参加された井上さんがリポートを書いてくださいました。
4月5日、4月の観察交流会です。牧丘の道の駅に行くと、角田さん、植原さん、毛利さんの3人がいました。が、角田さんと植原さんは都合があって行けないとの事、毛利さんと二人で乙女高原に行くことになりました。この日はヤマアカガエルの調査日でもあります。調査票を植原さんから預かり、角田さんからはいちごの差し入れをいただいて、出発しました。前日、前々日は冷たい雨が降ったので、乙女高原は積雪があると思って、長靴を持参しましたが、雪はほとんどないとのこと。林道も雪はほぼありませんでした。
最初の観察ポイントは山の神入り口、ここは例年ヒナスミレがたくさん咲いているのですが、今年は寒い日が続いていたこともあり、スミレは見当たりません。ないなあと思いつつ、歩いてみると林の入り口に小さなかわいらしいヒナスミレが見つかりました。2株ありました。奥の岩のところには咲き始めの小さな小さなハナネコノメ、イワネコノメもありました。そして、伸び始めて花も数輪咲いたハシリドコロも。春は確実にやってきていました。
次にカエル池と呼んでいる水たまりの所で停車。少し水がたまっていて、ヤマアカガエルの卵塊が5腹ありました。ここも例年スミレが見られるのですが、全くありません。葉が出たばかり。キブシのクリーム色の小さな花はいくつも枝にぶらさがって咲いています。小鳥のさえずりも聞こえました。
次はカツラの大木があるところです。カツラは赤い芽が出始めたばかり、数日後には赤く美しい新緑が見られることでしょう。

道路からカツラの木の立っている沢に降りてみました。沢沿いの岩の上には赤い葯が美しいハナネコノメと黄色い葯のツルネコノメが咲き始めていました。

ここも例年ならスミレなど春の花が見られるのですが、芽や葉が見られただけでした。
乙女湖が見えるところで、車を停車。乙女湖の氷はすっかり解けてエメラルドグリーンの水が美しい。日陰の斜面に雪が少し残って、ひび割れていました。こんなところでも春の訪れが感じられます。でも遠く見える金峰山は雪で真白。昨日の雨は山では雪だったのですね。
焼山峠の湿地も見てみました。例年ここもヤマアカガエルの卵が観察できるところですが薄氷がはっていたり、奥の湿地は雪も積もっていたりで、ヤマアカガエルの卵は見られませんでした。フィッフィッと甲高い鳴き声。ゴジュウカラが姿を見せてくれました。シジュウカラもいました。

木道湿地でヤマアカガエルの産卵調査です。湿地の外回りで観察、湿地の中に入ってもみましたが、卵は見当たりません。寒いので、まだ産卵はしていないようです。流れの中に金粉のようなものを毛利さんが見つけました。金ではないでしょうが、何でしょうか。
乙女高原に到着。まず産卵調査をしました。谷内坊主の湿地を探しましたが、卵はなし。でもメタリックブルーの美しいヒメツチハンミョウが姿を見せてくれました。冬には段状に高く発達していた霜柱もなくなっていました。これも春のきざしです。奥の湿地には雪が積もっていました。卵はたぶんないだろうと思いながら、近づくとヤマアカガエルの鳴き声がします。これは産卵の期待が持てます。しばらく鳴き声をじっとして聞いていましたが、湿地に入っていくと、鳴き声はピタッとやんでしまいました。卵を探しましたがありません。残念。でも鳴き声が聞こえていたので、人がいなくなったら産卵するのではないでしょうか。
ロッジ前に行くと、もう12時。ベンチの所で昼食にしました。看板の所の温度計は7℃。空気は冷たいですが、日差しは温かいです。テーブルの端に黒と茶色の毛虫がいました。暖かくなって出てきたのかな。2人でおしゃべりしながら食べていると、荒川林道方面から車がきました。4月末に林道を開けるための調査に甲府から来たという二人連れでした。林道を開けるための準備が始まっているのですね。

昼食後、草原に入って観察。鹿柵の扉も冬は霜で持ち上がって開けにくかったのが、そんなこともなくなりました。草原は日陰に雪が少し残っているだけでの枯れ野原。キジムシロの葉が出始めているくらいです。枯れたモミの大木の下にはいろいろな樹木が伸びてきています。これから生存競争でしょう。万歳をした形のオオカメノキの冬芽もだいぶ伸びてきていました。

展望台まで登ってみると、真白な富士山が春霞のようなぼんやりした空に浮かんでいました。ヨモギ頭まで登るとダケカンバが林立しているのがよく見えます。樹間に真白な金峰山が見えましたが、南アルプスや八ヶ岳は雲に隠れてしまいました。午後になって、空に雲が広がり始めました。
草原のコース上部ではコガラやシシュウカラのペアがレンゲツツジの枝などに止まったりして姿をよく見せてくれました。暖かくなってきて、野鳥たちも恋の季節ですね。草原のコースからツツジのコースをまわりました。ツツジのコースの林沿いはまだ雪が10cmくらい積もっていました。出口近くまで来るとモグラ塚がたくさんあります。2月に見たときよりも数が増えているようです。枯草の中に黒い土の小山があちこちにできていました。草原での観察を終了。

帰りの林道でマンサクの花を観察。中心部が赤く、黄色く細長い花びらが伸びています。赤いのが目立ちますが、萼でしょうか。

ダンコウバイやキブシも咲いていました。
下界は桜や菜の花が満開、桃の花も咲いてきて春爛漫ですが、高原はまだ春浅しという感じです。春のきざしがいろいろ観察できて、楽しい観察会でした。