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ガンプラ秘密工場(仮)

ガンプラ他、プラモデルを限られた環境下(ノンシンナー)で楽しもうというブログ
 

かめっチ式モノアイの作り方(前編)

2006年10月27日 | オッサンの秘伝公開&実験コーナー
今回は主にジオン系・ザフト量産系モビルスーツに使用されているモノアイの比較的手軽なディテールアップについて取り上げます。「HGUCシャア専用ゲルググ」の記事とあわせてお読みください。

 実はウェーブの「Hアイズ」を使ったディテールアップって、あまり好きじゃなかったんですよ。模型雑誌の作例を見てもモノアイシールドがなくてカメラがむき出しになっていたり、モノアイシールドの上からHアイズが貼ってあって出目金になっていたりするものが多かったですから…。

 この認識が変わったのは、とあるサイトの製作記事を見てからです。残念ながら今はそのサイトを探し当てることができなくなっていますが、Hアイズにコトブキヤの丸ノズルを組み合わせた、とても美しい仕上がりでした。
 ただ、Hアイズの接着にエポキシ系接着剤を使用したり、Hアイズの着色に現在は生産されていない「分離したら上澄みが蛍光クリアーカラーになる旧版のMr.カラーの蛍光色」が使われていたりと、マネするのはけっこう大変だなぁと思いました。筆者はエポキシ系接着剤のニオイが苦手です。必ず気泡も入れてしまいますし…。

 そこで、HGUCアッシマー製作時に「なんとかあの雰囲気のモノアイを再現できないものか」と考え、たどり着いたのが以下の方法です。他の人の作り方とかぶっている部分も多いかもしれませんが、筆者の場合はこんな感じです。
 HGUCシャア専用ゲルググ製作時にモノアイシールドの再現方法を考え付いたので、完成度アップです。

 では、解説に入ります。

 実験台になってもらうのは、たまたま通りがかった老舗の模型屋さんで半額セールになっていた1/100ザクウォーリア(以下、「ザクヲ」)です。大ボリュームのお買い得キットが半額なんて…(喜)。
 このキット、1/144HGが発売された時にすでにモノアイ可動式だったので、「1/100は透明パーツで再現かな♪」と期待していたのですが、HGと同じ構造でした…OTL
 「うがぁ~!MGのF2ザクから流用してやる~!!」と思ったものですが、流用するには高すぎるし、サイズも違うようなのであきらめました。

 ムダ話はさておき、キット付属のモノアイシールの直径をノギスで測ってみると…

 約3.3ミリでした。これは困った! 今から紹介する方法は半端な数字には対応しないんじゃよ~(汗)。


 とりあえずディテールアップ用のパーツを取り出します。

 用意するもの 
 *ウェーブ「Hアイズ」の欲しいサイズと色のモノ 
 *コトブキヤ「丸ノズル」(サイズは外径2・3・4・5・6ミリが入っています。内径は外形マイナス1ミリぐらいです)   
 *ラピーテープ(文房具店などで入手可能なメタリックテープ。いろんな色が出ていますが、裏面の銀色部分を使用するのでどれでもOK) 
 *両面テープ(出来るだけ長持ちする品質の良いもの) 
 *耐水ペーパー(1500番・400番)
 *コピー用紙(1枚) 
 *デザインナイフ 
 *ピンバイス(ドリル刃:1ミリ・2ミリ・3ミリ) 
 あれば便利なモノ……ノギス、定規、綿棒、ガムテープ
 ピンバイスが必要なのがネックですねぇ(汗)。けっこう値が張りますが、持っていない方は、レベルアップのためにはあると便利なアイテムですので頑張ってみてください(←いまだに安いニッパー使ってるアンタが言うな!)。ドリル刃はホームセンターで購入すると安くあがる可能性があります(セットになっているものもあります)。

 3.3ミリは不可能ですので、作り置きしていたHアイズ4ミリ+丸ノズル5ミリのモノアイを当ててみます。

 いくらなんでもデカ過ぎる! これではまるでデュラッへ(「銀河漂流バイファム」の敵メカ)です(汗)。3ミリにしようっと…。

 Hアイズには3.5ミリ径がありますし、コトブキヤの丸モールド(?)の中には内径3.5ミリのものもあったような気がしますが、手元に無いのであきらめました。


 丸ノズル4ミリとHアイズピンク3ミリを切り出しました。パーツに傷が付かないように慎重に、ゲート部分はカッティングマットなどの上にパーツを置いて、デザインナイフで押し切るように切ります。切り残しのないように…。

 Hアイズの裏側には「ヒケ」と呼ばれる凹みがあります。これがあると裏面にラピーテープを貼った時の仕上がりが変になります。これを耐水ペーパーでなくします。

 1500番の耐水ペーパーの上にHアイズを置いて、指先でグルグルと動かします。そうすると裏面がほぼ均一に削れます。厳密には均一ではないので、時々Hアイズの向きを変えると良いです。
 削っていると、裏面がツヤ消しになって、凹みが小さくなっていきます。凹みがなくなったら完了です。

 裏面がツヤ消しになってしまったので、コピー用紙などの紙の上にHアイズを置き、さっきと同じようにグルグルと紙の上を滑らせます。

 これでツヤがかなり復活します。ラピーテープに貼り付けるとピカピカになりますので、これで十分です。コンパウンドを使って磨くとラピーテープが貼り付かなくなる恐れがありますので、避けましょう。

 前半はここまでです。前・後編の予定ですが、今後のボリュームによっては前・中・後編に分けるかもしれません。ゲルググの記事が遅れ気味になりますが、記事のボリュームを多くしないと伝えられないこともありますので、しばらくこちらの記事にお付き合いくださいね。

キユーピーさんのCMから

2006年10月21日 | オッサンの秘伝公開&実験コーナー
 コーナー2回目ですでにテレビで観たネタで恐縮ですが…(汗)。

 ちょっと前にキユーピーマヨネーズのCMでやっていた料理ですが、これが非常に美味い! ぜひ皆さんにも試していただきたい! CMはすでに終了していて、しかもCMをやっていた時間帯が限られていたようなので、主婦の方でも知らない人が多かったようで(筆者が話した人はみんな知らなかった!)、これは口コミででも広めなければ!と思いました。それほど美味いのですよ。

 材料:鶏肉(ムネ肉がボリュームがあってGood!)――食べたい量だけ
    しめじ――1パック(鶏肉の量が多い場合は2パック)
    赤ピーマン――1個
    マヨネーズ――適量(その時のノリで)
    塩・コショウ(少々)

 1.鶏肉は3センチ角ぐらいのブツ切り、しめじは下の黒い部分を切ってバラバラにしておきます。赤ピーマンは短冊状に切ります。

 2.フライパン(できればテフロン加工のもの)にマヨネーズを10~15センチほど絞り、火にかけます。するとマヨネーズの油が出てきます。この油で鶏肉を炒めます。(マヨネーズを入れる前に、鶏肉の皮を下にしてカリカリに焼いた方が良いかも)

 3.鶏肉に少し焦げ目が付くぐらいに炒めたら、しめじと赤ピーマンを入れ、さらに炒めます。

 4.しめじに火が通ってしんなりしたら、再びマヨネーズを絞り入れ、マヨネーズが分離して透明(クリアーイエロー)になるまで炒めます。

 5.お好みにより、塩・コショウで味を調えて完成! CMではCD1曲分の時間で出来るといっていましたが、肉に焦げ目が付くぐらい時間をかけた方が美味しくなると思います。

 いや、これが実に美味い! 高級レストランで出てきそうな味ですわ。筆者はこれでご飯を3杯いきそうになりました(笑)。

 鶏ムネ肉は安い店なら100グラム40円ぐらいで手に入ります(しめじや赤ピーマンの方が値が張る)ので、たっぷり作ることもできますよ!筆者は近所のスーパーで100グラム38円で買いました。
 
 だまされたと思って、是非お試しを……。

やったらアカン! 塗装の上からガンダムマーカーのスミ入れ

2006年10月17日 | オッサンの秘伝公開&実験コーナー
 今回はタイトルそのまんまだけで終わってしまいそうな内容ですが…(汗)。
 以前Vガンダムのところでも書きましたが、ガンダムマーカースミ入れ用のインクは、ラッカー塗料の塗膜の上に塗ると染み込みます。
 グンゼ(現:GSIクレオス)の缶スプレーのキャラクターホワイトで塗装したVガンダムの頭部(顔面は先に塗装してからマスキングして、ヘルメットに接着してからヘルメットの前後を貼り合わせて合わせ目を消してありました)に当時発売されたばかりのガンダムマーカースミ入れ用グレーでスミ入れし、はみ出した所をタミヤのX-20Aアクリル溶剤で拭き取ろうとしたところ、きれいに拭き取れませんでした。
 しかもよく見ると白い塗料がグレーに染まっているような感じでした…OTL

 どうやらガンダムマーカースミ入れ用は、今でいう「パチ組み」とか「簡単フィニッシュ」など、塗装面ではなくプラスチックの表面に使うモノなのだということを学んだのでした。
 しかし、その代償は大きく、ヘルメットの再塗装のために顔面をヘルメットからもぎ取ってマスキングし直し、再び接着する必要がありました。

 でも、失敗から学ぶというのは必要なことですねぇ。筆者の場合、両親が失敗を許さない人たちだったので、小さい頃から失敗をしないようにする生き方になってしまいました。失敗する恐れのある事には手を出さない、小さ~い人間になったのです。
 小さな失敗から学ぶということを避けていたために、知識はあっても経験が無いので、人生において大事な時に大きな失敗をするハメになってしまいました。
 若い人たちには、失敗することを恐れて物事を成し遂げられなくなるような人間にだけはなってほしくないなぁと思います。老婆心ながら…。

 話が大きくそれてしまいました。ガンダムマーカースミ入れ用は、塩ビ製のフィギュアに塗ると染み込む場合もあります。
 ガシャポンのフィギュアぐらいだと、細かい部分の塗装が省略されているのが常ですが、そういう場合にガンダムマーカースミ入れ用を使いたくなるのが人情というものです。
 筆者も使いました。ペン先を細く削った改造ガンダムマーカースミ入れ用ブラウンで、フィギュアのまつ毛を描き込んだところ、いい感じになりました。「やっぱり、やっただけのことはあるわなぁ」と満足していましたが、数ヵ月後にはフィギュアの目の周りに茶色いアザが……(汗) どうやらまつ毛のインクが塩ビに染み込んで、周辺が染まってしまったようです。こうなると全塗装以外は修復不能です。あ~あ。

 というわけで、ガンダムマーカースミ入れ用は無塗装プラスチックの表面だけに使うようにしましょうね。
 塗装用のガンダムマーカーを塗った上からスミ入れしようとすると、先に塗ったガンダムマーカーのインクがスミ入れ用のインクによって溶かされ、その溶けたインクがスミ入れ用のペン先に入って固まり、使用不能になる場合があります。まあ、そうなった場合は紙にグリグリとペン先をなすり付けていれば、そのうち使えるようになるんですが、あまりやらない方が良いでしょうねぇ。

 明日はクロスボーンの製作記事の続き(の予定)です。そろそろ次のネタが気になりつつあるんですけどね(笑)。
 それではまた…。

ガンプラお達者クラブ

2006年10月02日 | オッサンの秘伝公開&実験コーナー
 今回は「ガンプラお達者クラブ」です。←何じゃそりゃ?
 説明しましょう。せっかくお金と時間を使ってガンプラを作るのだから、作品はできるだけ長持ちさせたいものですよねぇ。その長持ちの秘訣を探っていくのが今回の話題。まだまだ研究途上の分野ですが、とりあえず筆者が長年にわたって行っている「可動部の調節」から取り上げたいと思います。

 現在のガンプラは1/144スケールでも可動部にポリキャップを採用しているものが大半を占めます。ポリキャップの弾力を活かした保持力は、本来は信頼性の高いものですが、実は落とし穴があります。
 ポリキャップの穴の径に対して、差し込む軸の太さが太すぎる場合や、軸によけいな突起物が付いている場合、ポリキャップがユルくなったり、破損したりする場合があるのです。

 ポリキャップに差し込もうとして、「これはちょっとキツいなぁ…」という場合は、軸をほんの少し細くしてやった方が良いでしょう。軸の表面にデザインナイフの刃を軽く当て、キーキーと横に引いて削る「カンナ削り」で軸を回しながら均一に削っていき、仕上げは軸に耐水ペーパーを巻いて回すと良いです。この時、軸の断面が真円を維持するように気を付けましょう。

 軸に余計な突起物が付いていることもあります(図参照)。

 図は軸の断面図です。
 いちばん左は、軸にパーティングラインがある状態。金型同士の合わさる部分にできる余分な線ですが、これがポリキャップを削ってしまうことがあります。
 
 左から2番目、軸が貼り合わせになっていて、なおかつ少しズレている場合。これも要注意です。

 右から2番目、可動部の保持力調整跡です。プラモデル開発中、金型が出来上がった初期段階で「テストショット」という試し抜きが行われるのですが、そのテストショットで成型されたキットをメーカーの人が組み立ててみて、「ここはユルい」と判断された部分は、金型を削って微調整するようです(これはメーカーを取材したわけではないので、単なる想像ですが)。金型を削ると、削った部分の成型品は盛り上がるのです。
 軸全体を太くするように削るのは難しいのか、軸の表面の一部に盛り上がった部分を付けることが多いようです。
 この盛り上がった部分があると、ポリキャップと軸の接する部分の面積が小さくなりますし、盛り上がった部分と接している部分の負荷が大きくなるため、ポリキャップがユルむ可能性が高くなります。


 同じようなものとして、以前「HGUCパワード・ジム」の製作記事で紹介した突起物があります。↓

 これは「押し出しピン(ショットピン)」の跡かもしれません。押し出しピンとは、プラモデルの工場で金型から成型されたランナーを自動的に取り出すための仕組みで、パーツの目立たない部分で金型からピンが突き出てランナーを押し出すようになっています。この仕組みができるまでは、手作業でランナーを取り出していたそうです。
 パーツの裏側によくある丸い凹みや出っ張りは、コレです。
 軸にこの出っ張りがある場合は、削ってなめらかにしてやりましょう。

 軸の断面図のいちばん右側のように真円になるように、ナイフやヤスリ、耐水ペーパーを使用して削りましょう。
 もしユルくなってしまった場合は、軸に瞬間接着剤を薄く均一に塗り、軸全体をコーティングします。接着剤が乾いたら、耐水ペーパーで軽くならしましょう。


 ボールジョイントも同様です。最近のキットには図のような出っ張りが盛大についている場合があります(緑色の矢印の部分。特に大型キットに多いです)。

 これも軸と同様に削り落として、もしゆるければ瞬間接着剤でコートしましょう。瞬間接着剤を塗って乾かした表面は、デコボコになっていることが多いので、耐水ペーパーでならすのを忘れずに!


 筆者は以上の作業を必ずやっています。実にめんどくさいですが、やっていると安心感が違います。保険のようなものですが……。
 あと、この作業はABS樹脂同士の可動部には行わない方が良いでしょう。ABS樹脂は、これらの突起物があるおかげでちょうど良い保持力になっている場合が多いので……。


さて、明日はいよいよR3レイズナー最終回! …の予定

 白黒画像でスイマセン(汗) 

やったらアカン! 塩ビにメタリック+クリアー塗装!

2006年09月14日 | オッサンの秘伝公開&実験コーナー
 今回はガンプラではあまり関係のなさそうな話ですが、ガンプラ好きな人はガシャポンや食玩などのフィギュアなどにも縁があるだろうということで話題に取り上げました。

 塩ビとは、フィギュアの完成品などにもよく使われる塩化ビニールのことです。柔軟性があるので、細かなディテールや、プラスチックで成型するのには無理のある形状にも対応できるという便利な材質です。

 しかし……
 便利さだけでなく、模型的には不便なところもあります。塗装についてです。
 
 完成品のフィギュアなどには塩ビ用の塗料が使われていますが、ユーザーが自分で塗装する場合、いちばん身近な「Mr.カラー」などのラッカー系塗料を使うことが多いと思います。ソフトビニール専用塗料は意外と取り扱っている店が少ないものです。
 ラッカー塗料で塗装することは可能ですが、塩ビは軟らかいので、どうしても曲がったりします。ラッカー塗料がその「曲がり」についていけず、ひび割れなどの破損(?)が生じる場合があります。
 解決方法は「曲げない」 これですわ。

 それよりも難儀なことがあります。
 メタリック塗装の表現として、シルバーやゴールドを塗った上からクリアーイエローやクリアーブルー等のクリアーカラーでコーティングするという方法があります。非常にきれいな仕上がりになるので、多用されている方法です。古くは自動車モデルのボディーの表現から、キャラクターモデルでは「重戦機エルガイム」の装甲のメタリック表現などで一般化したようです。

 これを塩ビ製のモデルにやると恐ろしいことが起きます(←大げさな……)。
 塗装してしばらくは美しい仕上がりに「うっとり…」ですが、数週間、数ヵ月後には表面がベタベタしてくるのです。ギャー!!
 この現象には、塩ビの柔軟性を保つためのものらしい「可塑剤(かそざい)」というものが含まれているためだといわれています。可塑剤が塩ビの中から表面ににじみ出てきて、塗料を侵すらしいのです。特にメタリック塗料とは相性が悪いようで、さらにメタリック+クリアー塗装とは最悪のようです。

 筆者は以前、「ツェメリット・コーティング」の回で話題にした「アルティメット・オペレーション」のグフのヒートサーベルをオレンジ色にするために、メタリックグレーで塗装してある製品状態の上からラッカーのクリアーオレンジを塗装しました。
 結果は上々で、鍛冶屋さんや製鉄所の映像でよく見る「赤熱した金属」の発光オレンジ色な感じを再現できました。
 ついこの間、そのグフを棚から引っ張り出してきて様子を見ると、ヒートサーベルがベタベタに……!!

 ギャー!!

 完成品ですでに塗装してあるメタリックカラーの上に、自分でクリアーカラーを塗っても発生する現象なのでした。

 完成品モデルの中には、そのような現象が起こらない塗料を使っているものが多いようですが、たまに完成品でも時間が経つとベタベタになっているものもあります。さらば、某勇者王……OTL

 みなさんも気をつけてください……

 次回予告! 最近、回顧的ブレイク気味の青いロボット(ドラえもんじゃないですよ、似てるけど……)乞うご期待!!
 

オレンジXでツェメリット・コーティングを!(後編)

2006年09月12日 | オッサンの秘伝公開&実験コーナー
 今回はツェメリット・コーティングの後編です。さっそく行きましょう。

 前回の最後の写真、プラセメントで軟らかくしたモデルの表面に型押ししてコーティングのパターンを施していく方法です。
 
 用意するもの:精密ドライバー(マイナス、先端の幅1~2ミリ。100円ショップでも数本組セットで入手可能)、プラセメント(またはオレンジX)、マスキングテープ。

 まず、モデル表面のコーティングを施さない部分にプラセメントが付かないように、マスキングテープを貼って保護します。

 次にコーティングを施したい部分にプラセメントを多めに、出来るだけ均一に塗っていきます。
 
 プラセメントを塗った部分が、指でさわってもベタベタしない、それでいて表面が軟らかくなっている状態になるまで放置します。コーティングをより立体的に仕上げたい場合は、もう一度プラセメントを塗り、ベタつかなくなるまで置いておきます。

 表面のプラスチックが軟らかくなったら、マイナスドライバーで型押ししていきます。図は作業工程を横から見た断面です。

 図の赤い矢印で示した部分が、軟らかくなったプラスチックの面。オレンジ色の矢印が、ドライバーの動かし方。黒とグレーの物体が精密マイナスドライバー先端を横から見た図です。
 精密ドライバーは、下斜め45度ぐらいの角度で押します。斜めに突いたら少し上に押すような感じでやると効果的です。
 一ヶ所押せば、その下も同様に斜めから突き、上に少し押します。これを繰り返していきます。
 一列が終わったら、すぐその横を同様に作業していき、面の最後まで何列も繰り返します。

 *モデルの面の幅と、ドライバー先端の幅を計っておき、何列やればよいか計算しておけば、作業の目標が設定しやすくなります。また計算の結果、「15列やって、1ミリほど幅が中途半端に余るなぁ」とか、結果がある程度分かっていると、列と列との間隔を微妙に調整して、パターンがキッチリ収まるようにすることもできます。これは仕上がりを左右しますので、わりと重要です。

 軟らかくなったプラスチックは、ガムのような弾力があり、型押しした部分が少し平坦になるように復元していく場合があります。その場合は、復元してギザギザが甘くなった部分を再度ドライバーで押してやりましょう。

 プラスチックが固くなり、シンナー臭が抜けたら(1週間以上放置する)塗装が可能になります。これで完成です。

 ところがこの作業、前回も書きましたが非常に臭くて体に悪いです。

 そこで登場するのが、プラセメントと同様にプラスチックを溶かす性質のある洗剤「オレンジX」です。上の作業の「プラセメント」を「オレンジX」に置き換えても、同様の作業が可能なのです。
 ただし、プラセメントは少量ながら樹脂を含んでいて、モデルの表面に「盛り付ける」という、表面にプラスする形になるのですが、オレンジXには樹脂が含まれておらず、軟らかくなった表面を凹凸にするだけの作業になります。ですから厳密には、表面に盛り付けてあるように見える「擬似コーティング」といえます。
 でも…

 オレンジXでコーティングした部分の写真です。見た目はほとんど差異がありませんよ!(写真の中央の部分は予備キャタピラのパーツを接着しやすいように平坦なままにしてあります)

 では、実際にやってみましょう。
 
 ランナーの板状の部分にオレンジXをたっぷり塗ります。

 
 プラスチックが軟らかくなってから、ドライバーでチマチマと型押しします。

 
 慣れるとけっこう早くできますよ。型押ししていない部分は、「鋳造肌(ちゅうぞうはだ:溶けた金属を型に流し込んで作った製品の表面に存在するデコボコ)」の表現の実験です。成功したらまた発表します。
 下の写真は乾いてから「カラーパレット」の「ライトカーキー」で塗った状態。マーカーで塗ったら、インクの泡が凹部の隅に残ってしまいました(汗:小さい穴が開いているように見えるのがそれです)筆で塗った方が泡が出にくくなります。
 実はセメントっぽくガサガサの表面にしたかったので、インクに「ガンダムマーカー ウェザリング」の「ガンダムサンドブラウン(砂)」のインクをガムテープ等に塗って乾かした粉を混ぜたのですが、あまり効果はありませんでした。

 この方法が使えるのは、1/72スケール以下の、小さいスケールに限定されます。1/35などの大きなスケールには、立体感がとぼしくて不向きです。
 ガンプラなら1/144スケールに幅1ミリ~1.5ミリぐらいのドライバーを使うと良いと思います。
 あ、そうそう、ツェメリット・コーティングは陸戦用モビルスーツだけに施した方が良いですよ。宇宙戦用モビルスーツなんかに施すと、「なんでやねん!」とツッコまれますからね!

 コツがつかめるまでは、プラ板やランナーなどで十分練習してくださいね。それではまた…。

オレンジXでツェメリット・コーティングを!(前編)

2006年09月11日 | オッサンの秘伝公開&実験コーナー
 このコーナーでは、筆者が考案、もしくは既存の技法をアレンジしたワザを公開していきます。今回のネタは、改良のため多分に実験的要素も含んでいます。今後は実験の記事もこのコーナーに入れていきますので、参考にしてくださいね。

 タイトルにあるツェメリット・コーティングですが、ガンプラ専門でやってる人にはあまりなじみが無いと思います。しかし、無関係ではないのです。

 まず、ツェメリット・コーティングとは何か? ――第二次世界大戦中、ドイツ軍は対戦車兵器として、戦車の装甲に磁石でくっつく爆弾(磁気吸着地雷)を開発しました。ドイツ軍は「ウチの開発した兵器は、敵も必ずマネしてくるに違いない」と予想し、自国の戦車が磁気吸着地雷でやられることのないように工夫しました。
 それは、戦車の装甲の表面にセメントあるいは樹脂(これについてはいろいろな説があります)を盛り付けて、ギザギザの凹凸を作り、磁石がくっつかないようにしたものでした。それがツェメリット・コーティングです。

 画像はフジミ模型の「1/76スペシャルワールドアーマー」シリーズの「タイガーⅠ型 最後期型 第301戦車大隊」の箱絵から。
 結局、ドイツ軍の敵側は磁力吸着地雷をマネしてくることはなく、おまけにツェメリット・コーティングには引火する恐れがあることが判明したため、大戦末期には廃止されたそうです。

 模型的には昔からいろいろな方法で表現されてきました。模型の表面にラッカーパテを塗り広げてマイナスドライバーでギザギザをつけていく方法、同じくエポキシパテにマイナスドライバーでギザギザをつける方法、数年前はポリエステルパテを塗り広げ、「コーティング・プレート」というノコギリのような金属板で引っかく方法が流行りました。
 最近では「アーマーモデリング」誌で平田光夫氏が実車のコーティングを研究し、ギザギザはローラー状の道具でつけたものであるという説を発表、シャープペンシルのすべり止め部分を利用してローラーを自作、エポキシパテにローラーを転がしてギザギザを付けていく方法を開発しました。

 ガンダムの世界では、このツェメリット・コーティングが映像中に出てくることはありませんが、初代「機動戦士ガンダム」の「時間よ、止まれ!」という話でワッパ(機動浮遊機。もうすぐ1/35スケールで発売されますね)に乗ったジオン兵がガンダムに吸着爆弾(磁気による吸着かどうかは分かりませんが)を仕掛けるというエピソードがありました。
 また、ジオン軍をドイツ軍になぞらえるという発想が、わりと古くからありました。そして80年代後半には模型誌にツェメリット・コーティングを施したジオン軍モビルスーツの作例が登場しました。小林誠・近藤和久両氏がこの流れを作ったようです。その作風は、最近では食玩「アルティメット・オペレーション」の初期シリーズに受け継がれています。

 バンダイ/ボークス製「アルティメット・オペレーション」のザク。

 大戦中期以降のドイツ戦車には欠かせない、またジオンの陸戦用モビルスーツの味付けに使えるこのツェメリット・コーティング、なんとか楽に再現できないものかと筆者も数年前に悩みました。
 ミニスケールの戦車モデル(1/72や1/76、もしくは1/144スケール)の表面には、すでに車載装備品が一体でモールドされているものが多く、パテを盛り付ける方法ではその車載装備品、特に牽引ワイヤーなどの繊細なものを塗りつぶしてしまう危険性があるのです。
 そこで筆者は、パテを盛り付けるのではなく、表面を溶かして加工することにしました。これにはプラスチック用接着剤(プラセメント)を使用するのですが、パテを盛り付ける場合より、車載装備品をよけるのが容易でした。

 プラセメントによるコーティングを施したフジミ1/76タイガーⅠ型。方法については後半で説明します。
 ただこの方法、モデルの表面にプラセメントを大量に塗りつけるため、クサい!体に悪い! 
 なんとかならないものかと思っているときに出会ったのが「オレンジX」だったのです!(後半に続く……)

 それではまた…。

遅くなりましたが…

2006年08月28日 | オッサンの秘伝公開&実験コーナー
 本来なら製作記事よりも早く発表した方が良かったのですが(作ってる方が楽しいもので…)、筆者が愛用している道具類を紹介します。今回は前編です。

 切る

 左がニッパー(メーカー不明)。比較的安い物(700円くらい)ですが、刃が薄いので細かいパーツを切るのにも重宝します。高価な物は確かに良いのですが、切れなくなって買い換える時の出費が痛いので…。
 右がアートナイフ(オルファ製)俗に「デザインナイフ」と呼ばれています。当ブログの製作記事では単に「ナイフ」と呼んでいます。普通に切る以外に、削りたいものに軽く刃を当て、横にキーキーと動かして削る「カンナ削り」という使い方があります。
 真ん中がアートナイフの替え刃。キット1個組み立てるのに1枚使うぐらいのペースで交換した方が良いでしょう。切れなくなったナイフは変に力を入れて切らなければならないので、かえって危険です。筆者はケチってますが(汗)。

 削る

 左が耐水ペーパー(タミヤ製、商品名「タミヤ フィニッシングペーパー」)。180番ぐらい(?)から2000番までの番号があり、数字が大きいほど目が細かくなっています。筆者は荒削り用に400番、仕上げ用に1000番~2000番を使っています。
 右は「目立てヤスリ」。本来はノコギリの刃を研ぐためのものだそうですが、断面がひし形のとがった部分がスジ彫りを彫るのにちょうど良いです。また、刃の目の粗さもプラモデル向きだと思います。製作記事では単に「ヤスリ」と呼んでいます。ホームセンターなどで売っています。
 写真はありませんが、先がとがった棒状のヤスリも時々使っています。

 接着する

 筆者の製作環境では、シンナー臭のするプラスチック用接着剤は使用できません。そこで代わりに使用するのが右の瞬間接着剤。100円ショップでも売っています。写真のものは近所のホームセンターのオリジナル商品で、値段のわりにたっぷり入っています。ただ、細いすき間などに使うノズルが付いていないのが難点。ノズルは模型店などで扱っている場合があります。
 左は「オレンジX」。洗剤です。プラスチック用接着剤と同様に使え、しかもいい香りのスグレモノ。使い方については「現在製作中」の「HGUCパワード・ジム(その3)」を参考にしてください。

 次回は主に色塗り関係のモノを取り上げます。

やったらアカン! ポリキャップにグリス

2006年08月25日 | オッサンの秘伝公開&実験コーナー
 新コーナーです。ここでは過去にやった作業で痛い目にあったことを書いていきます。
 
 20年ほど前のころ、「蒼き流星SPTレイズナー」というロボットアニメがありました。この作品のプラモデルはバンダイが初めて「スナップフィット」を導入(それ以前のバンダイ製プラモデルにも、接着剤不要のはめ込み式は存在したのではないかと思いますが…)した1/100スケールモデルと、ポリキャップ・透明パーツ・ダイキャストパーツを使用した1/72スケールモデルの2つのラインナップがありました。
 この作品におけるガンキャノン的ポジションのSPT(スーパー・パワード・トレーサー:強化宇宙服)である「バルディ」の1/72キットを組み立てていた時のこと。ちょうどその頃、筆者は中学生で、音楽の授業で使うリコーダー用のジョイント・グリスをプラモ作りに使えないものかと考えていました。実験として手首のパーツの軸にグリスを塗って、腕のポリキャップに差し込んだところ、驚くほどスムーズな可動っぷりで、「これは全部の関節に使ってみよう!」と思ってから数日が経ったある日、バルディの手首はグラグラになっていました。なんとポリキャップが割れていたのです。しかも肉厚で丈夫そうな、大きいほうのポリキャップが!(当時はポリキャップは大小の2種類だけ、というのが主流でした。)
 最近のポリキャップは昔のものと同じ素材かどうかは分かりませんが、念のためポリキャップとグリスの組み合わせは避けた方が良いでしょう。