乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

2022年度 第3回 乙女高原連絡会議・乙女高原FC世話人会 議事録

2022年09月15日 | 世話人会

日 時:2022年9月15日(木)  午後7:00~8:30

 

乙 女 高 原 連 絡 会 議

 

■第21回草刈りボランティア  (検 討・連絡会議)

・コロナ感染対策を万全に行う。そのため「コロナ感染対策」担当を置く(救護係が兼務)。

・11月23日(水・祝)。10:00-12:30と時間短縮する。 荒天の場合27日(日)に延期。

・ちらしは作成・配布する(その後、印刷会社に依頼。作成中)

・刈り草をゴミ収集車で搬出するよう依頼。搬入先の残土処分場は県で確保済。

・往復バスの運行は、市の公用車を使用する(10人乗り2台)。

・豚汁づくりは感染防止の観点から中止。

・記念写真撮影は行う。

・諸団体への協力依頼はする(「できる範囲でご参加ください」というスタンスで)

・県は事前草刈りを行う。

◎検討した草刈りボランティア資料に沿って、市・県・FCで各々準備を進める。

・下見・下準備は11月12日(土)9:00から。乙女高原にて。

※2023年1月29日(日)の乙女高原フォーラムも開催する方向で準備を進める(ちらしを作成する)

 

■シカ柵内の植生調査        (振返り・連絡会議)

・植生調査は植物の採集等を伴わないため、入山申請をせずに実施した。

◎どんな活動なら入山申請が不要なのか、その際の条件は何か等を検討し、明文化する必要がある。

 

■乙女高原での映画等の撮影    (検討・連絡会議)

・遊歩道内を使うのであれば、まったく問題ない。ロープが張ってある草原内に侵入するのが問題。

・県・市は、それぞれのルール・前例に従って、校正公平に判断していく。

◎FCは草原保全の観点から以下のような判断基準を示す。撮影希望団体等にはFCの判断基準を伝えてもらい、その上で、環境倫理観に立った判断を希望する。

【乙女高原での映画等の撮影について  2022.9.15. 乙女高原ファンクラブ】

 

○遊歩道内で撮影するのであれば、人数が多くても、特に問題はない。

・一般のお客さんの通行に配慮をお願いしたい。

◎遊歩道を外れて、草原の中で撮影するのはやめていただきたい。

・乙女高原の草原は亜高山性高茎草原。日光をめぐってススキと背を高める競争をし、その結果、背が高くなっている植物が多い。それらは人の踏みつけに非常に弱い。

・人の侵入に脆弱だからこそ、山梨県・山梨市・乙女高原ファンクラブが協働でロープを張り、人の侵入を規制している。入っても許される場所をファンクラブが指定することは難しい。

○保全のために必要な場合は草原内に入ることはある。その場合は事前に相談し、最小限の侵入にとどめる。

○草原内に入りたいのであれば、遊歩道のない(従って、草原への侵入が規制されていない)「第2乙女高原」を使用したらどうか。

○以上は、あくまでファンクラブの立場であり、最終判断は土地所有者である県がすべきである。

※枠内の文章は、連絡会議の提案文書の文意を変えずに推敲したものです。検討をお願いします。

 

■草原内の外来種の扱い   (検討・連絡会議)

・この件については、植生調査の件と同様に、以下の検討が必要。

◎どんな活動なら入山申請が不要なのか、その際の条件は何か等を検討し、明文化する必要がある。

 

乙女高原ファンクラブ世話人会

 

■花と昆虫のリンク(=訪花昆虫)調査   (振返り・世話人会)

・高槻先生による第2回(6/18),第3回(7/3),第4回(8/11)の結果と考察。第5回(9/11)レポート。

◎世話人会後、第6回調査実施が決まった・・・10月8日(土),9:40~

 

■マルハナバチ調べ隊    (振返り・世話人会)

・今年度3回のレポートと調査結果。「マルハナバチと訪れる花」の関係を図示。多様度の変化が分かる。

 

■谷地坊主の観察会  (振返り・世話人会)

・7年間の調査記録をグラフ化。微増していることがわかる。

 

■夏の案内活動 (振返り・世話人会)

・「来た方にフィールドガイドを手渡しする」だけで、多大な案内効果があった。

 

■笛川小の乙女高原自然観察学習 (振返り・世話人会)

・案内人3人による5年生27人の案内。活動する案内人を増やしたい!!

・下見・準備・打合(8/22),引率の先生との打合(8/23),教室での説明(8/31),当日(9/2)。

 

■今後のロッジの在り方 (報告検討・世話人会)

・山梨市役所牧丘支所とファンクラブ代表世話人との話し合いを行った。

・ホールに展示物を置き、ファンクラブの活動があるとき開館する・・・という方向で検討。

・旧総合会館の展示ケースの一部をロッジに搬入予定(支所で)。

 

■「未来に残したい草原の里100選」 (検討・世話人会) 

・10月18日(火)13:00~18:30 東京農業大学でフォーラムを開催。3人が参加。旅費FC。

 

■スミレ・フィールドガイド (検討・世話人会)

・増刷を決定。実行していく。

 

■乙女高原ファンクラブ代表世話人が山梨市観光協会の理事に (報告検討・世話人会)

・今年度いっぱいは理事を務める。

・次期以降は、会員として留まるが、理事は辞退する旨、観光協会事務局に報告する。

 

■そ の 他

・グリーンロッジのキャンプ禁止看板→いたずらされたら、貼り直しを(紙はロッジ物置に)

・山日新聞2022.9.6「山日と私」に植原のインタビュー記事が。

 

 

【次回連絡会議/世話人会】10/20(木)19:00~ 牧丘総合会館 (山梨市役所牧丘支所)

 

※それ以降は11/17(木)、12/15(木)、いずれも19:00-…の予定

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花と昆虫のリンク調査

2022年09月11日 | モニタリング調査

 植生調査の翌11日は花と昆虫のリンク調査、すなわち訪花昆虫調査でした。宿に高槻先生をお迎えに行き、宿ご主人のご厚意でコーヒーをいただき(ありがとうございました)、乙女高原へ。すでに4人が調査の準備を始めてくださっていました。今日の参加者は高槻先生、井上さん、芳賀さん、篠原さん夫妻、植原の6人でした。いずれも昨日から連日参加です。

 100m巻き尺、2m折り尺、ペグなど必要機材をトートバックに入れ、4セット作りました。高槻先生から調査の概要をご説明いただき、4チームに別れて、「遊歩道を歩きながら花に来ていた昆虫を全部記録する」調査を行いました。昨日、花に来ている昆虫の様子を見ていたので、「今日の調査はすごいことになる」という予感はビンビンにしていました。ゴマナにしろアキノキリンソウにしろノダケにしろ、とにかく訪れている昆虫の数がハンパないのです。巻き尺を伸ばして、植物名と訪花昆虫名を距離と時刻とともに記録していくのですが、調査用紙があれよあれよという間に埋まっていきます。花も多く、それを訪れる虫たちせはもっと多いので、脳みそがくたくたになりました。

 高槻先生からは「花を訪れている虫がいたら、写真を撮っておいて」と言われていたのですが、とてもその余裕はありませんでした。

 行きは巻き尺の右側2mを、帰りは左側を見たので、計100m×4mの面積の「花を訪れた昆虫」を記録したことになります。そしたら、10mごとに左右2つの1m×1m方形枠を設置し、その写真を撮りました。この時期の開花の様子をざっくり記録しておくためです。これで1単位の調査がようやく終了です。

 午前中は1単位の調査で精いっぱい。ロッジのベンチに戻って、記録用紙をチェックし、書き忘れた項目を書き足したりしました。高槻先生-篠原厚さんチーム、芳賀さん、植原は12時前には調査を終えたのですが、井上さん-篠原ふさんチームは熱心で、待っていてもなかなか来ません。仕方がないので、お昼を先に食べ始め、時間差で午後の調査を始めることにしました。

 井上さん-篠原ふさんチームの奮闘で、だいぶ調査がはかどったので、午後からは4でなく3チームで調査することにしました。午後3時前には、「ツツジコースの森の中」を除く全ての遊歩道で調査を行うことができました。調査に参加された皆様、ご苦労様でした。ありがとうございました。

 調査用紙は全部で42枚にもなりました。これをパソコンに入力し、結果をまとめるのですから、高槻先生はこれからがたいへんです。いつもいつもありがとうございます。

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植生調査

2022年09月10日 | モニタリング調査

 2015年11月に乙女高原の巨大シカ柵が設置されたのですが、シカ柵設置が乙女高原の植生にどんな変化をもたらすかをモニタリングするために、設置直前の2015年9月からこの植生調査が始まりました。元麻布大学野生動物学研究室の高槻先生のご指導です。

 2015年9月、草原内に10本のポールを立てました(ピンクのテープがなびいていますから、よく目立ちます)。ここが調査ポイントです。毎年1回、9月に、これら調査ポイントで調査を行っています。

 朝、塩山駅で高槻先生をピックアップし、乙女高原に到着すると、すでに調査に参加する皆さんが集まっていました。集まったのは8人。高槻先生はじめ、芳賀さん、井上さん、篠原さん夫妻、奥平さん母子、そして植原です。高槻先生から調査の概要を説明していただき、さっそく調査に入りました。この調査は翌日のリンク調査と違い、「分担して行う」ことはないので、「調査に参加」といっても半分以上は「見学」です。とはいえ、いつもは入れない草原の中に入れる又とない機会ですし、見学がほとんどだからこそ、参加しやすいという面もあります。また、後述しますが、ちっちゃな草まで分類するという調査シーンは、ある意味衝撃的です。

 まずは草原の中で地図を頼りに目印のポールを探します。ポールを左下隅とし、斜面上方向に1m四方の方形枠を作ります。これには2m折り尺がとても便利です。折り尺のめもりを頼りに、10cm×10cmの範囲内に出てくる植物を全て記録します。全てということは、小さな草も含めて全部ということです。当然、その多くは花も付けていません。高槻先生が中心に植物を同定し、井上さんや植原も協力しました。記録は井上さんが担当してくださいました。

 初めて参加された篠原さんが「花もないのに、しかも、こんなに小さな草なのに、よくわかりますね」と感心されていました。そういえば、自分も初めて植生調査を体験したときに、同じ感想を持ったことを思い出しました。タネあかしをすると、一つは、乙女高原に生えている植物リストが頭に入っていて、そのリストの中からだけ選べばいいこと。もう一つは、花が咲いていなくても植物を見る習慣がつき、経験を重ねたことです。

 特に二つ目については、まだまだ勉強中です。今回も、見慣れない根生葉(タンポポみたいにロゼット状に出てくる葉)がありました。葉の柄が長くて、柄の先に卵型の、ちょっとギザギサのある葉が付いています。柄が少し広くなっていて、ちょうどカレースプーンのようです。種から芽生えて、はじめのころはこの根生葉で栄養を貯め、しかる後に茎を伸ばして花を咲かせるのでしょうが、根生葉を見ただけでは、頭の中の「乙女高原植物リスト」の何にもヒットしません。

 高槻先生が「ヒメジョオンじゃない!?」とおっしゃいました。えっ、ピンときません。でも、お昼に車から『植物検索ハンドブック』(NPO法人埼玉県絶滅危惧植物種調査団、さきたま出版会)を出して、ヒメジョオンの項を見てみたら、この根生葉が載っているじゃありませんか。びっくりしました。「へぇ、ヒメジョオンの小さい頃ってこんななんだ!」

 帰ってから『雑草の芽生えハンドブック』(浅井元朗、文一総合出版)で確かめたら、確かにヒメジョオンでした。隣にハルジョオンが載っていました。この二つはよく似ていて、間違われることが多いのですが、根生葉の形は全然違っていました。ヒメジョオンなんて、ありかふれた雑草です。でも、その根生葉が分からなかったのですから、灯台下暗し、まだまだ修行が足りません。

 そうそう。ホタルサイコの小さいのも、なかなか分からなかったです。イネ科の小さいのなんて、いまだにまったく分かりません。反対に「あ、この小さいのはハナイカリに違いない。こっちはリンドウ!!」と分かる・・・というよりピンとくると、すごく嬉しくなりますよ。

 おっと、かなり脱線しました。10cm×10cmを調べたら、10cm×25cm、25cm×25cm、25cm×50cm・・・と範囲を広げて、出てくる植物を記録します。1m×1mまで調べたら、出てきた植物の高さと被度(1㎡の中で、どれくらいの広さを占めているか)を記録します。そしたら、1m×2m、2m×2mまで探索範囲を広げて、終了です。次のポイントに向かいます。

 午前中、4ポイントを調査し、お昼にしました。午後からの調査を始めたら7ポイント目で雨に降られてしまい、一時中断。でも1時間もしないで雨は上がったので、残りのポイントも無事、調査することができました。調査結果の整理・考察は高槻先生が一手に引き受けてくださっています。記録をパソコンのエクセルに入力するだけでも大変なのに、本当にありがたいです。

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2022年9月のマルハナバチ調べ隊

2022年09月03日 | マルハナバチ調べ隊

 昨日の笛川小学校5年生自然学習に引き続いての本日だったので、体はちょっときつかったですが、今日のほうが天気が安定するという予報だったので安心していたら・・・朝からパラパラ雨。それで自主的に参加を取りやめた方もいらっしゃいました。結局、角田さんご夫妻、芳賀さんとお孫さんのいろはちゃん、植原の5人でラインセンサス調査をしました。天気は曇りでしたが、薄日が差す時間帯もありました。いつもはだいたい1時間でセンサス・ルートを歩くのですが、今日はほかにもいろいろと面白い発見があり、30分以上も超過してしまいました。

 一つはキアゲハの幼虫です。毎年この時期、シシウドの葉に、いろいろな段階のキアゲハの幼虫が観察できます。隠れることなく、葉っぱの上に堂々とたたずんでいるので、とても観察しやすいです。小さいのは黒地で、体の真ん中あたりに黒い筋が横に入ります。まるで鳥の糞のようです。大きくなり終齢幼虫になると、ビビッドな緑色と黒のシマシマ模様に赤いドットがたくさん入る・・・という刺激的なデザインになります。ノーメイクでこんな模様を持っているのですから、すごいと思います。いろはちゃんが幼虫をツンツンと優しくつつくと、幼虫が「イタイ、イタイ!」と言いながら(?)橙色の角を出します。角はⅤ字型で、細長い風船に空気を詰める感じでふくらみます。おもしろくて、何回かやるうちに、幼虫もくたびれたのか、角を出すのをやめました。


 キアゲハ成虫の産卵シーンも見ることができました。キアゲハが葉っぱに止まっては「違うなあ」といった感じで飛び上がり、また、別の葉に止まり・・・というのを繰り返しています。こうやって幼虫の食草であるシシウドを探り当てて、卵を産むようです。どうやってシシウドと確認しているのか不思議だったので、帰ってから調べてみると、「成虫は空を飛びながら、(1)複眼でそれらしい植物を探し、(2)近づいて触角で匂いを嗅ぎ、食草らしいと判断したらその葉に止まり、(3)味覚を持つ「感覚毛」と呼ばれる毛が生えた前脚でトントンと葉を叩いて味を確かめて食草だと確認する」のだそうです。脚で味を確かめて卵を産んでいたのですね。不思議だし、すごいなあ。

 もう一つの楽しい観察は、ハンゴンソウに付いた虫こぶ。たくさん付いています。一つがピンポン玉くらい大きなのもありました。「中はどうなっているんだろう?」と芳賀さんが割ってみると、強烈なにおい。そして、中から、小さな小さな橙色のいもむしが4頭出てきて、超スピードで逃げ回りました。家に帰って調べて見たら、これはハンゴンソウメタマフシといって、タマバエの1種によってハンゴンソウの側芽に作られる虫こぶだそうです。ハンゴンソウには花にも虫こぶができますが、これはハンゴンソウハナタマフシといって、ハンゴンソウハナタマバエによって花または実に作られる虫こぶで、ハンゴンソウメタマフシとは別物のようです。


 他にも、ヨモギ、ゴマナ、ホタルサイコにも虫こぶが付いていました。

 さて、今日のラインセンサスの結果です。

・合計50頭のマルハナバチに遭遇。マルハナバチが訪花していたのは6種の植物。
・見られたのはオオマルハナバチのオス蜂3頭・不明2頭以外すべて働き蜂だった。トピックはオオマルハナバチのオス蜂が見られたこと。
・マルハナバチの内訳はオオマルハナバチ6、トラマルハナバチ33、ミヤママルハナバチ11と、2/3がトラマルハナバチだった。
・訪花植物の内訳は、ノハラアザミ21、タムラソウ14、ヤマハギ12、アキノキリンソウ・キンミズヒキ・マツムシソウ各1だった。
・マルハナバチ各種の訪花傾向は、以下のようだった。
 オオマルハナバチが訪れていた植物は4種。ノハラアザミ2、ヤマハギ2、アキノキリンソウ・タムラソウが各1。
 トラマルハナバチが訪れていた植物は5種。ダントツ多かったのはノハラアザミ19頭だった。そのほか、タムラソウ9、ヤマハギ3、キンミズヒキ・マツムシソウに各1頭だった。
 ミヤママルハナバチが訪れていた植物は2種。ヤマハギに7、タムラソウに4頭だった。

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笛川小学校の乙女高原自然体験学習

2022年09月02日 | 乙女高原案内人

 笛川小学校は乙女高原に一番近い小学校です。2016年にこの地域にあった4つの小学校が統合してできた、新しい小学校です。笛川小学校では毎年5年生が「総合的な学習の時間」を使って乙女高原について調べ学習を行い、その一環として、実際に乙女高原を訪れ、体験学習をしています。そのお手伝いを乙女高原ファンクラブ・乙女高原案内人が行っています。
 ところが、ここ2年間、新型コロナ感染拡大や天候不順のために、子どもたちが実際に乙女高原を歩くことができていませんでした。今年は3年ぶりのリベンジだったわけですが、コロナ感染は高止まりしているし、台風11号と秋雨前線のせいなのか、雨ばかり降っています。今回も実施は危うかったのですが、なんとか実施することができました。子どもたちはとてもいい顔で、乙女高原内を歩いていました。ここでは、その準備段階からレポートしたいと思います。

■8月22日(月)、子どもたちの指導をすることになった三枝さん、芳賀さん、植原で乙女高原に集まりました。まずは、当日、雨の場合や、具合が悪い子が出たときのために、ロッジのホールを3人でそうじしました。大きなアブの死体が床やテーブルの上にたくさんあって、びっくりしました。
 その後、テーブルに座って、子どもの人数や指導時間を3人で確認し、どんなプログラムにするかを話し合いました。子どもたちは27人も来るので、全員一緒だと目が行き届かないし、細かいものを観察するのが全員では難しいです。また、同じルートを使うと待ち時間が生じてしまいます。そこで、子どもたちをあらかじめ3グループに分けてもらい、それぞれに案内人がついて、違うコースで観察することにしました。「ブナ爺コース」「谷地坊主コース」「草原満喫コース」の3コースとし、それぞれ三枝さん、植原、芳賀さんが担当することにしました。コースによって帰ってくる時刻が違ってしまうので、早く帰ってきたグループから、自由に草原を歩いていいことにしました。そのほか、こまごまとしたことを決めた後、草原を一周、下見をしました。

■8月23日(火)には、植原が笛川小を訪れ、5年生の担任の先生と打ち合わせをしました。前日、案内人で話し合ったことを提案し、最終的にどうするかは学校側で決めていただくことにしました。以前に観察指導したときは、乙女高原の歴史等も説明していましたが、乙女高原に滞在している間は、できるだけ乙女高原の自然にじかに触れさせたい・・・との思いで、歴史等は当日前に植原が教室に出向いてお話させていただくことにしました。

■8月31日(水)の4校時に、5年生の教室でお話をさせていただきました。まずは歴史の話。今年=2022年を基点として、少しずつさかのぼっていきました。以下は私の授業メモです。

 ・・・ボランティアによる草刈り(草原保全のため)・・・
 2022年(今 年) 23年目・21回目の草刈りボランティア
 2000年(22年前) 第1回草刈りボランティア

    ・・・自分たちが草刈りしないと、草原が森になる!

 ・・・スキー場のための草刈り(雪の上に枯草が出ないように)・・・
  2000年(22年前) 乙女高原スキー場の終了
 1951年(71年前) 乙女高原スキー場オープン

    ・・・スキー場のための草刈り開始

 ・・・生活のための草刈り(肥料にしたり飼料にしたり)・・・
  明治~戦前   西保の人たちの草刈り場・・肥料として、馬の飼料として


   ※途中で大事件が起こる!(官民有区分~恩賜林)
 1911年(111年前) 恩賜林(=県有林) 山梨県の面積の1/3、森林の1/2
 1907年(115年前) 明治40年の大水害 峡東で死者233人、全壊・流失家屋5767戸
 1877年(145年前) 天皇の土地(御料林)になった・・・立ち入り禁止・世話もできない
  江戸時代   西保の人たちの草刈り場(入会地)・・・肥料として、馬の飼料として

 これに沿って、黒板に書きながら説明しました。下から1生活のための草刈り➝2スキーのための草刈り➝3草原保全のための草刈りと、目的は変わっていますが、草刈りが連綿と続いてきたことが分かります。
 次に、乙女高原の今の景色と、これから季節がかわると、それがどのように変化するかを映像を見せながら説明しました。乙女高原の草刈りボランティアが毎年11月23日に行われることも紹介しました。

■9月2日(金)。このところずっとぐずついた天気で、これからもそれが続く予報。朝は明るかった空も、だんだん暗くなり、9時過ぎには雨が降り始め、子どもたちを迎える9時半少し前には本降りになりました。雨具を着て、覚悟を決めたのですが、子どもたちが到着するころには雨が上がり、結局、子どもたちが帰るまで雨には降られませんでした。本当にラッキーでした。
 一昨日に話すことは話してあったので、案内人の自己紹介をした後、さっそく草原の中を歩き始めました。植原が担当した谷地坊主コースは10人。草花を紹介しようと「お花のフィールドガイドを出して」と言ったら「教室に忘れてきちゃいました」という子が続出。仕方がないので、忘れずに持ってきている子のフィールドガイドをまわりの子と一緒に観てもらいました。フィールドガイドに載っているお花には番号が付いています。「この花は何番だ?」と尋ねれば、「10番じゃないの?」「いえ、20番でしょう!」と話し合いができます。花の形や色、咲く時期を手掛かりに調べてもらいました。マルハナバチが登場すると、大盛り上がりです。「刺さない!?」と聞きながら、恐る恐る手を出す子がいます。意外かもしれませんが、マルハナバチはハチですが、めったなことでは人を刺すことはありません。 
 私が子どもたちに強く伝えたかったことは3つです。
 一つは、ツツジコースのシラカバです。「ここは23年前にボランティアによる草刈りが始まったときには若い森でした。この斜面はスキー場として使われなくなっていたからです。23年前にそれらの木を切ったら、レンゲツツジが息を吹き返し、花の時期には斜面全体が真っ赤に見えるくらいになりました。ここに3本ほどシラカバの木がありますが、その時に切らずに残しておいた木です。もし、23年前に切らなかったら、この高さの森になっていたはずです」
 二つ目は、閉鎖した遊歩道です。「ここはもともと遊歩道でしたが、雨が降ると川のようになってしまい、土まで流されてしまっていました。だから、23年前に刈った草を入れて、遊歩道として使わないことにして、草が生えてくるのを待ちました。23年経って、こうなりました」
 子どもたちから「今歩いている道にも枯草が敷いてあるね」という気づきが出されました。「いいところに気づいたね! 今も草刈りのときに、刈った草をこのように遊歩道に敷いて、遊歩道の土が流れないようにしているんだよ」
 三つ目は谷地坊主の成り立ちです。話の中味は省略しますが、乙女高原のいろいろな条件がうまくかみ合って、谷地坊主が作られていることを話しました。「奇跡だね」と言ってくれる子がいました。
 今回、「各コースとも1時間半をめどに歩いて、ロッジに戻ったら休み時間を取って、個人で自由に草原内を歩き回れる時間をとろう」という計画を立てました。谷地坊主コースの中に、「ゆうれいくさを見たよ」という子がいたので、自由時間に案内してもらいました。そこにはなんとギンリョウソウモドキ(別名アキノギンリョウソウ)がありました。「秋に咲く、ギンリョウソウにそっくりな植物がある」という話は聞いていましたが、乙女高原で見たのは初めてでした。子どもたちが見つけてくれたわけです。それがとてもうれしくて、子どもたちが帰る前に案内人が一人一言ずつあいさつをしたのですが、その中で紹介させていただきました。


 三枝さんのコースと芳賀さんのコースも、それぞれ楽しい体験をいっぱいしたようです。なんとミヤマクワガタのオスを見つけた子もいたそうです!!

 蟹の爪そっくりのカニノツメというきのこもありました。

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