乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

花と昆虫のリンク調査8月

2023年08月19日 | モニタリング調査

 小学校5年生のじゅんたくんがレポートを書いてくださいました。

 今回の調査では高つき先生と一緒に調査しました。 今回はマルハナバチはヤマハギやノアザミに多くて、アブはほとんどの花にいました。また、びっくりしたのは、バッタが白い花を食べていたことと、マルハナバチがヤマハギに40回とまっていたことです。


 今回は雨でと中で中止になってしまいました。そんな雨の中高原に行ったらマルハナバチがノアザミの花の下で雨宿りをしていました。また、参加したいです。

    ※          ※          ※

 朝、太陽がのぞいていたので、安心しきっていました。集まったのは7人。唯一の小学生参加者であるじゅんたくんもやる気まんまんです。高槻先生から調査方法や留意点を聞き、調査グッズをトートバックに入れ、4チームにわかれて調査を開始しました。2人1組で3チーム。1チームのみ一人ぼっちチームです(私です)。
 どのチームも調査に時間がかかっているようでした。それもそのはず。花を訪れる昆虫が次々に見つかるのです。調査区画はAからRまで18あるのですが、一区画の片道を調査するのに調査票3枚が必要な区画が続出です。みんなうれしい悲鳴をあげていることでしょう。


 と、空がどんよりしてきて、遠くからだんだん雨が葉を打つ音が近づいてきました。私は油断して傘を持っていなかったので、このタイミングで引き上げました。そしたら、ロッジに着いたタイミングでザンザン降りになってしまいました。他のチームも濡れながら帰ってきました。
 雨宿りのできる場所で、濡れたものを乾かしたり、体をふいたりしました。当分止みそうもないので、お昼にしました。ゆっくりお昼を食べていると、なんか雨が上がってきたので、少し期待したのですが、今度は雷が聞こえてきました。これ以上続けられないと判断し、調査を打ち切ることにしました。
 全部で6区画+α(区画の途中まで)の調査は済ますことができました。この調査は基本的に遊歩道の㎞換算で行うので、以前のデータと比較することは可能です。かといって、やはり、できれば全区画のデータがほしいと思いました。


●8/21ひとりリンク調査

 そこで、調査の翌々日に乙女に行き、1人で補足調査を行いました。調査票には時刻を記入する欄もありますので、調査時間が正確に分かります。
 午前中は9:04に始め、12:39までの約3時間半。遠くで雷が鳴っています。できるだけ午前中に「稼いで」おこうと思ったので、お昼を過ぎても調査を続けました。もっとも、残念ながら「稼ぐ」ことはできませんでした。さっきも述べた通り、花に虫がいっぱいすぎて、そして、観ていたら面白すぎて(面白い・・・の中味は後述します)、なかなか進めませんでした。
 午後は13:32から15:33までの2時間。最後の方は、「学校の居残り勉強」をさせられている気分でした。また、実際に夕方に調査してみてわかったのですが、お昼近くと夕方では、虫たちの「活性」がかなり違うなという印象でした。「昼、マツムシソウにはたくさんアブがいたのに、夕方になると、こんなもんか・・・」みたいな。であれば、調査はできるだけ大人数でやったほうがいいなと思いました。なぜなら、そのほうが同じ時間帯の調査データを集めることができるからです。
 補足調査も加味すると、調査区画は18のうち16になりました。未調査の2区間はいずれも森の中の遊歩道(「てっぺん」から「ツツジのコース」に下る)ですから、草原の中を通る遊歩道は全クリアです。

 さて、では、「面白かったこと」の報告です。いっぱいありますよ。

◆ノダケにたくさんの虫が集まっていた。ハエが多かった。必ずといっていいほど黄色・黒のシマシマ模様の大型のハチが来ていた。一つはキオビクロスズメバチだと思う。もう一つはアシナガバチの仲間らしい。ノダケとこれらハチは仲が良さそう。

◆いくつかのツリガネニンジンの花にハサミムシ(たぶんコブハサミムシ)が体を突っ込んでいた。花から出てくる様子も観察できたので、コブハサミムシは送粉に一役買っていると思う。なお、先日、秩父の「埼玉県立自然の博物館」に行ったら「はね」の特別展をやっていて、その中に「ハサミムシの翅は昆虫の中で最も小さく折りたたむことのできる翅。コブハサミムシの場合、折りたたむと1/15になる」というのがあった。人工衛星のアンテナなどへの応用が期待されているのだとか。

◆コブハサミムシがシラヤマギクの花序の上にいて、花から花へと次々に訪問していた。いくつかで、頭花の中央に口をつっこみ、(花粉を?)食べているように見えた。コブハサミムシはヨモギの花も訪れていた。やっぱり花粉目当て?

◆カメムシが何種か花に来ていた。その様子を注意深く観察した。オミナエシに来ていた「翅の後縁に赤い紋のある黒いカメムシ」は明らかにオミナエシの花に口吻を入れていた。蜜を吸っていたのだと思う。カメムシというと「植物の茎などに口吻をさして汁を吸う」というイメージがあるが、送粉者の役割もはたしているかもしれない。

◆青黒くて、丸っこい、小さなハムシ(後脚が太くて筋肉質っぽいのでトビハムシの仲間?)が、それこそいろいろな花にに、わんさかいた。

◆ツリガネニンジンに小さな蜂が訪れ、もぐりこむのを観ていたら、その花にオオマルハナバチが強引にやってきて、花にもぐろうとしていた。いくらなんでも、それは無理があるでしょう・・・。

◆ツリガネニンジンの花にハエが入っていくのを目撃!! 「舐める」口のハエがツリガネニンジンの花を攻略することができるのか?

◆4頭もキンモンガに出会った。シラヤマギクの花の上、ヨツバヒヨドリの花の上(2箇所)、シモツケソウの花の上に。

◆ツツジコースを歩いていて、どうも臭いと思ったら、遊歩道にテンの糞。6年間に渡ってテンの糞を拾い続けてきたが、こんなに臭いテンの糞は初めて

◆下のアスファルト駐車場の近くで調査していたら、草をかき分ける音が近づいてきて、草やぶから遊歩道に飛び出て来たのがテン。走ってこちらに来て、途中でまた草やぶに入っていった・・・・と思ったら、さっきのテンが遊歩道に出て来たところから、次の少し小さめのテンが出てきて、同じようにこちらに向かってきて、やぶの中に消えた。と思ったら、今度はすぐ近くから音が聞こえてきて、さっきのテンが遊歩道に姿を表したと思ったら、ほんとにウエハラめがけて走ってきた。どうしようか、抱きしめるわけにはいかないし・・・と思っていたら、自分のすぐ脇で立ち止まり、「しまった」という雰囲気でやぶに潜り込んでいった。テンを間近で見られたのも、調査票を時間をかけて書かなければならなかったからだと思う。じっと直立不動の姿勢で、たくさんの虫のデータを書いていたからこそ、出会えた。14:26。

◆調査のBGMはコエゾゼミではなく、ツクツクボウシとニイニイゼミ。これじゃあウチにいるのとおんなじだ。さらに加わったのがガビチョウ(外来種)の声。すぐ近くのやぶにいるらしい。長く、複雑な鳴き声で、やぼせったい。「この声、どっかで聞いたことがあるなあ」とデータを記入しながら記憶をたどっていったら、「そうだ、スターウォーズのロボットR2-D2の声(音?)にそっくりだ。特に、このやぼせったいところなんか」

 

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乙女高原案内人●夏休み中の案内活動 7/22,23,29,30, 8/5,6

2023年08月06日 | 乙女高原案内人

乙女高原ファンクラブには「乙女高原案内人」を養成して、乙女高原で活動していただくというプロジェクトがあまりす。案内人の皆さんはファンクラブの活動を中心になって支えてくださっていますが、夏休み中の週末に交代で、乙女高原で案内するという活動も行っています。

今年の活動日は7/22~8/6までの週末6日間。今日で無事終わりました。案内の様子を角田さんがユーチューブにアップしてくださいました。ぜひご覧ください。
https://youtu.be/_kwO9ikOyms

なお、案内人活動と並行して、外来種の駆除作業を行いました。

メマツヨイグサとヒメジョオンです。

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マルハナバチ調べ隊~盛夏編

2023年08月05日 | マルハナバチ調べ隊

 とてもいい天気。盆地では今日も猛暑日だと思いますが、乙女高原は「そんなことどこ吹く風」で22℃です。日陰にいて、風でも吹いてこようものなら、もうこの世の天国です。

 さて、そんな乙女高原で、今年で21年目となるマルハナバチ調べ隊の今年2回目の調査です。いつもの年だと夏の回には夏休み中の子どもたちがたくさん参加してくれるのですが、今年はどういう「風の吹き回し」か子どもの参加者は0。「オ・ト・ナのマルハナバチ調べ隊」になってしまいました。総勢13人です。自己紹介を終えたら、マルハナバチの特徴と種類を写真を使いながら説明しました。そして、マルハナバチの1年間を、紙芝居を使って、芳賀さんが説明してくださいました。


 いよいよラインセンサス調査に出発です。先頭を鈴木さんが歩いてくださいました。鈴木さんは初めての方にもわかりやすく説明しながら、ゆっくり歩いてくださいました。「オオバギボウシに来たトラちゃんが次にどの花を訪れるでしょうか」とか「これはマルハナバチではなくアブです。違いがわかりますか」とか。鈴木さんがゆっくり歩いた理由には、じつはもう一つありました。マルハナバチがいっぱい来すぎて、なかなか前に進めなかったのです!!
 途中、マルハナバチが蜜を吸うわけでもなく、花の上をクルクル走り回っている行動も見ることができました。今頃咲いている花だったら、シモツケやシモツケソウ、シシウドなどで見られるのですが、これは、マルハナバチが花粉ばかりを集めている行動です。
 結局、いつもは1時間かけて歩くセンサス・コースを歩くのに17分オーバーしてしまいました。
 ラインセンサス調査終了後、お昼ごはんの時間にしました。遠くで雷の音が聞こえたので、お昼の時間を少し短めにして、午後の調査を早く始められるようにしました。私はお昼を急いで食べ終わり、調査結果を集計しました。

 午後は調査結果の発表から始めました。
 全部で119頭のマルハナバチがお花を訪れていました。平均すると、1分間に2頭ずつ見ていたことになります。
 内訳はトラマルハナバチが93、オオが13、ミヤマが13頭でした。
 お花の人気ランキング・ベスト3は、第3位ヤナギラン21頭(全部トラ)、第2位ヒメトラノオ22頭(トラ12、オオ8、ミヤマ2。3種のマルハナバチからまんべんなく支持されている感じです)、そして栄えある第1位はノハラアザミ28頭(トラ27、オオ1)でした。
 9月の調査で、これらがどう変化するのか楽しみです。

 午後の調査は待ち伏せ調査です。午前の調査で参加された皆さんは、だいたいどんな花にマルハナバチが来ているのか理解できたと思います。その中から1人1人で調査するお花(の群落)を決め、その前で15分間マルハナバチが来るのを待ち伏せします。来たら、どんなマルハナバチがどんなことをするのか観察して記録します。15分の調査を2回したら、帰ってきます。1回目と同じ場所で調査してもいいし、違う場所・違う植物の調査をしてもいいことにしています。それらの結果を集計します。
 井上さんが以上の説明をしてくださいました。
 皆さんが三々五々草原の中に散ったところで、私は角田さんと一緒に観察会の片付けを始めました。また、乙女高原ファンクラブでこのような活動をする際には、グリーンロッジの建物が少しでも傷まないように、窓等を全部開け放して、建物に風を通すようにしているので、それを片っ端から閉める作業も行いました。
 皆さんが帰ってきたので、調査結果をお聞きして、集計用紙にまとめました。
 結果、ダントツだったのが、ヤナギランでした。井上さんが15分間にトラ5ミヤマ16頭を、菱山さんが15分間にトラ26 ミヤマ7頭を、浅田さんも15分間にトラ26 ミヤマ7頭を、篠原さんが15分間にトラ5ミヤマ1頭を観察しました。合計すると、観察時間はちょうど1時間(60分) になり、トラ72ミヤマ31で計103頭です。
 このように調査結果を集計し、1時間あたりに換算して比べます。第2位はクガイソウの32頭、第3位はヒメトラノオの22.4頭でした。午前の調査でトップだったノハラアザミはなんと第5位に転落し、1時間当たりで4頭でした。いったいノハラアザミに何があったというのでしょうか??!

 これで本日のマルハナバチ調べ隊は終了です。今日も観察に双眼鏡が大活躍でした。この双眼鏡は50cmという近距離でもピントが合うので、花に来る虫の観察にはもってこいです(ペンタックスのパピリオという双眼鏡。6.5倍のものが使いやすいです)。

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