、交流会があり、ざっくばらんに、様々な地域の方と意見交流をすることができました。東京の夜景がとてもきれいでしたが、それ以上に話がはずみ、夜景どころではありませんでした。

 実際に草原保全をしている、草原に熱い想いを持っている方々から直接お話を聞いたり、ひざを交えて交流できる、非常に貴重な機会でした。できれば、こんなステキな時間を、もっと若い人たちに経験してもらい、刺激を受けてもらえたらよかったなあと思いました。今度、このような機会がありましたら、ぜひ、乙女高原代表として参加してくださいね。今回と同じように、喜んで、乙女高原ファンクラブから旅費を出してもらいますよ!!

 

※参加された角田さんがレポートを書いてくださいました。

 

 2022年10月19日に東京農業大学 横井講堂において未来に残したい草原の里100選認定書授与式に、植原さん、三枝さんと私3人が乙女高原ファンクラブ 代表として

授与式、及び記念講演、事例発表(記念フォーラム)そして、フォーラム終了後の交流会に参加して来ました。

 全国草原の里市町村連絡協議会長  岩井様より認定書を授与して頂きました。記念写真を一緒に撮影後、意気込みスピーチが有り、乙女高原のファンクラブ創立が2001年4月からと、乙女高原について、終戦前は刈った草を肥料等に使うために、戦後 スキー場になり2000年からは草原の保全のために草原の草刈りを行っています。今年は11月23日に草刈りを致しますので、よろしくお願い致します。

 以上がスピーチです。1分間スピーチなので伝えられない事が多くとても残念でした。

 乙女高原を全国に知って頂ける、良い機会だったと思いました。交流会で乙女高原の草刈りボランティア2022のちらしを配布して、選考委員の方にお礼と現状、保全活動、後継者育成等をお話しアドバイス等頂き、また他の地域で活動している方々と情報交換をして有意義な1日でした。これを機に乙女高原をより多くの人に知って頂ける活動を行っていきたいと思います。以上が感想です。

※三枝さんもレポートを書いてくださいました。

 10月18日東京農業大学横井講堂で開催された未来に残したい草原の里100選の授与式・選定記念フォーラムに角田さんと植原さん、三枝の3人で参加してきました。
 はじめのあいさつで、全国草原の里市町村協議会会長・岩井茂樹(静岡県東伊豆町長)さんから「草原のあるくらしは、人と自然との長年に渡るやりとりを通じて多くの知識・意識・技術を紡ぎ、価値ある『共創資産』を育んできた。「草原の里」に残る共創資産を、持続可能な自然共生型の社会の道しるべとして次世代につなぐため、『未来に残したい草原の里100選』の取り組みを始め、今回、北海道からから九州までで34の未来に残したい草原の里が認定されました」とのあいさつがありました。
 16人の「草原の里」代表者が認定書をもらい、会長との写真撮影の後に、1分間スピーチで草原のピーアールを行いました。

 記念フォーラムでは、6つの事例発表がありました。6番目の南阿蘇村村長からの発表は、他の阿蘇草原地域の選定された4地域を代表しての発表でした。阿蘇の草原面積は100年前にくらべおよそ半分に激減。これ以上減らさないための施策が急務。阿蘇の草原は農耕や牧畜、観光産業の発展をもたらせた。草原は地下水かん養能力に優れ、熊本平野の豊富な地下水となり九州の6つの一級河川の源流になっている。山より草原の方が地下水をためる力が大きいそうです。熊本は最近大地震や、集中豪雨により大きな災害を受け大変。その中での草原の維持管理・次世代への伝承の活動はもう頭が下がります。
 フォーラムが終了して、会場が地下1階から地上8階に移動しました。

東京の夜景、スカイツリーから東京タワーまでの大展望に大きな歓声を上げましたが、交流会の賑やかな事。東京から移住して長野県開田高原で木曽馬3頭を飼いながら高原を守る活動している33才の女性は、生活の糧は蕎麦屋さんで働き、その隣のおじさんは50頭の馬を飼っているそうです。昭和40年頃の木曽福島の馬市の話・馬との生活の話・現在の馬との生活の話、やはり輸入の乾燥ほし草を使っているそうです。持続可能な活動、環境保全と観光・活動の見える化の必要性、高齢化・後継者不足・・・と悩みは共通でした。でも、楽しく活動している様子がお話の中でいっぱいでした。

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埼玉県立博物館「奥秩父の自然」特別展+長瀞

2022年08月02日 | 参加報告

埼玉県長瀞町にある埼玉県立自然の博物館で特別展「奥秩父の自然」が開催中というのを聞いて、さっそく行ってきました。特別展は2階の教室ほどの広さの展示室で行われていました。行ったのは平日でしたが、親子連れが入れ代わり立ち代わり観覧していました。
 展示は「地形・地質」「植物」「動物」の3つのコーナーから成り立っていました。

 「地形・地質」については、さすがに博物館が立地している長瀞が「地球の窓」「日本地質学発祥の地」となっているだけあって、多様な資料が展示されていました。「鍾乳洞の中で死んでいた1万8千年前のヒグマの骨・・・なんていうのもありました(1階の常設展の鉱物・岩石・化石の展示もおもしろかったですよ)。
 「植物」「動物」については、乙女高原の調査や活動に役立つ情報があるのではないかと、目を皿のようにして見て回りました。埼玉では20種類のカエデが見つかっていて、それが博物館の庭に植えられていました。奥秩父ではそれらがすべて見られるそうです。乙女高原にもカエデが20種類あるのかな? 乙女高原で観察されるコケは図鑑と見比べても近縁種と見分けがつかず、半ばあきらめていたのですが、展示にはミズゴケの仲間としてホソバミズゴケ、マンネングサの仲間としてフジノマンネンゴケ、あとイワダレゴケ、オオフサゴケがありました。写真を見ると、どれも見覚えのあるものでした。動物の中では、コウモリ類が目を引きました。また、大型哺乳類のはく製は、大人と子どものセットになっていて、種内の多様性を見せる意味でも、このような展示は意味あるなあと思いました。


 展示目録が販売されてないのが残念でしたが、写真は概ね可だったので、解説文も含め、一生懸命に読んで、写真に撮ってきました。

 博物館のすぐ前の川を少し歩くと、有名な「岩畳」だったので、猛暑の中でしたが、じっくり歩いてきました。一通り歩いたのですが、どうもよくわからないことがあり、ブラタモリでも紹介されていた天然氷のかき氷を食べ、お蕎麦を食べたあと、もう一度歩いてきました。スイーツと食事の待ち時間に、博物館で買ったガイドブックを読んでから歩いたので、今度はよくわかりました。


 埼玉の県立博物館で足元の自然をちゃんと見ようという企画展が行われている一方で、わが山梨の県立博物館では地球の裏側・南極の特別展です。私も南極には興味がありますし、特別展とコラボしている「女子高生が南極に行くアニメ」は、南極までの航海の様子や昭和基地での暮らしの様子が丹念に描かれていて、とても好感を持っています。もちろんどちらも意義ある特別展とは思いますが、「いったい軸足をどこに置いているの?」とひとこと言いたくなります。

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長野県の高ボッチ(塩尻市)と長峰山(安曇野市)に行ってきました

2022年07月20日 | 参加報告

 7月下旬、長野県に行ってきました。メインの目的は、以前、当メールマガジンで紹介した※「蝶を指標とした、つまり、蝶に選ばれる里山管理」をしている長峰山の活動を見せていただくことでしたが、その手前にある高ボッチにも行ってきました。
    ※メールマガジン474(2022.4.13)

 まず、高ボッチ。森の中の狭い林道を30分くらい車で登ったら、急に視界が開け、ササ中心の草原が広がっていました。標高は約1,600m。ほぼ乙女高原と同じ標高です。お昼ごろ、駐車場に着いて、ビジターセンターを訪ねました。ここは「でいだらぼっち館」という名称なんだそうです。そこには高ボッチを紹介するパネルがあったり、グッズやコーヒーなどを販売するコーナーがありました。リニューアルされた感じです。スタッフさんも一人いました。そこに置いてあったチラシを見たら、ちょうど今日が年に一度の「みんなで守ろう 高ボッチ高原の自然」の日でした。一般公募し、午前中は外来種の駆除を、午後からは自然観察会をするのだそうです。ここまで登ってくるまでにたくさんの対向車とのすれちがいが大変だったのも、「あの人、役所の人だよね」という作業着を着ていらっしゃる方が4人でお弁当を食べていたので「何の用なんだろう」と気になっていたのも、すべて合点がいきました。
 聞いたら「塩尻市自然保護ボランティア」の方々が観察会を運営なさるとのことだったので、頼んで、観察会に参加させていただくことにしました。
 開会は塩尻市役所の職員の方が行い、そろいの緑の帽子をかぶった自然保護ボランティアの方々に引き継がれました。

 観察会はセンターのすぐ前にある、金網のシカ柵の中を歩くことから始まりました。テニス・コートくらいの広さの柵ですが、中は様々なお花が咲き乱れ、それらにたくさんの蝶やマルハナバチが訪れていました。

花は乙女高原で見られるメンバーとほぼ同じでしたが、ハクサンフウロ、ノハナショウブ、ユウスゲ、イブキトラノオ、それからまだ咲いていなかったクサレダマが目新しかったです。反対に、クガイソウの姿がなかったのは意外な感じでした。それから、乙女のコウリンカは花びらが細くて、下に反り返っているのが特徴的な花ですが、高ボッチのコウリンカはそれに比べ花びらが太いし、あまり反り返っていないし、変な感じでした。

 その後、柵を出て、展望台に向かって歩きながら観察しましたが、花の数が少ない感じがしました。理由は2つありそうです。


 一つはシカ。あれだけ「シカ柵内では花がいっぱい咲いて、それに訪花昆虫たちがいっぱい来ている」様子が高ボッチに来ている皆さんに「見える化」されているのだから、乙女高原のように、もっと広いシカ柵を設置することを考えればいいのに・・・と思いました。高ボッチの全エリアをシカ柵化することはおそらく無理だと思います。一部をシカ柵化することによって、「シカ柵があればこうなる」「なければこうなる」という比較ができ、それはそれで非常に価値があることだと思います。
 もう一つは草刈り。夏場も草刈りしているエリアがあるそうです。そのせいか、そのエリアは草丈が低く、草たちの勢いがないように感じられました。乙女高原で行った「草刈り実験」でも、夏の草刈りが草たちの生育に大きな影響を与えることが分かっています。
 展望台からの眺めは絶景でした。諏訪湖が見えます。富士山まで見えます。振り返るとまだ雪が残るアルプスの山々が見えました。

 でいだらぼっち館前に戻って、解散でした。希望者には塩尻市によって送迎の車も用意されていたようです。自然保護ボランティアの皆さん、ありがとうございました。

※高ボッチの自然保護ボランティアについては以下の動画を参照してください。
 https://www.youtube.com/watch?v=scQm_04XOOI

 それからしばらくの間、一人で歩き回りました。夏の間、牛の放牧場として利用されているエリアもありました。なんと、草競馬場までありました。

駐車場からホザキシモツケがいっぱい咲いているのを横目に見ながら下ると、ヒョウタン池という、トノサマガエルがいっぱいいる池がありました。

 高ボッチから下ると、崖の湯温泉に出ます。ここに宿泊しました。木の匂いのするお風呂と、山菜豊富な美味しい料理でした。
 翌朝、崖の湯を出発するときはそうでもなかったのですが、途中から本降りになり、風まで出てきて、どうしようと思いましたが、雨も天気のうちです。最悪、雨の中、一人で歩きまわればいいやと思って、現地に向かいました。


 長峰山の里山管理を行っているNPO「森倶楽部21」の永田さんたちと待ち合わせたのは、「蝶の森」すぐ下の駐車場でした。もともとこの日は蝶の森での作業日でした。それに合わせて来訪し、作業の様子を見学させていただきながら、いろいろ説明もしてもらおうという計画でした。ところが、雨で作業は中止。それでも5人ものメンバーが集まってくださいました。5人を貸し切りさせてもらった感じです。

 まずは蝶の森。小さなピークの小さな草原でした。聞けば、ここに観光乗馬園があったとのこと。それが放棄されて藪だらけになってしまったので、「開墾」して、「土返し」をし、この地にもともと生えていた草花を復活させたんだそうです。まわりの藪も払い、蝶も通りやすいような、風通しのよい雑木林を目指して管理しているとのことでした。聞かなければ、目の前の草地と雑木林を見ただけでは、こういった「土地の履歴」は分からないなあと思いました。なんと、雨は上がってしまいました。


 次に向かったのは、長峰山の山頂。とても大きなモニュメントととても高い展望台がありました。きっと麓からでも見えるよう、木々に邪魔されず遠くのほうまでも見えるように作られたのでしょう。草原になっていましたが、一部が芝生のように草丈が極端に短くなっていました。パラグライダーやハングライダーの滑走路なんだそうです。ここには草原特有の草花は見られませんでしたが、周囲にはカセンソウやキキョウが咲くエリアがありました。峰の北側にはワラビがいっぱい生えているエリアもありました。さっきの蝶の草原もそうでしたが、ワラビがたくさん見られるのは、おそらくシカの影響と思われます。ワラビはシカが食べない草なので、「シカが増えるとワラビも増える」ということになります。シカの影響を考慮しながら、「どのような草原の姿を目指していくのか」多くの人や団体と妥協点を見出していくのは難しそうだなあと思いました。

 ほかにも堤平、水田跡地、天平自然園を見せていただきました。

一つ一つのエリアはそんなに広くないですが、たくさんのエリアがあって、それぞれを、それぞれのエリアの特徴に合わせて管理していくのは大変そうです。

 地域の人たちが大切にしている矢ノ沢山の神社や分教場跡も見せていただきました。分教場跡の部屋を借りて、倶楽部の備品等を保管しているんだそうです。神社には、どういうわけかナナフシがいっぱいいました。

分教場の「教室」にはコウモリの糞がたくさん落ちていました。山の中のパン屋さんでおいしそうなパンを買い、お寺の境内をお借りしてお昼ご飯を食べました。

 今日の作業は雨で中止になったのに、その雨は早々に上がってしまいました。倶楽部の皆さんを貸し切り、倶楽部の活動場所全部をていねいに説明していただくという、贅沢な1日を過ごすことができました。
 「他所の土地を見せてもらうと、自分の土地のことがよくわかる」ということがあります。今度は森倶楽部21の皆さん、ぜひ乙女高原においでください。

※長峰山で蝶を指標として里山保全活動をしている森倶楽部21については以下のサイトに。
 https://ja-jp.facebook.com/morikurabu21/

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入笠山の花畑と湿原

2021年07月25日 | 参加報告

 乙女高原を訪れた方から、よく「入笠山も(花がたくさんで)よかったですよ」といった話を聞いていたので、一度は行ってみたかったのですが、コロナ禍でなかなか機会が作れません。ところが、このところ山梨も長野の感染状況が落ち着いているようなので、今年こそは夏の花の時期に行ってみることにしました。
 7月25日に決行しました。入笠山は、冬季、富士見パノラマスキー場となり、ゴンドラが設置されていますので、頂上近くまでゴンドラで行くこともできるのですが、登山の道すがらでも自然観察したかったので、ふもとの登山道入り口駐車場に車を止めて、歩いて登ることにしました。自宅から沢入登山口まで、中央道経由で1時間半くらいでした。ここから上はマイカー規制区間になっていました。

 山道を登るにつれ、アカマツ林からカラマツ林へと替わっていきました。両者ともよく手入れされ、林床は基本的にミヤコザサ。最近は乙女高原のミヤコザサはシカに食べられてしまい、みすぼらしい感じなので、久しぶりに立派なミヤコザサを見た感じです。乙女のササはひざ以下、ここのササは腰以上です。

ササにモミジイチゴなどが混ざっていました。足元から上へと視線を上げていくと、ミヤコザサからいきなりアカマツやカラマツになります。中間の亜高木層を欠いているので、とてもすけすけしている感じがします。だから、森の中にも関わらず、さっきからホオジロの声が響いているのだと思います。ホオジロは疎林が好きな鳥です。ウグイスもよく鳴いていますが、うっそうとした笹原のおかげだと思います。道にテンの糞を3つ、見つけました。中に小さな種がたくさん入っていました。木いちごの種だと思います。

【入笠湿原】1時間ほど歩くと、シカ柵が見えてきました。漁網のようなシカ柵です。ゲートは乙女のような「開き戸」ではなく「引き戸」になっていました。

ドアを開いて入ると、自動的にドアが閉まるようになっていました。中は入笠湿原でした。たくさんの花が咲き乱れています。

シシウド、カラマツソウ、ヨツバヒヨドリ、クガイソウ、ヤナギラン、ノアザミなど、乙女高原でもおなじみの花から、カワラマツバ、コバギボウシ、ノハナショウブなど、乙女ではお目にかかれない花もありました。この湿原は広さが2ヘクタール弱だそうです。斜面を登るとだんだん狭くなる三角形をしていて、不自然だなあと感じました。近くの山小屋・山彦荘の方に話を聞くと「以前はスキー場だった」とのこと。だから、森の木が直線的に伐られていたのです。「斜面の下はキャンプ場だったんですよ」とも。時代の流れを感じます。

 

【入笠花畑】ここから、入笠山山頂を目指します。「入笠花畑」経由です。入笠湿原と同じく、花畑もシカ柵の中でした。

ここもあふれるばかりの花々。草原の斜面を、ジグザグに登っていきます。乙女のシモツケソウは花の色がバラエティに富んでいて、ほとんど白から赤に近いピンクまでありますが、ここのシモツケソウは見事なまでにまっかっかでした。

入笠湿原で見られた草花はもちろん、アサマフウロやチダケサシ、オトギリソウ、カワラナデシコなども咲いていました。ヤナギランの葉にスズメガの仲間が止まって…これは、あきからに卵を産んでいる行動だったので、彼女が去った後、そっと葉をひっくり返して、卵を確認しました。

シロバナノヘビイチゴの赤い実がおいしそうだったので、一つ失敬。おっとこれは秘密です。
 シカ柵ゲートを出て、山頂を目指しました。岩場コースと迂回コースがあったので、迷わず岩場コースを選択。でも、とってもショボイ岩場でした。山頂は裸地で、岩がごろごろしていました。四方の眺めは最高です。

諏訪湖も伊那の街並みも見えました。夏空にいくつかパラグライダーが気持ちよさそうです。あいにく八ヶ岳や富士山、南アルプスはほとんど雲に隠れていました。たくさんのアキアカネが飛んでいました。ここで少し休憩し、来た時とは別の道を下り、次の目的地・大阿原湿原を目指しました。ここでもカラマツとミヤコザサの中を道は伸びていました。クリンソウやサワギクの姿が現れ、湿原が近いことを教えてくれました。

【大阿原湿原】何も表示はありませんでしたが、湿原に着きました。教室一つ分のウッドデッキがあり、そこから木道が湿原の中を通っていました。

湿原の中に木が生えています。双眼鏡で確かめましたが、シラカバやズミ、カラマツ、ヤナギ類といったところです。さっそく歩き始めました。
 おっ、足元に小さな小さな白い花…と思ったら、モウセンゴケの花でした。

さっそくパピリオ双眼鏡で拡大して観察です。葉が平たいはんぺんのように膨らみ、細長いとげがたくさん生えています。とげの先には透明な水玉が一つずつ。とてもきれいに輝いていました。虫でも捕まっていないかなと探しましたが、見つけることはできませんでした。試しに水玉に指を近づけてみたら、くっついて離れなくなりました(撮った写真を後で確かめたら、虫が捕まっている写真が偶然撮れていました)。

 12ヘクタールの湿原の縁に沿うように遊歩道が敷かれてあり、それを一周しました。途中で会った男の子が「まるでアフリカのサバンナみたいだね」と話をしているのが聞こえました。確かに「草原の中にポツンポツンと木が生えている」景観はサバンナみたいです。おまけに木々は日光を独り占めできる状況にも関わらず、根本近くには枝がなく、地上2メートルくらいのところから枝が出て葉が茂っていました。その様子がますますサバンナぽかったです。

 あ、報告が遅れましたが、入笠湿原にも大阿原湿原にも谷地坊主はありませんでした。「入笠山に谷地坊主はあるか?」これが今回の登山の大きな目的の一つでした。
 遊歩道に沿って杭が打たれ、ロープが張ってあるのは乙女と同じでした。杭とロープの結節も、「穴にロープを通す」なんてことではなく、とっくり結びでした。これも乙女と同じです。ただロープが上と下の2本張られているのが違いました。また、とっくり結びと言いましたが、時々、ただぐるっと杭を一回転してあるだけだったり、とっくり結びではない(いい加減な)結び方がしてあったりしたので、笑ってしまいました。ロープ等に自然や植物を解説ひるような看板は一つもありませんでした。

 湿原を一周して、最初のウッドデッキに到着。そこからちょっと森に入ったところで昼ご飯にしました。靴をぬいで、少しくつろぎました。近くのウラジロモミの幹に立派なシカの角研ぎ跡がありました。

食後は帰りに向かいましたが、できるだけ午前とは違う道を選びました。カラマツにたくさんの長いサルオガセがついていました。


 乙女のサワギクはとてもか弱い感じですが、ここのサワギクは大きくて、とても元気です。午前には通らなかった八ヶ岳がよく見える展望台と、再度入笠花畑を通って、マナスル山荘に到着。屋根に天体望遠鏡の入ったドームが付いている山小屋です。ここでソフトクリームを食べました。


 再度、入笠湿原を歩いて、ゴンドラの山頂駅まで行きました。ここで入笠山のガイドブックが売ってたら買いたいなと思ったのですが、そんなものを売っている気配はありませんでした。ゴンドラからマウンテンバイクを持った人がたくさん降りてきて、びっくりしました。ちっちゃな子も一人前にヘルメットやひざ当て・ひじ当てをしています。ここから専用のコースを下るのだそうです。駅前にも山野草園があり、ここには植物解説板もあったので、一周して見学しました。

※ギンボシヒョウモン?に求愛しているツマグロヒョウモン。誤解してる?

そこからまた入笠湿原に戻り、3度目の湿原観察を楽しみました。エゾリンドウの株がたくさんありました。開花期はさぞきれいだろうと思います。


 登山道を無事に降りました。車でゴンドラの麓駅にも寄ったのですが、ここにもガイドブックはなし。仕方がないので、帰路に着きました。

 今回、初めてヤマケイの登山スケジュール作りアプリを使って、スケジュールを立てて見ました。それでおおよそのコースタイムが予測できたので、時間をうまく調節しながら、見たいところを全部、余裕を持って、歩くことができました。このアプリは結構便利です。おかげさまで充実した山の自然観察行となりました。

 結論。乙女高原には乙女高原の、入笠山には入笠山の、ステキでかけがえのない自然があり、甲乙つけようとするのはナンセンス!!

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