乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

草の刈り取り実験 9月18日

2016年09月18日 | モニタリング調査
 草原内で違う時期に刈り取りをし、その影響をモニタリングし、刈り取りに対する草原植物の反応の違いを明らかにします。刈り取り実験区は,ひとつの処理について10m四方の方形区。今年は実験・調査の4年目で、シカ柵設置後初の実験になりますので、「シカの食害が排除された草原で草刈りをしたらどうなるか?」という新しい実験テーマも加わったことになります。このプロジェクトは元麻布大学野生動物学研究室教授・高槻先生の発案によるものです。

実験区は6つ。
① 6月区:6月に区内の全植物を刈り取って効果をみる。
② 9月区:9月に区内の全植物を刈り取って効果をみる。
③11月区:11月に区内の全植物を刈り取る(現行の刈り取りの効果の確認)。
④2度刈り:6月と9月に区内の全植物を刈り取って,2度刈りの効果をみる。
⑤選択刈り:6月に区内のススキのみを刈り取って効果をみる。→今年はなし
⑥刈り取りなし:全く刈り取りをしない区。

今回は雨の中、5名の参加者で行いました。



区画には四隅にポールを立ててあるのですが、実験・作業を行うときにロープを張って、10m四方を「見える化」します。



区画の中心で、折尺を使って植生調査をします。



調査が終わった時点で、草を刈り取り、刈った草を集めて、重さを計り、外に持ち出します。




午後からは、シカ柵の影響を調べる植生調査を行いました。
シカ柵を設置する前の、2015年9月に、草原内に10カ所の調査ポイントを設定し、ポールを立てておきました。ポールの場所にコドラートを置き、植生調査をしました。
今年の同じ時期に植生調査を行い、昨年の調査結果と比較します。

とりあえず9月4日に調査前半を行いました。ナンバー1~5のポイントの植生調査をしたのです。





そして、本日午後、6~10の調査を雨の中で行いました。


このモニタリングも元麻布大学・高槻先生の全面的な協力をいただいています。


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2016年度 第4回 乙女高原連絡会議・乙女高原FC世話人会 議事録

2016年09月08日 | 世話人会
日 時:2016年9月8日 午後7:30~9:00


前回議事録の確認・・・多田さん植物の会ガイドは芳賀さん→内藤さん。他は異議なく承認された。


乙女高原連絡会議

■草刈りボランティア(検討・連絡会議)
・栄和交通の無料バスについて→受付運行は市。バス会社と折衝継続。
・山梨ロータークラブより樹名板の寄付を受けられそう
・下の駐車場下の下り道の土壌流失と湿地木橋の損傷については県で視察・検討
・とん汁の作り方については三枝さんを中心に検討
・昨年の反省を共有し、今後、準備品の準備、参加事前申し込み等を始める。
・今年も昨年と同様の藁撒き場所を活用する。取り付け道路の路面状況について県で確認する
・県で事前に刈り取ることは継続。シカ柵の周囲は市への貸地なので、県は刈れない

■乙女高原フォーラム(報告・連絡会議)
・小1からマルハナバチ調べ隊に参加している服部くんに作文朗読をしてもらう。



乙女高原ファンクラブ世話人会

■草刈り実験(検討・連絡会議)
・次回は9月18日。高槻先生もいらっしゃる。宮原・三枝・植原が参加
※巨峰の丘マラソン当日で、乙女は本格的な雨だったが、予定通り実施。午後からシカ柵モニタリング。ポイント6~10の植生調査を行った

■夏のボランティアガイド(報告・世話人会)
・「教えてあげる」「ガイドする」ばかりでなく、むしろ「(昔の乙女の話を)聞く」というのも大事
・せっかく車で横付けできる草原なので、車椅子で入れる遊歩道の部分も考えていきたい
・宮原さんが遊歩道の草刈りをしてくれたので、歩きやすくなった

■マルハナバチ調べ隊について(報告・世話人会)
・第1回6月ラインセンサス2頭のみ。 第2回8月6日79頭。 第3回9月3日68頭・・・増えた

■街の駅での展示について(報告検討・世話人会)
・9月4日から「古屋さん写真展Ⅱ」を開始。10月末日まで。

■乙女高原マイスター(検討・世話人会)
・提案者・山本さんから説明。継続審議することに

■黄色いレシートキャンペーンについて(報告・世話人会)
・イオン石和店より5,100円分のカードの寄付→プリンターのインクを購入。

■その他
・富士ゼロックス端数倶楽部と富士ゼロックスより計10万円の寄付をいただいた。
・焼山峠のキツネについては「餌をやらないで」看板が必要。

次回連絡会/世話人会 2016年10月13日(木)19:30~
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マルハナバチ調べ隊で、またたくさんのマルハナバチ

2016年09月03日 | マルハナバチ調べ隊
9月3日(土)のマルハナバチ調べ隊のレポートを井上さんが書いてくださいました。


 9月の観察交流会は、本年度3回目のマルハナバチ調査隊と兼ねて、9月3日に行った。この日の参加者は芳賀さんのお孫さんの女の子も含めて8名。天気は雲はあるものの晴れて観察日和である。

 10時にロッジ前のベンチの所で植原さんのレクチャー開始。マルハナバチの種類や行動について、調査の方法について話を聞く。その後、皆で草原を歩きながら、どんなマルハナバチがどんな花に来て、どんな行動をしているかを記録するラインセンサス調査を行った。

 今年はシカ柵の効果で、草原内の花が多く咲いている。そのためマルハナバチもたくさんいる。どのハチも忙しく蜜を吸い、花粉団子もつけているのも多かった。ノハラアザミ、タムラソウ、ヤマハギなどに来るハチが多いようだ。ハチの種類ではミヤママルハナバチ(ミーちゃん)が最も多く、次にトラマルハナバチ(トラちゃん)、オオマルハナバチ(オーちゃん)も数頭見かけた。私の記録では1時間ほどの調査で60頭、調査用紙2枚では書ききれないほどだったが、植原さんは68頭見たとのこと。さすがだ。今年はマルハナバチが多い感じはあったが、実際に調査してみると、本当にたくさんいて、嬉しくなった。



 少し早めの昼食をとり、午後から待ちぶせ調査を行った。マルハナバチの来そうな花の所で15分間、どのハチが何をしに来るのかを調査する。これを各自2回行った。私は1回目、花がたくさん咲いているノハラアザミの前で行った。15分間にミーちゃんが15頭、トラちゃんが10頭、次々にアザミの花を移動しながら、蜜を吸っていた。

 2回目はハバヤマボクチの前で調査した。ここにはトラちゃんしか来なかった。大きな下向きの花の中にもぐって、花粉を体にたくさんつけながら、蜜をすっていた。4頭やってきた。ここはツツジのコースへの分かれ道で、タムラソウが群落になっている。アカタテハが長い間、蜜を吸っていたり、2頭のミドリヒョウモンが交尾をしそうな様子を見せたり、たくさんのマルハナバチがタムラソウに来ているのも見ることができた。



 終了後、各自が調べた結果を報告し、植原さんが集計して1時間換算の数を発表した。その結果はノハラアザミにくるのが最も多く、マルバダケブキ、タムラソウにも多く来ることがわかった。

 早めにマルハナバチ調べが終わったので、もう一度草原をひと回りして花などの観察をした。1本のシシウドにキアゲハの幼虫が8匹もいて、花の先まで食べ尽くしてシシウドは丸裸のようだ。この後、この子たちはどこに行くのだろうと心配になった。(ちなみに翌日には下の方の葉の部分に移動していた)きれいな黄緑色で黒とオレンジの模様もはっきりし、そろそろさなぎになりそうな様子であった。

 モリアザミが咲き始め、ハンゴンソウの黄色も目立つ。草原のコースを展望台まで登ると、雲に隠れていた富士山が、頂上をわずかに見せてくれた。

 ツツジのコースから駐車場への遊歩道では、マツムシソウの薄紫色が昨年に比べてぐっと増えた。昔は一面のマツムシソウだったそうだが、何年後かには期待が持てそうな気もする。ススキ、アキノキリンソウ、ワレモコウ、シラヤマギク、ウメバチソウ、ハナイカリなど秋の野の気配を感じさせる花がたくさん咲いていた。とてもきれいな黄色のミーちゃんも見かけた。もしかするとオスのマルハナバチだったかもしれない。数年前に作ったシカ柵の中はオミナエシなど花がとても多いが、今年は柵の外も花が増えて、シカ柵内の花が目立たないくらいだ。本当に花も増えてきて嬉しいことだ。水場の所では、アケボノソウ、アキノウナギツカミ、ミゾソバなどを観察した。 
 
 草原を後にして、湿地のところに寄り道。アケボノソウ、トリカブトが咲いている。トリカブトにはミーちゃんがやってきて、花の中にもぐって蜜集めをしていた。道端のキリンソウの中に、似ているけれどちょっと違うものがあり、ミツバベンケイソウではないかと教えてもらう。花が咲いているのもあり、ここにはミーちゃんが来ていた。(注 写真でトリカブトにきているのはトラちゃんです)



 林道を塩平方面に下る途中で、キバナアキギリ、カワミドリなどを観察する。キバナアキギリにもトラちゃんが入って蜜を集めていた。また自然観察路入口では、フシグロを見つけたり、ナンバンハコベの実やツリフネソウに入るトラちゃんを観察した。さらに下って、セキヤノアキチョウジが咲き始めている所をちょっと歩いてみると、立派なフシグロ、ヒナノウスツボ、ヤハズハハコ、ヤマハハコ、メドハギ、木を覆い尽くす勢いのクマヤナギなどを見ることができた。乙女高原への林道もとてもおもしろいことを再認識した。

 この日の観察で、花とマルハナバチの関係が深いことがよくわかった。小さいヤマハギの花にはミーちゃんしか来ないし、大きなハバヤマボクチの花にはトラちゃん、トリカブトやツリフネソウ、キバナアキギリのような、もぐらなくてはならない花には、ぴったりの大きさのトラちゃんが入り込んでいる。マルハナバチは自分の決めた同じ種類の花を渡り歩く習性があるので、花はマルハナバチにしか入れないような形に進化して、受粉をしてもらい、蜜を与えているのだそうだ。動くことができない花は、きれいな色や形、いいにおいや甘い蜜で虫を誘い、虫を使って子孫を残す。花のすごい戦略には驚くばかりだ。

 たくさんの花とマルハナバチ、その他の昆虫も観察できて、とても楽しく有意義な一日であった。
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「日本植物友の会」の乙女高原案内

2016年09月01日 | 乙女高原案内人
乙女高原フォーラムや乙女高原自然観察会にもきていただいたことのある多田多恵子さん。植物に関するたくさんの著書もあります。その多田さんがお仲間を連れて乙女高原へくることになり、ファンクラブ・乙女高原案内人に草原の案内をリクエスト。三枝さんと内藤さんが引き受けてくださいました。そして、内藤さんがそのレポートを書いてくださいました。


 9月1日、多田多恵子さん引率の植物愛好会の乙女高原観察旅行に道先案内人として同行いたしました。観察会は予定より30分遅れの10時30分にスタート。出発直前に餌付けされてしまった狐が参加者のサブザックをくわえて持ち去るトラブルが発生。

 往路は林道左側の遊歩道を三枝さんが先導し私が最後尾を歩くことにしました。楽しみにしていた多田さんのお話は聞けませんでしたが、参加者はとても植物に詳しい人ばかりで、木道(12時に到着)までの間に20種近くの種名を教えていただきました。その殆どが私には初見、初耳のものばかり。コミヤマカタバミの群落は開花時には、きっと美しい花畑となるだろうとのこと。来春が待ち遠しくなりました。花芽を付けたタマガワホトトギスの小株が二つあり、久しぶりの出会いにホットしました。

 グリーンロッジ到着が12時50分となったので乙女高原内の散策は午前の部と午後の部を合わせて昼食後に行うことにしました。13時30分からの散策に先がけ乙女高原ファンクラブの四つのミッションの活動の意義とその活動例をお話してから、10年以上前のパンフレット、チラシ等に載った百花繚乱のカラー写真を見てもらいました。シカ柵設置前の昨年までは花の個体数が激減していたこと。シカ柵設置後の今年は個体数が思いのほか回復し、また数種が復活し改めてシカの食害の大きかったことを痛感していることを伝えました。

 散策は森のコースから入り草原のコースを下り途中でレンゲのコースを回り駐車場へ出る道順としました。富士山のビューポイントでは、あいにく雲がかかり美しい姿を見ることが出来ず残念でした。乙女高原のピーク1700米の「ヨモギ頭」では「御料局三角点」について説明してから草原のコースに戻りました。久々に姿を見せた「モリアザミ、セイタカトウヒレン、ハバヤマボクチ」が一か所にまとまっている所を案内。

 調査のため2010年に先行設置したシカ柵の内外の生育状況を昨年撮った写真と見比べて観察してもらいました。帰路は三枝さんの先導で湿地のアケボノソウを見てから、より安全のため早めに林道に出て一路焼山峠へ。予定時間より30分遅れの16時に到着。何よりもケガ人もなく天候にも恵まれた観察会となりました。

 私にとってもとても収穫の多い観察会となりました。ありがとうございました。私自身の反省点としては、話をするときトランシーバを使い参加者皆さんに伝わるようにすべきだったこと。
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