参加された井上さんがレポートを書いてくださいました。
1月8日は観察交流会。このところ毎日冷え込んで寒さが厳しいので、防寒対策をしっかりして牧丘道の駅に行きました。集まったのは3名。こじんまりした観察交流会となりました。前々日に都心で10cmくらいの雪が降ったので、乙女高原も雪が積もっているだろうと、長靴に履き替えて出発しました。
いつもはあちこち寄り道をしながら行くのですが、この日はまっすぐ乙女高原まで行きました。柳平までの林道には雪はほとんどありません。雪はあまり降らなかったようです。柳平からの道は雪で白くなっていました。動物の足跡も見られました。
10時前に乙女高原に到着。快晴で気温はマイナス3℃。日陰は雪で白くなっていましたが、雪のないところもありました。草原に入って、雪の上を歩いていきました。積雪は10cmくらい。暮れに降った雪の上に、一昨日の雪が積もってサラサラです。雪の降ったあとの楽しみは動物たちのフィールドサインです。キツネやテンの足跡がありました。斜面を登っていくもの、林の中から出てきて、草原を横切っているもの、どちらに向かって行ったのか、ふだんはわからない動物たちの行動が見えます。立ち止まって糞や尿をした跡。草原のコースの頂上では、圧雪されてその上には爪痕も。ここでじゃれあったのか、喧嘩したのか、想像するのも楽しいです。
雪面には植物の枯れたものも顔をのぞかせています。キリンソウ、リンドウ、オケラ、シモツケなど。キリンソウやシモツケのドライフラワーは小さな星の集まりのようでかわいいです。冬芽の観察もできました。レンゲツツジは赤い芽、ツノハシバミにはもう雄花の準備ができています。青空にはシラカバやダケカンバの幹の白さが映えます。
展望台では、白く輝く富士山がよく見えました。盆地の上と下に空気の層ができたようで、富士の中腹に雲が横にたなびいています。
反対側のカラマツの樹間には八ヶ岳が白くくっきりと見えます。ヨモギ頭に登ると、ダケカンバの間に南アルプスの山々もはっきりと見えました。八ヶ岳と南アルプスの間に真っ白な山が見えます。乗鞍岳だろうか、木曽駒ケ岳かと盛り上がりました。
ブナ爺さんに下っていく遊歩道上にもテンの足跡があります。動物も遊歩道の方が歩きやすいのでしょう。肉球や爪痕もくっきり見えました。
ブナ爺さんも冬見ると枝ぶりが良く見えます。くねくね曲がった枝があり、幹も根元から枝分かれしていて、普通のブナと樹形が違います。ブナ爺さん、どんな人生ならぬ樹生を歩んできたのでしょうか。
近くにあるブナの幹に割れ目が2か所あって、寒さで割れたとのこと、木々も厳しい環境下で生きているのですね。
ここで枝先にねじのような形のものが付いている枝を発見。種が落ちてしまった跡のようです。近くの木から落ちたのでしょうが、どの木かわかりません。何でしょうか。(ロッジ前にもどって見た冬芽図鑑で、シラカバの実の形状が似ているかも、拾ってきたダケカンバの枝にも似たものが付いているということで、ダケカンバの実が落ちてしまった跡ではないかということになりましたが真相は?)
水が森林道を歩いてロッジに向かいました。林道は車が通って圧雪されていて、歩くとキュッキュッといい音がします。そして林道にも動物の足跡がいっぱい。テン、キツネ、シカなど。シカの爪跡は2つなのですが、ところどころに3つのものがあり、植原さんはもののけ姫のシシ神様だと言っていました。足跡が重なって3つに見えていたのですが。
テンの足跡は途中でSの字のようになっているところがあって、ここで何をしたのだろうと盛り上がりました。ネズミの足跡は真ん中にしっぽを引っ張った跡がありました。朝からとても静かで鳥の声もしませんでしたが、ここで、コガラ、ゴジュウカラを見かけました。
ロッジ前にもどって昼食。冷たい空気ながら、お日様のぬくもりがありがたい。昼食後、植原さんが見つけた鳥の巣らしきものを見に行きました。ハンノキの上の高い所にコケで作ったボール状のものがあります。誰が作ったのでしょう。
その後、湿地の所へ行きました。谷地坊主が雪の中につかっているよう。広がっていた葉がまとまってきて形のよいものもありました。
湿地から、草原に入ろうと鹿柵の東側入口の所に行ったのですが、扉が開きません。扉が差し込んである部分が5cmくらい持ち上げられていました。霜の力はすごいです。草原には入らず、駐車場にもどりました。
帰りの林道で、ウサギの足跡を観察しました。ところどころに立ち止まった跡があり、そこで細い木の枝などを食べていたようです。ウサギの食痕はナイフでするどく斜めに切ったようになっていました。ここでこの日の観察は終了。道の駅に戻って解散となりました。寒いけれど、冬ならではの楽しい観察ができました。