乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

藁撒きモニタリング

2013年08月31日 | 藁撒きプロジェクト
 8月31日,暑い日でした。刈り草を運び込んで,藁撒きの実験をしている焼山の琴川ダム残土処分場に農工大の星野先生と関係の研究者が集合。昨年・一昨年と草を運び込んだ実験区がどうなったかを調査しました。



具体的には,
・10m四方の実験区が4カ所に設定されている。
・おのおのの実験区が「田」形に区割りされていて,それぞれ,
   ①草を敷き入れ,翌年に剥がす,
   ②草に敷き入れ,そのまま,
   ③草を敷き入れない,
   ④同…という4つの小区画に分かれている。
   (通路兼バッファーゾーンを挟んで,1区画4m四方)
・それぞれの小区画をさらに2m四方4つの区画に分け,それぞれの区画について,
 生えている全植物を調べ,被っている割合(被度)を割り出す。
…ということで,地面に目を近づけ,えんえんと植物を探すという作業を続けました。もちろん,地上に出たばかりの小さな芽も記載しなければなりません。半端じゃない植物見分け能力が必要です。しかも,こんな作業を炎天下で黙々と続けるのですから,忍耐強さも必要です。ぼくも少しだけ協力させていただきました。



 個人的に収穫だったのは,オトコエシの殖え方の「発見」です。なんとイチゴのように地面を這う茎(匍匐茎/ランナーと言います)を伸ばし,その先に根を張り…という方法で殖えていたのです。「見た目,とてもそんなことをする草には見えない!」と思っていたので,とても意外でした。
 「ノコギリソウとシシウドが出てきましたよ」と星野先生から教えてもらいました。藁撒きによって出てきた草です。しかも,ノコギリソウは花まで付けていました。



 星野先生ご一行はそのまま金峰山荘に宿泊。じっくりお話をしたかったのですが,翌日の準備もあるので,植原はロッジに行って作業をし,そのまま帰宅しました。
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杭づくり

2013年08月25日 | ボランティア作業
どういうわけか,昨年と同じく雨の中の作業となってしまいました。朝,塩平に集合した5人で,杭の材料を取りにいきました。雨の中でしたが,代表世話人の宮原さんのリーダーシップのもと,ヘルメットをかぶって,安全に作業できました。

 取ってきた間伐材を軽トラに載せて,ロッジに行って,お弁当にしました。雨は降り続いています。どなたかが「スズメバチがいるね」とスズメバチが飛んでいることに気づきました。確かに飛んでいます。ハチの行き先を見ていたら,ロッジの屋根の下の木壁に開いた穴に入っていきました。ついでだから,倉庫前のコンクリートの上を掃除しました。


 午後からはさらに二人が合流。みんなで間伐材の皮をむきました。最後の方になると,握力がなくなってきました。皮をむいたら,片方の先をチェーンソーで宮原さんにとがらせてもらいました。
 今日,1日の作業で新しい杭を36本作ることができました。これらは,まだ十分乾いてないので,7月に大工の雨宮さんが作ってくださった専用の棚に置いておきました。倉庫の中には古い杭も入っているので,合計は97本となりました。
 途中、夢中で作業してしまったので、撮った写真はこれ1枚です。


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どこでもドア発見~大蔵高丸の防鹿柵を一人見学

2013年08月15日 | シカ対策


8月15日,旧大和村(現甲州市)の湯ノ沢から大蔵高丸(山梨百名山のひとつ。標高1770m)を歩いてきました。目的は,昨年秋に設置されたという大規模防鹿柵をこの目で確かめることでした。
家から登山口まで車で1時間でした。途中,大和の林道で特徴的な光景を見ました。


ひとつは伐採跡を囲んだ防鹿(たぶん)柵。「なんで伐採跡に防鹿柵?」「柵があってもなくても変わりはないのでは?」という疑問を持ちました。



もうひとつは,これも伐採跡なのですが,尾根から尾根までのだだっ広い伐採地に点々と,もこもこした木が生えているのです。庭木のように見えます。双眼鏡で見ても樹種までは分かりません。


少し車を走らせ「これと同じに違いない!」という木を見つけたところで車を止めて,その木を観察しました。枝に葉がついているだけなので同定が難しいですが,手触りと臭いから,オオバアサガラではないかと推測しました。たぶん合ってます。というのも,オオバアサガラはシカが嫌い,したがって,シカが増えた地域で多くなる傾向があるというのを読んだ覚えがあり,以降,乙女でもオオバアサガラに注目していたからです。




さて,登山道入り口の駐車場に着きました。すると,大きな虫取り網を持ったおじさんが二人。その網の大きさからチョウの採集者に違いありません。「ここは山梨県の県有林です。昆虫採集するには許可(入山許可申請)が必要ですがご存じですか?」と,やんわりと注意しました。

登山道は尾根道に出るまで,斜面を登ります(ほんの数分ですが)。その間,なんか変な違和感を持ちました。尾根に出て,今度は尾根に沿って歩くようになっても同じ違和感が続きました。そして,違和感の理由がようやく分かりました。笹の丈です。ここの笹は乙女でも少し標高の低いところで普通にみられるスズタケでした。今も普通に見られますが,シカが増えてからというもの,乙女のスズタケはまばらになったり,丈が低くなったりして,スズタケ本来の姿が見られなくなっていました。ですから,久しぶりに見る人の背丈を超える本来のスズタケの姿なのですが,それは乙女では見られなくなって久しい笹原なのです。それでただの違和感ではなく,「変な」「違和感」になったのだと思います。




少し歩いたら,玄関が見えてきました。比喩ではありません。本当にアルミサッシの玄関があるのです。レバー式のドアノブを回して,ドアを開けると防鹿柵の中にお邪魔できるようになっていました。遊歩道に突然ドアが現れるのですから,ドラえもんの「どこでもドア」みたいでした。


玄関の両脇から防鹿柵が,延々と視界の先まで続いていました。網はナイロンか何かでしょうか。直径1.5ミリほど。触ると柔らかく,なんだか頼りない感じです。3メートルおきぐらいに立っている支柱は,おそらく塩ビ製。直径3.5センチ,長さ2メートルほどでした。途中についている付属物から,もともとは電柵用の支柱だったことがわかります。


草原の遊歩道を歩いていきましたが,ずっと防鹿柵の中でした。どうも湯ノ沢の草原全体が柵で囲われているようです。20分歩いたら(観察しながらですが…),ようやく柵の出口に着きました。柵で囲った面積は乙女高原の草地部分より広そうでした。


柵の中に花は咲いていましたが,2010年7月に訪れたときに比べ明らかに少なくなっていると思いました。花の顔ぶれは乙女高原とほとんど同じですが(とはいえ,ハクサンフウロだけは乙女にないなあ…),それぞれの花の数が少ないのです。

特にヨツバヒヨドリ,キオン,ヤマハギ,ツリガネニンジン,コオニユリが少ないなと思いました。一方,少なくはないなあ・普通にあるなあと感じたのはタチフウロ,コウリンカ,ノハラアザミ,コウゾリナです。

そういえば,さっきからどうも耳が淋しいなあと感じていました。夏の草原の定番であるハチやアブのうるさいぐらいの羽音が聞こえないのです。サイレント・スプリングならぬサイレント・サマーだと思いました。赤とんぼは普通にいるなと思いましたが,ちょうちょの種類が少ない。ジャノメチョウはたくさん見ましたが,草原といえば…のヒョウモンの仲間ではギンボシ(とツマグロ1頭)しか見かけませんでした。アカタテハ,クジャクチョウとも見られたのは1頭だけです。
(ジャノメチョウ)
(ギンボシヒョウモン)



コマドリやメボソムシクイの声を聴くと,「おお,山ん中に来たなあ」と感じるのですが,それらと外来鳥であるガビチョウが合唱しているのですから,興ざめてしまいました。笹がこれだけあって,ガビチョウまでいるのですから,同じ外来鳥であるソウシチョウがいてもおかしくないなと思いました。ソウシチョウは山の中の笹藪が大好きです。



遊歩道は「どこでもドア」を抜けて,大蔵高丸に向かいます。森の中の道でしたが,両側の木々の下には立派な笹原。普通です。でも,道脇を注意深く観察すると,イタドリやミヤマニガイチゴの葉が食われていたり,サラシナショウマが蕾だけ残って丸坊主にされていたり。笹の中ではオオバアサガラだけが幅をきかせているように見えました。シカの影響が大きいのかそうでもないのか,わからなくなりました。
(左上に見えるのがオオバアサガラ)




大蔵高丸の頂上に着きました。お盆だというのに,人っ子一人いません。歩いていてこれまでに会ったのは2人だけ。みんなどこへ行っちゃったの? 頂上を少し過ぎたところでお昼にしました。空模様が心配だったので,早めに出発しました。
(丘の上が大蔵高丸のピーク)



早い時間に降りてきてしまったので,久しぶりに遠回りして,大菩薩経由で帰ることにしました。途中,「親水公園」とあったので,寄ってみました。山の中に都市公園的な発想で作られた親水公園があり,しっかり草刈りされていましたが,誰もいませんでした。

上日川峠に着きました。上日川峠は大菩薩で一番賑やかなところ。ゴールデンウイークやお盆にでも行けば車は止められず,交通整理の人の誘導でかなり遠くまでいかなければ止められない。そんなイメージがあったのですが…。車はガラガラ。おかげでトイレに一番近い場所に駐車できました。みんなどこへ行っちゃったの?
途中,予定通りの雷雨に会いながら,帰ってきました。
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マルハナバチ調べ隊 Ⅱ

2013年08月04日 | マルハナバチ調べ隊

今年は1回目のマルハナバチ調べ隊が中止だったので,なんか2回目も心配でしたが,多田さんの観察会の中でもたくさんのマルハナバチを見ることができたので,期待できるなと思っていました。
今回は2組の親子連れも含め,8人の参加者でした。
このくらいの人数だといいですよ,じっくり観察できます。


いつものように,紙芝居でマルハナバチの簡単な説明をし,その後,(サービスで)いつもはしない双眼鏡の使い方のレクチャーをしました。双眼鏡を使いこなすにはいくつかの「決まり事」があるのですが,意外と知らない人が多いので,それについて説明しました。



午前中はラインセンサス。「クガイソウは小さな花の集合体で,上の方(咲き始め)はオシベが優先していて,下の方(咲き終わり)はメシベが優先している。クガイソウを訪れたマルハナバチは,まず,クガイソウの下の部分に止まり,蜜を吸いながら,らせん状に上っていき,次の花に移動する」という行動パターンを観察しました。どうして,こんな行動パターンになっているのか,わかりますか? クガイソウにとって,マルハナバチのこの行動パターンはとってもありがたいんですよ。


簡単に報告すると,午前中75分間のラインセンサス調査で見られたマルハナバチは
 ・オオマルハナバチ  30頭 そのうち23頭はヨツバヒヨドリで花粉集めをしていました。こんな傾向は初めてです。
 ・ミヤママルハナバチ 22頭 クガイソウ(7頭),ノハラアザミ(6頭)が人気だけど,観察できた植物は6種類と最多。
 ・トラマルハナバチ  17頭 ノハラアザミが一番人気で10頭。


それにしても,子どもたちが参加してくれるとにぎやかで明るい感じになり,いいですよー。
ハチにさわろうとしてくれたり,


こんなセミを見つけてくれたり(コエゾゼミ)



午後からは待ち伏せ調査を行いました。各自,自分の好きな花の前に陣取ってもらい,15分間,ひたすら観察して,訪れたマルハナバチの種類と行動を記録するのです。
ぼくはホタルブクロの前で待ち伏せしたのですが,2サイクル30分で8頭のマルハナバチがきてくれました。



ロッジの玄関に,こんなホワイトボードを設置しました。ご活用ください。



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