ガンプラ秘密工場(仮)

ガンプラ他、プラモデルを限られた環境下(ノンシンナー)で楽しもうというブログ
 

「HGUCロト ツインセット」から見えてくる可能性

2010年03月31日 | プラモやってて思うこと&ガンプラの歴史
 次の製作記事のお題は「HGUCロト ツインセット」です。2機セットというキットの仕様を利用し、1個めはパチ組みして可動範囲や改修すべきポイントを予習することにして、1個めのロトを組み立てたり分解したりして得られたデータを元に2個めを組み立てることにしました。
 とりあえず組み立ててみたのですが、本当に小さいですねぇ。

 HGUCザクⅡF2型や1/144トムリアットとの比較。ザクが大きく見えますね。
 キットを組み立てた印象は、「小さいながらもカッチリとした作り」です。ポリキャップレスのABS樹脂製可動ヒンジの動作はスムーズで、ひざ関節以外は保持力も充分だと思います。内部の構造を見てみると、限られたスペースに効率良く可動部が設けられています。説明書の機体解説には「内外装部品のクリアランスをミリ単位で調整、一切のデッドスペースも発生させずに…」と書いてありますが、このことはキットの開発にも当てはまっているのではないでしょうか。

 それにしても小型サイズの可変モビルスーツでこのオリーブドラブ系の成形色だと、「機動戦士Vガンダム」に登場した「ゾロ」を連想してしまいます。HGUCロトを組み立てている途中で「このサイズで可変ギミックが仕込めるのなら、もう少しサイズが大きくなるであろうゾロのキット化も『手首だけ取り外しのほぼ完全変形』で可能なのでは!?」という気がしてきました。

 ゾロの発展型の小型可変モビルスーツであるトムリアットとHGUCロトとのサイズ比較。1/144トムリアットは、「1/144Vガンダムシリーズ」共通の特殊ポリキャップ「Vフレーム」を使用して小型モビルスーツのフル可動化に対応していましたが、現在のABS樹脂製関節なら可変機構も組み込めるはずです。
 小型モビルスーツといっても、ロトと比べるとトムリアットはかなり大きいため、内部のスペースにも余裕があるでしょうねぇ。

 さて、ロトは「ガンタンクR-44」の先祖ともいえる機体だけに、「海軍戦略研究所(サナリィ)」「小型モビルスーツ」「メガ・マシン・キャノン」といった、「機動戦士ガンダムF91」に登場するキーワードが登場します。HGUCロトの完成度の高さに感動しつつ、これらのキーワードを見ると「HGUCでクロスボーン・バンガードのモビルスーツって発売されないかなぁ…」と考えてしまいます。
 HGUCシリーズの初期の頃には「HGUCシリーズは『逆襲のシャア』ぐらいまでに登場するモビルスーツのキット化」という話が模型雑誌のインタビュー記事に出ていましたが、最近ではその区切りも無くなってきたようです(何といっても『HGUC』だけでなく、平成ガンダムシリーズのHG化も実現しましたし!)。「ガンダムF91」や「Vガンダム」にもスポットライトが当たる機会があればなぁ、と思います。

 今までは「『逆襲のシャア』まで」ということが頭の中にあったため、小型モビルスーツのHG化を妄想することはあまり無かったんです。でもHGUCロトのキット化により、技術的には充分可能ということが分かりましたし、「ツインセット」という仕様が登場したことにより、HGクラスの小型モビルスーツキットの「商品化」にも現実味が出てきたのではないかと思います。
 詳しいことは分かりませんが、通常よりも小型のプラモデルは商品化しにくいようです(小さくても製造や輸送・流通に掛かるコストは通常の商品とは変わらず、それでも小さいため値段を低くしなければならない、という問題があるのかなぁと筆者は想像しています)。それを解決するための方法と思われるのが「2機(もしくは3機)セット」です。筆者の世代だとアオシマさんの「伝説巨神イデオン」シリーズの「アディゴ(2機セット)」を思い出すところですが、最近でもプラッツ社の1/144エアモデルキットが2機セットですし、「戦闘メカ・ザブングル」の小型ウォーカーマシンや「特装機兵ドルバック」の再販キットも従来商品をセットにしたものになっています。そういえばガンプラでも、EXモデルのマゼラ・アタックは2両セットでしたし、「HGUCザク地上戦セット」の61式戦車などはランナーが2セット入っていましたねぇ。

 そこで考えるのが、例えばクロスボーン・バンガードの小型モビルスーツのHG化の場合なら「HGUCデナン・ゾン/デナン・ゲー/エビル・S セット」というキット形態です。この3機種なら成形色を共通にできるため、製造時の都合も良いと思います。3機セットでもおそらくサザビークラスの大型モビルスーツ1体分と同じぐらいの箱サイズや価格になるのではないでしょうか。…その価格を高いと見るか妥当と見るかが難しいところでしょうけどねぇ(汗)。でも、このような形でもないと、エビル・Sのキット化は不可能に近いと思います。
 小型モビルスーツの複数機セットが実現するとすれば、他にもいろいろとセット内容が思い浮かんできます。機体ごとに色が変わるのがOKなら、いっそうバリエーションが増やせられるでしょう。「F91&ビギナ・ギナ セット」「ベルガ・ダラス/ベルガ・ギロス(一般機カラー)セット」「ベルガ・ギロス/デナン・ゾン/デナン・ゲー ブラックバンガードセット」「Gキャノン/ヘビーガン セット」「ゾロ(赤・緑)ツインセット」「シャッコー/リグシャッコー セット」「ジェムズガン/ジャベリン セット」「トムリアット/ドムットリア セット」などなど…。はたして、F91以降のモビルスーツ(特に敵側)にどれだけの需要があるかは分かりませんが、ネタに困った時ぐらいにでもキット化していただければうれしいなぁと思います。

 実は筆者はクロスボーン・バンガードとかザンスカールのモビルスーツについてはかなり好きなんです。「ロボット魂」の今後のラインナップといわれるデナン・ゾンやデナン・ゲー、シャッコーなどの試作品画像を見つつ「やっぱり欲しいなぁ…」とため息をついています。
 長々と妄想話を書いてしまいました。上記のようなキットが発売される事を願いながら、HGUCロトの製作記事を次回より始めようと思っています。

 *前回の妄想話には読者の皆様からたくさんのコメントをいただきました。予想外の反響でビックリ&とてもうれしいです♪ ヤマトさん、通りすがりさん、れんさん、Tアームズさん、2010-03-27 10:22:11のUnknownさん、yanakaさん、ザーコさん、ヤブチカさん、ギリアンさん、ランさん、めっちぇさん、コジロウさん、神威さん、HSPさん、RUOK?さん、剣時さん、オイラもノンシンナー派さん、2010-03-31 02:48:39のUnknownさん、本当にありがとうございます! m(- -)m

 *ふぇんりるふぃーあさん、サイト移設のご報告ありがとうございます♪ 新URLへの更新作業、完了しました!

HGUC ザクⅡF2型(最終回?)

2010年03月26日 | 0080・0083・08MS小隊
 HGUCザクⅡF2型、今回でとりあえずの最終回です。

 ザクマシンガンの新旧比較。HGUCグフにもMMP-78ザクマシンガンが付属していましたが、F2ザクに付属するものはグフのマシンガンの流用ではなく、新設計のものになっています。写真上がグフ、下がF2ザクに付属するマシンガンです。F2のマシンガンは全長がやや短くなっていますが、バレルジャケットやグレネードランチャー砲身が太くなり、設定画のプロポーションに近くなっています。スコープやフォアグリップが可動するのもうれしいですねぇ(グフ付属マシンガンのフォアグリップは、差し替え式で使用状態を再現するようになっていました。その代わり、ドラムマガジンの裏をふさぐパーツが付いているという美点があります)。
 HGUCグフ付属のMMP-78は、グフ本体とは別のランナーになっており、HGUCドムトローペン・サンドブラウンに付属している追加武装ランナーとともに「HGUCジオン軍武器セット」として発売されそうな雰囲気があったのですが、結局実現しないまま現在に至っています。いろんな事情で現在は武器セットの商品化は難しいんでしょうねぇ…。

 実は前回の記事を書いた時点で完成していたのですが、記事が異常に長くなりそうなので、2回に分けることにしました。

 マーキングやウェザリングについては後で考えることにして、今は最新ザクキットの造形美を楽しむことにしました。
 あ~、格好良い!!

 斜め上からの視点で。周囲に比較対照物が無いと、1/100スケールと見間違えるほどの密度感があります。




 中隊長機の羽根飾り付きヘッドに交換して…。




 HGUCザクからバズーカを拝借。

 持たせることは可能ですが、バズーカのグリップとF2の武器持ち手のフィット感はイマイチです。格好良く肩に担がせるためには、グリップ周辺を加工した方が良さそうです。


 HGUCザクとの比較。写真のHGUCザクはF2ザクに近い雰囲気にするための改造を行なったものですが、比べてみるとぜんぜんF2っぽくなっていませんねぇ(汗)。


 HGUCザクⅡ改との比較。ザクⅡ改はパーツ分割や可動ギミックが優れたキットでしたが、四肢の細さが目立ちますねぇ。F2と比べると、なおさら…。


 HGUCザクⅡF2型は「HGUCザク最高傑作」と呼ぶにふさわしい、素晴らしい出来のキットだと思います。今後発売されるキットが、このキットと同等の水準(またはそれ以上)になるかもしれないと思うと、ワクワクしてきます♪ このキット最大の弱点は、あまりに出来が良すぎるため、HGUCドムトローペンやHGUCゲルググマリーネがどうしても見劣りしてしまうことなのではないでしょうか(汗)。



 このHGUCザクⅡF2型を見ながら、こんな事を妄想してしまいました。
 「もし、タイムマシンがあったら…」

 …198×年の、ある夕方。小さな商店街の片隅で、しょんぼりしている少年が一人。そこに近付く怪しげな中年男…
 「よお、ガンプラ少年! いや、今のお前はガンプラ少年じゃないなぁ、『初めてガンプラを買おうとして買い損ねた少年』かな」
 「……おっちゃん、誰?」
 「誰って? う~ん、『通りすがりのガンプラ中年』とでも名乗っておこうか」
 「知らない人としゃべったらアカンって、学校の先生が…」
 「まあ、固いこと言うなや(笑)。 お前は俺のこと知らんけど、俺はお前のこと、よーく知ってるで♪ 実は、しょんぼりしてる理由も知ってる。さっき、そこの店で買おうとしたジムのプラモを上級生に横取りされたんやろ? まあ、上級生には勝てないわなぁ…」
 「なんで、知ってるの?」
 「うん、それはな…。今から言うことは、内緒やで! 誰にも言うたらアカンで! ちょっとこの場所は他の人が通るなぁ。あそこの屋上駐車場に行こうか」
 
 平屋建ての小さなマーケットの屋上駐車場に上がる二人。

 「実はな、俺は未来から来た人間やねん」
 「へえ~」
 「ちょっとぐらい驚けよ! リアクション薄いなぁ(汗)。まあ、さっきのジムのことはガッカリするな。今は売り切れでなかなかガンプラ買えないやろうけど、そのうちちゃんと買えるようになるから」
 「買えるの?」
 「うん。今日はたまたま手に取ったジムを買い損ねたけど、お前はジムよりもグフとかザクの方が好きやろ? そこで、お前にプレゼントをあげよう。これや!」



 「ザク!? でも、○○君が持ってるザクとぜんぜん違う!?」
 「さっきも言うたけど、おっちゃんは30年ぐらい先の未来から来た人間や! これは『ガンプラ30周年』の年に発売された最新の1/144ザクや! 21世紀のガンプラやで♪ ほれ、見てみ。未来のガンプラは接着剤も塗料も使わないで作れるんや。これなんか、眼の部分だけ俺が改造したけど、ニッパーとナイフと紙ヤスリ使って組み立てただけやで。ザクマシンガンをしっかり両手で構えられるし、足首もちゃんと動く。腰も動くし眼も動くで!」
 「うわぁ、カッコエエなぁ…。 でも、ひざとひじと足の甲の色間違えてるし…」
 「ああ、これはな、このデザインのザクはこの色分けで合ってるねん(汗)」
 「おっちゃん、ガンプラって30年後でも続いてるって、ホンマやの?」
 「うん。ここから先の話も、絶対に誰にも言うなよ! 今から数年後に、『ガンダム』の続編がテレビ放映されるから。その後、ガンダムシリーズは何本も作られる。ガンダムはアムロが乗ってたアレだけじゃなくなるんや。信じられんやろうけど、『ガンダム』という名のモビルスーツはいっぱい出てくるで! もちろんガンプラもずっと出続ける。それからな、『ガンダム』30周年の年には、東京に実物大のガンダムの像が展示される。お前はそれを見に行くことになるんや」

 「…すごい!!」
 「すごいやろ♪ まあ、これ以上しゃべったら歴史が変わってしまうかもしれんから、この辺でやめとくわ。そういうことやから、がっかりしないで頑張りや! あ、そのザクは誰にも見付からないように隠しておけよ。お前の部屋の壁にプラスチックの丸いフタがあって、そのフタを外したら壁に穴が開いてるのは知ってるやろ? エアコン、じゃなくてクーラーのホースが入る穴が。その穴に隠しておくとええわ。
 それからな、あと何年かしたら、お前は親からプラモ作りを禁止される。でも、本当にプラモ作りが好きやったら、こっそり見付からないように続けろ! ニッパーの音も接着剤のニオイもさせずにプラモを作る方法を考えるんや! お前の『秘密工場』を作れ!」
 「は、はい…」
 「ほな、おっちゃんは帰るわ。また会おう! いや、会えるわけではないけどな…(汗)」

 「あ、そうそう、さっきの話で分かると思うけど、『ノストラダムスの大予言』は当たらへんから! 1999年を過ぎても人類は滅ぶことはないから! それからもう一つ、30年後でも石油はなくなってないからな! 余計な心配しなくても大丈夫やで~!! ほな、元気でな~!!」
 
 
 ……そういうことを妄想してしまうほど、かつてのガンプラ少年にとっては夢のようなキットだと思いますよ、このF2ザクは♪
 

HGUC ザクⅡF2型(その3)

2010年03月22日 | 0080・0083・08MS小隊
 HGUCザクⅡF2型の続きです。キットの出来が良いため、あいかわらず重箱の隅をつつくような作業が続いています。 

 すね装甲のスソ部分が分厚いと感じたため、内側のエッジ部分をデザインナイフで軽くカンナ掛けしました(写真右側)。「モデルグラフィックス」誌で有名な「薄々攻撃」をすればさらに良くなるとは思いましたが、厚みを一定に削るのが面倒くさかったので、「糸面取り」程度で済ませました。

 
 MMP-78ザクマシンガンのドラムマガジン裏側が空洞になっているため、ふさぎます。どこにしまい込んだのか、エポキシパテが行方不明だったので、0.3ミリプラ板を使用しました。
 プラ板でふさぐといっても、丸く切り抜いたプラ板をマガジン裏に乗せる感じでふさいでしまうとマシンガン本体と干渉してしまいます。マガジン裏の空洞の内径に合わせて切り抜いたプラ板をはめ込むようにする必要があります。最初はランナーのタグ板を使用して塗装不要にしようと思ったのですが、難しそうだったのでやめました。
 0.3ミリプラ板に円定規(直径14ミリの円がちょうど良いです。マガジン裏側の内径が約14.2ミリ、円定規で切り抜いたプラ板が直径約14.1ミリでした)を当て、コンパスの針でグルグルとなぞって切り抜いた後、マシンガン本体への取り付け部分に合わせてナイフで切り欠きます。いきなりサイズぴったりに切るのは難しいため、少しずつ削って調整しました。
 マガジンの裏側には横方向に板状の突起があります。ディテールを再現したものなのですが、この板があると丸く切り抜いたプラ板をはめ込むことができないため、プラ板の厚み分だけ低くなるように削っておきました。
 この後、丸プラ板をマガジン裏にはめ込んで、リモネン接着剤を流し込んで接着しました。

 
 細切りプラ板でマガジン裏側のディテールを復活させました。マガジン裏は完全にはふさがっていませんが、あまり目立たないので「これで良し」としました。

 
 接着剤が乾いた後、細切りプラ板のディテールの長さを調整し、ガンダムマーカー「ガンダムグレー」で塗装しました。


 マシンガンのスコープには直径2.2ミリのウェーブ「Hアイズ ミニ」をはめ込み、グレネードランチャー先端部にはコトブキヤ「丸モールドⅡ」の直径2.5ミリのものを接着しました。
 スコープのHアイズは、モノアイに使用したHアイズよりも直径が大きいため、モノアイよりも目立ってしまわないように裏面にはラピーテープを貼りませんでした。



 とりあえずザク本体とMMP-78マシンガンの組み立てが終わりました。このキットのプロポーションや造形は素晴らしいですねぇ! 


 キットの握り拳はいつも通りの「ゆるく握った穴あき拳骨」です。マシンガンのフォアグリップやヒートホークの保持をあきらめて「握り込んだ拳骨」にするか、そのままにしておくか悩むところです。
 上の写真はコトブキヤ「MSGハンドユニット 丸指ハンドA」の手の甲です。このハンドパーツを使用すると上記の問題点をクリアできるのですが、手の甲に施されているモールドを削り落としたり、手の甲をザクの本体色に塗装したり、手首関節のボールジョイントの径を調節する必要があります。
 手の甲の塗装にはタミヤアクリル塗料の「スカイ」に「フラットブルー」を少量混ぜた色を使いましたが、「明灰白色」や「明灰緑色」の方がザクの成形色に近いかもしれません。

 
 結局、キットの「穴あき拳骨」も加工することにしました。方法はザクⅠ・スナイパーHGUCザクⅡ改、そしてHGUCギラ・ドーガなどの記事に書いてありますので、これらの記事を読んでくださいね。

 今回、「穴あき拳骨」の手指の切り離しに使用した工具です。

 インターアライド社(製造:トランペッター社)の「ミニのこ。」です。600円台~700円台で入手可能だと思います。


 3種類の刃(厚さ0.1ミリ)をグリップに取り付けることができます。刃の幅やピッチがそれぞれ異なり、用途に応じて交換できます。 

 
 今回の作業では刃の細かいものを使用しました。この「ミニのこ。」の刃はエッチングソーとは違い、「あさり(切断する材料と刃の摩擦を抑えたり、切りクズを排出しやすいようにするために設けられた、刃の湾曲)」が付いた本格的なのこぎりです。エッチングソーよりも刃が丈夫で、大きめのパーツの切断にも使用できるはずです。ただし、精密な切断作業にはエッチングソーの方が向いているようです。用途に応じて使い分けると良いと思います。

 *コジロウさん、shionさん、大佐さん、ザーコさん、剣時さん、コメントありがとうございます!

 *大佐さんからいただいたモノアイ改修案「モノアイに3mmの穴を開けて3mmのフラットバーニアを入れたら2mmのHアイズがキレイに仕込めるのでわ?」について。
 …そうなんです。筆者は普段、大佐さんのコメントと同じ方法で作業している(HGUCシャア専用ゲルググおよびHGUC量産型ザクの記事をお読みください)のですが、今回は違う方法を採りました。なぜなら…… 
 
 製作記事は書いていませんが、以前HGUCギラ・ズールを組み立てた時に、F2ザクと同じ方法でHアイズ(1.8ミリ径)を埋め込んだのですが、Hアイズを入れるための穴開け作業が楽にできることに気付きました。Hアイズをまっすぐに入れるのはやや難しいですが、予想以上に精密感のある仕上がりになったため、F2ザクでも採用しました。丸ノズルの内径に合わないサイズのHアイズにも対応可能ですよ!
 HGUCギラ・ズールについては、もし親衛隊仕様のキットが発売されたら製作記事で取り上げたいと思っています。出たら良いなぁ…。

HGUC ザクⅡF2型(その2)

2010年03月18日 | 0080・0083・08MS小隊
 HGUCザクⅡF2型の続きです。キットの出来が良いため、重箱の隅をつつくような作業が続くのですが…
 
 股間ブロックの底にある角型バーニアにディテールを追加します。角型ダクト状のウェーブ製ディテールアップパーツ(名前忘れました:汗)のルーバー部分を切り取り、平らな所に敷いた耐水ペーパーの上で滑らせて厚みを削ってから貼り付けました。

 出来の良いこのキットで唯一の弱点と思うのが、腹部動力パイプの背中側にあるすき間です。軟質樹脂「アサフレックス」の柔軟性を活かして動力パイプのカーブを再現してあるのですが、パイプが曲がる部分にすき間が生じています。

 動力パイプ自体を市販のディテールアップパーツなどで作り直すという方法もありますが、どうしても手間とお金が掛かります。今後、複数作りたいと思うようなキットにいちいちコスト(安いものだと数百円ですが…)が掛かるのはつらいので、キットの動力パイプのすき間を埋める方向で行くことにしました。

 すき間を埋める素材は動力パイプと同じものにします。キットのランナーの動力パイプがつながっている部分に、矢印で示したような短い丸棒が付いています。この部分が動力パイプの細い部分とだいたい同じぐらいの太さです。この部分を切り取って、動力パイプのすき間を埋めるパーツを作ります。


 軟質樹脂アサフレックス製のランナーを、図のようにデザインナイフで切りました。図はランナーを真横から見たところです。カッティングマットなどの作業台の上に両面テープでランナーを固定し、上からナイフで「トンッ」と一気に切ります。ケガをしないように気を付けましょう。
 まずランナーの先端を斜め45度~60度ぐらいにカットし、斜めになった先端部分を切り取ります。その先端部分の向きを黄色の矢印で示したように変え、ランナーの太さの半分ぐらいのところで切ると完成です。
 
 
 写真左:切り取った隙間埋め用パーツ。非常に小さいため、写真では形がよく分かりません(汗)。
 図を描いてみましたが、これまた分かりにくいですねぇ(汗)。
 パイプのすき間は4ヶ所あります。材料となるランナーは8本ありますので、失敗しながらでもなんとか4個パーツを作れました。

 
 写真左:動力パイプの上の方のすき間にパーツを差し込んだ状態です。この状態ですき間埋めパーツを動力パイプに接着します。アサフレックスにはプラスチックを溶かすタイプの接着剤が使えます。この作業の場合は流し込みタイプの接着剤が良いです。シンナー臭が無い「リモネン系」の接着剤でもOKです。
 写真右:すき間埋めパーツを動力パイプに接着した後の状態。完全にすき間を埋めることはできませんでしたが、かなりマシになったと思います。
 接着剤は少なめに流し込みます。あまり多く流し込むと、溶けたアサフレックスが収縮してすき間が生じますので…。実は筆者は、この写真を撮った後にやってしまいました(汗)。溶けたアサフレックスがヒケて、すき間付近が凹んでしまったんです。この後、リモネン系接着剤のオレンジの香りが消えるまで乾燥させてから、瞬間接着剤で凹みを埋めることに…。

 この動力パイプのすき間埋め作業をやってしまうと、動力パイプに柔軟性が無くなって腰の可動のさまたげになってしまうのではという不安がありました。しかし、ランドセルにパイプを固定してしまわない構造のおかげで、可動への影響はあまり無いことが分かりました。あ~、良かった…。

 ここからは筆者の個人的好みなのですが…

 F2ザクのランドセルの表面は凹凸の無いシンプルなものです。ちょっと寂しかったので、「センチネル0079版ザク(上の画像参照)」のランドセルにある、丸いバルジを再現することにしました。ザクの子孫といえるギラ・ズールのランドセルにも同様の丸いバルジがありますし…(位置は逆ですが)。


 ちょうど良いサイズの丸いパーツは市販のディテールアップパーツの中にもあるのですが、キットのランドセルと色を合わせるために、ランナーのタグ板から削り出して作りました。

 下の図はランナーのタグ板から丸いパーツを削り出す際の手順を示したものです。

 まず、円形の基準となるパーツを用意します。コトブキヤ製ディテールアップパーツの、直径7ミリのドラム状のものを使用しました。このパーツに、適当な大きさに切ったタグ板を瞬間接着剤で接着します(接着剤はごく少量です)。
 タグ板に刻印されている文字類は前もって削り落としておきます。文字を削り落としても、文字の跡が濃い色で残ってしまう場合がありますので、できるだけ文字が無い部分を使う方が良いです。
 基準となるパーツに合わせて、タグ板の角の部分をニッパーで切り取り、ヤスリで削ってタグ板を丸くしていきます。基準パーツとタグ板を回しながら、ヤスリはタグ板に対して垂直に当て、タグ板だけを削るようにします。ヤスリを動かす方向は、赤い矢印で示したように、下から上へ押します。
 基準となるパーツと同じ形・同じサイズになってくると、「ここで削るのをストップしよう。これ以上削るとヤバい」という限界点が見えてきます。説明しにくいですが、実際にやってみると分かるはずです(←そんな、無責任な…:汗)。
 ヤスリで削った後は、耐水ペーパーで削った断面を整え、基準パーツとタグ板との間にデザインナイフの刃を差し込んで分離すれば作業完了です。

 この後、円形になったタグ板を、伏せた皿状に削りました。

 5ミリプラ丸棒をタグ板に瞬間接着剤で固定し、持ち手にすると作業しやすかったです。丸棒を回しながら均等に削ると、手作業でもかなりきれいに削れます。テレビで観た、「ろくろ」を使った陶芸や、旋盤を使用した金属の切削作業をイメージしながら削りました。実際の作業は、少し削っては回し、回しては少し削りの繰り返しなので、ろくろや旋盤とはちょっと違うんですけどね(笑)。 


 タグ板で作ったバルジのパーツをランドセルに置き、慎重に位置決めして接着しました。バルジの周囲4ヶ所にリベット状のディテールアップ用パーツを貼って完成です。リベットの色の違いは…気にしないでおきましょう(笑)。

 *前回の記事にも読者の皆様からコメントをいただきました。ありがとうございます! コメントをくださった皆様の多くがHGUCザクF2型を製作されているのがうれしかったです。こうしてキットを組み立てる楽しさとか感動を共有できるのは良いですねぇ♪

HGUC ザクⅡF2型(その1)

2010年03月11日 | 0080・0083・08MS小隊
 待ちに待った1/144スケール・F2ザクの登場です! ネタがネタだけに、筆者もテンションがめちゃくちゃ高いです。
 そう、あれは20年ほど前のこと、「月刊モデルグラフィックス」誌で連載されていた「ガンダム・センチネル」の最終回企画「センチネル0079」に登場したザクの設定画を見た若き日の筆者は、その格好良さに思わず一目ぼれしてしまいました。

 「うわぁ、このザク格好ええ!! プラモ出ないかなぁ…」
 しかし、雑誌連載企画の最終回に登場したモビルスーツです。「センチネル」の代表的な敵MSであるゼク・アインすらキット化されていなかった頃に、「センチネル0079」版ザクのキット化の可能性はゼロに等しかったのです。

 その後、「センチネル0079」版ザクは小変更を受け「機動戦士ガンダム0083」に「F2型ザク」として登場。映像作品に登場したことによりキット化実現の可能性は高まったものの、「0083」シリーズのプラモデルは4種類しか発売されないという事態に…。
 筆者は当時発売されていた「Bクラブ」製のガレージキットを買いたかったのですが、迷っているうちに時期を逃してしまいました。

 時は流れ、マスターグレード(以下、「MG」)シリーズで1/100スケールのF2ザクが発売されました。キットの出来は良かったのですが、ファンが思い描くF2ザクのイメージとは異なる太めのプロポーションに、やや違和感を覚えたものでした。ジオンカラーのキットにザクマシンガンが付属しないという問題もありましたし!
 また「0083」関連のキットは1/100MGよりも1/144HGUCの方がアイテムが充実しているため、どうしてもHGUCのF2ザクが欲しくなってしまうという状態でした。

 そしてガンプラ30周年の今年、ついに1/144スケールのF2ザクが発売されました(感涙)。
 「我々は3年待ったのだ」ではなく、「我々は20年待ったのだ」です。

 「HGUC ザクⅡF2型」は、待っただけの甲斐のあるキットです。最初に元となるデザインが世に出てから20年の間に、ガンプラの技術は格段に進化し、初1/144スケールキット化にしていきなり「決定版」といえる傑作キットとして誕生しました。

 あーっ! うれしいぞ~!!

 さて、興奮ばっかりしているわけにはいきません。製作に入ります。
 とにかくキットの出来は素晴らしいです。説明書通りに組み立てるだけで、格好良いザクが出来上がります。個人的にはほとんど手を加えるところがありません。とりあえず、モノアイのディテールアップから行きます。
 この記事では先月発売されたジオンカラーのキットを使用しますが、発売間近の連邦軍カラーのキットでも同じ内容の作業を行なえるはずです。
 
  
 写真左:キットのモノアイは、ダークグレーで成形された円筒状のモノアイユニットの表面に丸いモールドがあり、その丸部分にシールを貼って再現するようになっています。シールの位置決めがストレスなく行なえるうえに、モノアイの可動は頭部を分解することなくアゴ下のレバーで操作できるようになっています。う~ん、素晴らしい♪

 例によってモノアイにはウェーブ製「Hアイズ」の裏面にラピーテープを貼ったものを埋め込みます。過去記事「かめっチ式モノアイの作り方前編中編後編」も合わせてお読みください。
 ここで問題となるのが使用する「Hアイズ」のサイズです。仮組みした頭部のモノアイ部分に「Hアイズ」の各サイズを置き、どのサイズが格好良く見えるかを確認します。ここで2つの案が出ました。

 1:直径2.5ミリ案…非常に男前に仕上がります(個人的感想ですが)。某模型雑誌の作例は、おそらく2.5ミリだと思うのですが、やっぱり格好良いです。しかし、円筒状のモノアイユニットに開けられた丸穴の中にレンズが入っている状態に仕上がります。メカとしてのリアリティーよりも、キャラクター性を重視した案だと思います。

 2:直径2.0ミリ案…モノアイのシールを貼る部分となる丸モールドを、レンズの外枠として活用する案です。やや目が小さく、2.5ミリ案と比べると迫力不足です。しかし、モノアイレールの構造(右の略図)に近い形状を再現できるため、精密感ではこちらが有利だと思います。

 …結局、2.0ミリ案でいくことにしました。

 *もう一つ、没になった案の話ですが……実はキットのモノアイユニットのパーツは、頭部内部のサイズに対してかなりタイトに設計されています。Hアイズをキットのパーツにそのまま貼ると、モノアイスリットからレンズが突き出した状態になってしまいます。そのため、キットのパーツに穴を開け、Hアイズを埋め込む必要があります。
 本格的にモノアイユニットを作り込む場合、キットのモノアイユニットを使用せずに直径約9ミリの丸いパーツ(↓例:コトブキヤ製マイナスモールド)を加工してモノアイレールを作る必要がありそうです。

 しかし、その作業はかなり手間が掛かると思われます。ザクは量産型モビルスーツです。「複数作りたい」と思うのが人情というものでしょう。できるだけ簡単な作業で済ませたいところですよねぇ…(笑)。というわけで、やっぱりキットのパーツを加工する方向でいくことになりました。


 
 キットのモノアイユニットのパーツの丸いモールドに穴を開けます。まずデザインナイフの先やコンパスの針などで丸モールドの中心を突いて、ドリルで正確に穴を開けるための目印とします。次に、直径1ミリのドリル刃を付けたピンバイスで丸モールドの中心を貫通させます(写真左)。
 写真右:先の細い棒ヤスリで、少しずつ穴を広げていきます。ヤスリを回す方向は一定にせず、右回転・左回転・右回転・左回転…という風に、交互に回すと穴位置がずれにくいと思います。ドリルで穴を開ける際に中心よりずれてしまっていても、この段階で多少は修正がききます。とりあえず完全に穴を広げずに、写真の穴のサイズぐらいで作業を中断しました。理由は後ほど…


 モノアイレールのすき間を再現するため、モノアイユニットのパーツの外周部にミゾを彫ります。方法は前々回の記事で紹介した「かめっチ式パーツスライサー」の応用です。今回はやや太めのスジ彫りにするため、エッチングソーの代わりにデザインナイフの刃の反対側(刃先ではない方の先端)を使って彫りました。デザインナイフの刃は使い古しのものでOKです。作業する前に、刃先の部分にマスキングテープなどを厚めに貼って、ケガをしないようにしておきましょう。
 モノアイ部分の丸モールド付近は特に慎重にミゾを彫ります。デザインナイフの刃で丸モールドをつぶしてしまわないように!

 
 写真左:外周部にミゾを彫り終わったら、再び棒ヤスリを使って穴の直径が2ミリになるまで広げます。穴が2ミリぐらいになると、丸モールドは肉厚が非常に薄い外枠として残ります。外枠をつぶしてしまわないよう、注意が必要です。穴を広げる作業を中断して、途中でミゾを彫ったのは、この外枠をつぶさないようにするためなんです。
 写真右:試しに頭部にモノアイユニットを取り付けて、様子を見ました。ミゾと丸モールドの外枠周辺にスミ入れをして、立体感を強調してあります。

 
 写真左:裏面のヒケ(凹み)を1500~2000番の耐水ペーパーで磨いて処理し、コピー用紙で磨いて透明度を復活させたHアイズ(直径2ミリ)の裏にラピーテープを貼ったものをモノアイユニットに開けた穴にはめ込みます。レンズの向きがゆがまないように慎重に位置決めし、モノアイユニットのパーツの裏側から少量のリモネン接着剤を流し込み、レンズを固定します。
 写真右:頭部にモノアイユニットを取り付けた状態です。モノアイスリットに透明なバイザーを取り付けない場合は、これで完成となります。

 透明バイザー(モノアイシールド)を取り付ける場合…
 
 写真左:用意するもの:キットのランナーを包装しているビニール袋(パリパリした透明度の高いものと、フニャフニャした透明度の低いものの2種類がありますが、この場合はパリパリの方を使用します。袋の端がギザギザになっている方です)・両面テープ。
 ビニール袋は、傷やシワが無い部分を幅4ミリ・長さ約10センチの帯状に切っておきます。両面テープは4ミリ角に切ります。
 写真右:モノアイユニットのレンズがある側の反対側(赤丸で囲った、丸い凹みが目印です)の外周部分に4ミリ角の両面テープを貼り付けます。

 
 両面テープの剥離紙をはがし、帯状のビニールの端を両面テープの中央に貼り付け、ビニール帯をモノアイユニットに1周巻き付けます。作業中にホコリなどが付かないように注意します。

 
 ビニール帯を巻き付け終わったら、両面テープの中央部分でビニール帯の余り部分を切り取ります。ビニール帯が2重に重なっている部分が無いように気を付けましょう。これでモノアイシールドの取り付け完了です。

 
 頭部にモノアイユニットを組み込みます。モノアイ&モノアイシールドの透明パーツ化の完了です。


 この記事を書いている時点では上半身だけ組み立てた状態ですが、すでに「複数作りたい」という気持ちがわいています(笑)。本当に良いキットですよ!

 
 前回の記事にもたくさんのコメントをいただきました。ありがとうございます!m(- -)m

 ご質問の件ですが…
 鈴木勉さん:>「D型ジェガンが発売されると(仮定すると)延長工作が面倒とはどういう意味でしょうか。」
 …このくだりですが、自分の思っていることがなかなか文章に表せなくてずいぶん悩みました(汗)。実際読んでみると、意味不明でしたねぇ…。
 「スタークジェガンの脚が短く感じる→脚を長くするため大掛かりな改造を行なうプラン浮上→実行すればとりあえず解決できるかも→しかし、もしD型ジェガンが発売されるとすると、スタークと並べるにはD型にも同様の改造を行なわないと身長差が出てしまう→身長差を気にしなければ問題ないものの、やっぱり気になってしまう→結局、D型も改造することになる→面倒くさい→できればスタークジェガンの脚の改造は避けたい」という意味だったんです(汗)。
 実際に太ももを延長するとなると、中央で切断して間にプラ板を挟んで…という、全塗装を必要とする改造になるでしょう。足首関節部で延長する場合は、強度との戦いになるでしょうねぇ。

 おこげさん:実はMGグフver2.0はまだ完成していません。ちょうど両脚を組み立て終わったところで非常事態(家族の病気)が発生してしまい、(気分的に)続きを作ることができないまま放置している状態です。またいつか完成させたいですねぇ…。

HGUCスタークジェガン(最終回)

2010年03月08日 | Z・ZZ・センチネル・逆シャア・UC
 HGUCスタークジェガンの最終回です。かなり長い記事になりますので、前置きはこの辺で…。

 スタークジェガンの製作記事(その1)の最後に「(カトキ版ジェガンに近付ける方法として)いちばん簡単で効果的なのは設定画を見ながら立ちポーズを研究することだと思います。詳細は次回にて…」と書いておきながら、前回の記事で立ちポーズについて書くのを忘れていました(汗)。下の2枚の写真は、上腕の短縮などの改造をする前の状態です。

 写真左:とりあえず脚を肩幅に開いて「カトキ立ち」させてみたのですが、つま先が長く、足が大きく見えます。ガンダムGP-01フルバーニアンに近い印象です。
 写真右:カトキ氏による設定画を見てみると、かかとがふくらはぎ下のスラスターカバーよりも後ろに突き出ています。足首関節の可動を活かして、できるだけ足を後ろ方向にずらして配置すると、足元がスッキリした印象になると思います。
 あと、顔を少しだけ上に向けて、写真のアングルからでも首が見えるようにすると、無加工でも首を延長したかのような効果が得られます。

 
 出渕氏が描くジェガンとカトキ氏が描くジェガンは頭身バランスが異なります(前者が約7頭身、後者が約8頭身)。カトキ版にするには、できるだけ頭や顔を小さく見せたいところです。キットの頭部は意外と大きくないため、やや上向きかげんにするとある程度頭身が高く見えます。
 しかしスタークジェガンは口元に増加装甲が付くため、顔が大きく見えてしまいます。とりあえず増加装甲の下側を斜めに削って小顔化を図ったのですが、あまり効果は無いような気が…(汗)。
 
 写真ではどこをどう削ったのか分かりにくいので、図を描いてみました。


 カトキ版ジェガンはかなり脚が長いです。どうやら太もも・スネ共に長いようです。一方、スタークジェガンのキットは腰前部に追加された可動式スカートアーマーがあるため、やや脚が短く見えてしまいます。
 太ももやスネを延長する作業はたいへんです。股関節の位置を下げるとか、足首関節部で延長するという手もありますが、D型ジェガンが発売された場合に同様の工作をすることを考えると面倒くさくて…(汗:D型ジェガンはスカートアーマーが無いため、脚が短く見える心配は無さそうですが)。
 というわけで、股間ブロックの装甲を少し削って「実際には見た目よりも脚が長いのでは?」という錯覚を誘う方法を採ることにしました。
 
 股間ブロックを横から見たところです。正面装甲の下側は、元のキットでは左の写真の黄色い線で示したような形状になっているのですが、右の写真のような形状に削りました。こうすれば可動式フロントアーマーとの間にすき間ができるので、下の比較写真のように…
 
 写真左:股間正面装甲の下側がそのまま股間ブロックの底面に回り込んでいる状態(RX-78ガンダムと同様のパーツ構成)に見える
 写真右:改造後。股間ブロックの底面はやや上にあり、股間正面装甲だけが下に伸びている(Zガンダム的なパーツ構成)ように見える

 ……という効果を狙ったのですが、ほとんど効果はありませんでした(汗)。これでは単なる机上の空論です。う~ん…。

  

 気を取り直して、手首(特に握り拳)の話に移ります。
 
 キットの握り拳は最近のガンプラでよく見られる「ゆるく握った細長い握り拳」です。いわゆる「穴あきゲンコツ」ですね。ザクⅠ・スナイパーHGUCザクⅡ改、そしてHGUCギラ・ドーガなどのジオン系丸指マニピュレーターについては「深く握り込んだゲンコツ」にするための改修を行なってきましたが、連邦系角指は今まで改修したことがありませんでした。今回、初挑戦です。作業については上記ジオン系のものと同様なので、先にこれらの記事を読んでおいて下さい。

 ジオン系と違う点は、連邦系のものは指が細いため、ジオン系とまったく同じ作業を行なうと握り込んだ指の各部にすき間が大きく開いてしまう可能性があるということです。その問題を解決するため、手のひら側の指の付け根部分から指を切り離して、指付け根を斜めに削ることによって指の角度を変えることにしました。
 
 エッチングソーで指を切り離し…

 指の付け根部分を手のひらに向かって斜めに削ります。

 人差し指~小指までと親指がつながったパーツは、切り離す時にどちらの指を活かすかが悩みどころですが、今回は親指を削り落として人差し指&中指を活かすことにしました。
 
 親指を活かして人差し指と中指の2本を新造するより、親指1本の方が楽ですからねぇ。この後、人差し指~小指の部分は人差し指の先端の欠けた部分を修復し、指の角度を変えるために裏面をヤスリで削りました(どう削るかはジオン系の過去記事を参考にしてください)。

  
 ランナーから親指の先端部分を削り出して、親指を復元するのですが、ランナーの色を間違えてしまいました(汗)。スタークジェガンのキットにはグレーのランナーが2色あります。しまった…(汗)。

 整形が済んだ各パーツを接着したら、ゲンコツの完成です。
  

 それぞれの写真の左側が改造後の状態です。

 
 改造後のゲンコツを腕に取り付けた状態です。見た目は良くなったとは思いますが、ビームサーベルを持たせることはできなくなりました。劇中のスタークジェガンはビームサーベルを使うそうです。しまったぁ~!!(汗)

 連邦系マニピュレーターはジオン系に比べるとサイズがやや小さいため、作業が細かくて実に面倒くさいです。結局、実験のために右手を改造しただけで、左手はやめておくことに…。はっきり言っておすすめできません。
 しかし、最近では良いものが手に入るようになりました。コトブキヤさんの「M.S.G ハンドユニット」です。
 
 写真左:サイズや形状はいろいろありますが、1/144スケールの連邦軍モビルスーツには「ノーマルハンドA」がちょうど良いです。
 写真右:ランナーからパーツを切り取って、ゲート処理して組み立てるだけで、良い感じのゲンコツが出来上がります♪
 この「ハンドユニット」はバンダイ製キットと比べると、パーツ表面に付着している油分(製造時に金型からランナーが外れやすいようにするための油と思われます)が多いように感じます。普段ガンプラを組み立てる時、筆者はパーツ表面の油分はあまり気にしない方なのですが、このハンドユニットにはかなりの油分を感じました。パーツをランナーから切り取る前に、食器洗い用の中性洗剤と歯ブラシを使って油分を洗浄しました。
 また、バンダイ製キットほどスナップフィットの精度が高くないようで、はめ込んだパーツがよく外れます。気になる部分は接着してしまった方が良いと思います。この「ハンドユニット」はABS樹脂製ですので、瞬間接着剤を使うと良いでしょう。 

 
 写真左:「ノーマルハンドA」の握り拳をスタークジェガンに取り付けた状態。「ノーマルハンドA」には手首関節用のボールジョイントが2種類付属しています。大きい方のボールジョイントは直径約3.65ミリです。一方、HGクラスのキットに使用されている「PC-123」系ポリキャップの手首関節用のものは内径約3.5ミリです。ハンドユニットのボールに荒めの耐水ペーパーを巻き付けてクルクル回して削り、ボールの直径がポリキャップに合うように調整する必要があります。
 写真右:スタークジェガンには付属していない平手があるのもありがたいです♪ 手の甲や手のひらのディテールが異なるのを気にしなければ、そのまま使っても良いですね。手の甲がグレーのままでも、機体各部にグレーの増加装甲が装備されたスタークジェガンの場合、あまり違和感は無いと思います。


 キットの手と「ノーマルハンドA」のサイズはだいたい同じぐらいです。キットの手の甲パーツを「ノーマルハンド」に移植することも可能だと思いますが、取り付け部分を削り落としたり、サイズを微調整する必要はあります。でも、キットの手指を切り刻んで改造するよりは楽な作業だと思います。

 
 写真左:ビームライフルやバズーカをコトブキヤ製「ハンドユニット」に持たせる場合は、武器類のグリップに付いている取り付け用リブ(矢印で示した部分)を削り落とす必要があります。
 写真左:「ノーマルハンドA」にキットのビームライフルを持たせた状態。指の各パーツが外れやすいため、武器を持ち換えさせない場合は指を手のひら部分に接着してしまった方が良いと思います(持ち替えをする場合は、指パーツのはめ込み部分に瞬間接着剤をコーティングして保持力を高めると良いでしょう)。

 
 というわけでHGUCスタークジェガンの改修が終わりました。久しぶりのGM系モビルスーツだったので、楽しかったです。まだまだ完成には至っていませんが、やりたいことは全てやってしまったので、次のネタに移ろうと思います。
 次回からは「HGUCザクⅡF2型」です。「ガンダムセンチネル0079」でデザインが発表されて以来、ずっと欲しかった1/144スケールのカトキ(当時は「かとき」)版ザクです♪ キットは素晴らしい出来といううわさなので、楽しみです!

 *リンク先のツヨさんが、当ブログで紹介した連邦軍エンブレム自作や上腕の短縮にチャレンジし、見事成功されています! 自分の書いた記事を参考にして、読者さんが製作してくださるのは本当にうれしいです。自分の作業がうまくいった時よりもうれしいです。ありがとうございます。m(- -)m

 *剣時さん、でるたさん(リンク先、新しい方に貼り換えておきました)、Kさん(復活おめでとうございます!)、Angle 45さん、ヤブチカさん、コメントありがとうございます!m(- -)m

 *ガンダムさん:コメントありがとうございます! リクエストいただいた「実物大ガンダム」の写真ですが、写真集(その1)(その2)(最終回)(フランスのAEUGさんへ)の4つの記事で手持ちの写真のオイシイところを出しきってしまいました。残りの写真は暗かったり逆光だったり風景写真になってしまっていたりで、模型製作用の資料にはなりそうにありません(汗)。ご期待に添えなくて申し訳ございません。m(- -)m

HGUCスタークジェガン(その2)

2010年03月03日 | Z・ZZ・センチネル・逆シャア・UC
 「機動戦士ガンダムUC」第1話のブルーレイ&DVD発売日が近づいてきました。第1話ではスタークジェガンが大活躍するらしいので、楽しみです♪ 劇中での扱いが良いと、キット製作のモチベーションも上がりますよねぇ! とか言いつつ、気持ちの方は次ネタのF2ザクの方に大きく動いているのですが…(汗)。

 さて、今回はスタークジェガンの上腕を短縮します。出渕氏のジェガンは上腕が長いのですが、カトキ氏が描くジェガンは上腕が短いです。キットの上腕は出渕ジェガンとしてはちょうど良い長さなのですが、カトキジェガンの場合は2~3ミリほど長いような気がします。
 HGUCジェガンの上腕パーツは一定の太さではなく、ひじ関節に近い側が少しだけ細くなるように角度が付いてます。この角度がくせもので、材木を切るようにしてノコギリでカットするわけにはいきません。また、2本の上腕の長さをそろえる必要があります。
 そこで、久しぶりに「トースカン」という道具の原理を応用した「かめっチ式パーツスライサー(今回命名しました)」の登場となりました。トースカンとは、任意の高さで対象物に水平線を描く道具です。その構造を簡略化し、手軽に任意の高さでパーツをスライスするように考案したのがパーツスライサーです。本来はパーツの外側から一定の距離でスジ彫りを入れるためのものでした。

 用意するもの。エッチングソー(エッチングノコギリ)以外は、特殊な材料はありません。

 写真の左下に写っている銀色の物体がエッチングソー。薄さ0.1ミリの精密なノコギリです。筆者はコトブキヤ製「モデリングノコ」を使用しています。
 エッチングソーの上に並んでいるのが0.5ミリ厚のプラ板です。あらかじめ適当な大きさに切っておきました。
 写真右下にあるのは両面テープです。粘着力は普通ぐらいのものが使いやすいです。
 写真の上の方にある黒い物体は、100円ショップで売っていたコレクションケース(ミニカーなどの展示用)の台座部分です。平らで滑らかな板状のものなら何でも構いませんが、金属やガラスの板が磨耗しないのでおすすめです(筆者が使用したプラスチック製の台座は、少しだけすり減ってしまいました:汗)
 写真には写っていませんが、瞬間接着剤があると便利です。

 パーツスライサーの組み立てです。 
 
 写真左:5枚の0.5ミリプラ板を瞬間接着剤で貼り合わせ、厚さ約2.5ミリのブロックを作りました。このブロックの厚みが、上腕を切り詰める長さになります。

 写真右:平らな板の上にプラ板ブロックを両面テープで貼り付け、ブロックの上にエッチングソーを両面テープで貼り付けます。エッチングソーの刃の中央部は、ブロックから1.5ミリほどはみ出すようにして貼ります。エッチングソーは非常に薄いため、余計な力が掛かると曲がってしまいます。それを防止するため、中央部の刃はブロックに近い位置で安定させておきます。
 エッチングソーの両端は、ブロックからわざと長くはみ出すようにしています。パーツを切り進めていくと、刃の長さが多めに要る場合もありますので…。
 
 これでパーツスライサーの完成です。切断できる幅(高さ)は、0.5ミリプラ板×5+エッチングソーおよび両面テープの厚み=約2.7ミリです。プラ板の組み合わせにより、切断幅を変えることが可能です。

 
 写真左:上腕のパーツの上側(肩関節に近い部分)を下にして、スライサーの刃の前に置きます。
 写真右:刃が安定している中央部を使い、パーツにスジを彫っていきます。いきなり「切る」のではなく、「スジ彫りを少しずつ深くしていく」というイメージで作業します。平らな板の上でパーツを平行に滑らせ、刃に軽く接触させます。パーツが板の上から浮き上がらないように気を付け、一定方向にスライドさせます。往復させると、ノコギリを固定している部分に余計な力が掛かり、刃がゆがんでしまったり、パーツへのスジ彫りがずれてしまったりします。


 スジ彫りが上腕の外周4面に入りました。1面だけを集中して行なわず、4つの面に対して均等に作業します。このようにして、少しずつ切り進めます。

 
 写真左:矢印を引いたところに白い線が入っています。これはパーツの内側まで切れた状態を表しています。残るはパーツの内側に付いているポリキャップ取り付け用のガイド部分です。ここまでくると切れたも同然ですが、油断は禁物です。
 写真右:エッチングソーの刃が長く突き出た部分を使って、パーツの内側のガイド部分を切っていきます。

 
 上腕のパーツがスライスできました。切断面は、ペーパー掛けで仕上げる必要がないぐらいきれいに切れています。

 
 写真左:上腕を短縮した分、中に入るポリキャップの長さが余ります。上腕にポリキャップをはめ込み、はみ出した部分を少しずつニッパーで切っていきます。
(注意:ポリキャップ全体をニッパーではさむようにして切ると、ポリキャップがつぶれてしまいます)
 写真右:この写真ぐらいまでニッパーで切ってから、あとはデザインナイフで仕上げます。
 (注意!!:デザインナイフを使う時は、ケガをしないように気をつけましょう)

 
 ポリキャップの短縮作業が完了しました。短縮前のポリキャップ(写真の左側)の穴の入り口は、昔の記事で書いたように面取りされています。そこで、短縮したポリキャップも同様になるよう、デザインナイフで削ります。


 上腕を短縮した結果、肩関節ブロックの上腕接続軸の長さが余ります。軸を2.5ミリほどニッパーで切ってから、切断面をヤスリで整えます。ポリキャップに差し込みやすくなるように、切断面の角を面取りしておくとさらに良いです。


 写真左側(右腕)が、短縮後の状態です。ひじ関節の位置が高くなったのが分かると思います。プロポーションはカトキ氏のジェガンに近付いたと思うのですが、バズーカを脇に抱えるポーズが取らせにくくなってしまったような気が…(汗)。


 *前回・前々回の記事そして過去記事にも読者の皆様からたくさんのコメントをいただきました。ありがとございます! 実は連邦軍エンブレムの削り出しは初挑戦だったんです(汗)。はじめは自分でも成功するか半信半疑だったのですが、落ち着いてじっくり丁寧に作業したらなんとか出来ました。記事を読んで「チャレンジしてみよう」という読者様がいらっしゃるのはとてもうれしいです♪ ケガに気を付けてトライしてくださいね!

 *2月27日に、超劇場版「ケロロ軍曹」エプロンさんと一緒に観てきました。同時上映の超電影版「三国伝」が目当てだったのですが、映画館に着くのが遅れてしまい、劇場に入った時には「ケロロ軍曹」のオープニングが…(汗)。ケロロは面白かったけど、残念…。
 というわけで、ケロロ&三国伝の映画は絶賛公開中です! 三国伝→ケロロの順番で上映されますよ~(映画館によって違うかも…)。

 *angle 45 さん:現在は毎日更新ではありませんが、ブログ開始当時は「何か『売り』になるモノが無いと…(燃)」と意気込んで毎日更新にしていました。熱意の源はやっぱり「ガンプラが好きだから」だと思います。{メールでの連絡ではなく、誠に勝手ながらこの場でお返事させていただきました。申し訳ございません。m(- -)m}