アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

よりによって採尿室で乱闘未遂…?

2011年12月23日 | Weblog
 大学病院へ通っているのですが…なんのためにって?大学病院に、弁当を買いに通う人がどこにいますかっ!大学病院は…平たく言うと、「重病・難病の患者が行くところ」です。
 もっとも、私の場合は、「検査の数値は、健康体そのもの(担当の准教授談)」という状況。では、どうして通院するのか?薬(副腎皮質ステロイド剤)を減らすと、痛みが出る…のです。その痛みというのは、野生児を自認する私をもってして、「ギャー!」と叫ぶほど…(聖人発症型スティル病という病気。間違えました。見栄で聖人と書いてしまいました。正しくは、成人でした…)。

 さて、たまたま採尿室(兼トイレ)の前のソファアで診察の順番を待っておりました。採尿用の紙コップを持って採尿室へ入る人々を、興味深く眺めておりました。皆さん、辛そうでした。大学病院での尿採取を楽しむ患者さんなどいるはずがないです。寿命が見えた人ばかり…とは言いませんが、寿命に近い人が多いということは事実。

 10分ほど、採尿室の出入りが途絶えたと思いました。なにしろ真ん前に座っているわけですから、出入りはしっかりチェック…していたはず…。
 採尿室は、小用の便器が3つ。その奥に、車椅子で入ることができるカギがかかるトイレがある。その奥に窓があって、その窓から尿のカップを提出するようになっている。

 退屈していた私は、自分の小用を足すために採尿室へ入りました。無人と思っていたのに、二人おられた!?一人は奥のカギのかかる個室に、もう一人はその個室の前に…10分以上も、この位置関係を保っていたと思われました。個室前の80歳前後のジイサンが、個室内の人に向かって、ずーっと文句を言っておりまして…。

 「早く出ろよ!ここは尿を採るとこだぞ!別の用を足してんじゃねえのか?オレ予約の時間に遅れちまう。早く出ろよ!」
 採尿は、個室で行う必要など全くないのに…ジイサンは、「採尿は奥の個室でするもの」と、決めているらしい。
 「全く、おかしな奴が増えたモンだ。おい!何やってんのよ!出てこいよ!何分入ってんのよ!15分経ったぞ!小便採るのにそんなにかかるのか…(延々と)」このような、問いかけと言うよりも罵詈雑言が続いているのに、中の人からは、なんの応答もなかった。

 私は、これは間違いなく流血になるな!と、読みました。中の人がいきなり出てきて、ジイサンをぶん殴る!ジイサンは杖を持っているので、当然応戦する。流血ですよ!ただ、小用のために入った私ですから、用が終わったら残念ながらトイレから出なければならなかった。流血の大乱闘を目撃しないうちに、トイレを出なければならないのは悔しかったが…仕方なく出た。しかし、真ん前の特等席は確保している。採尿室(トイレ)で物音がしたら、カメラを構えて飛び込もうとワクワクしておりました。実は、クリスマスのイルミネーションを撮影するために、デジカメを持参していたのです。

 尿のカップを出す部屋、つまり検査技師の部屋にも、「早く出ろよ!ここは尿を採るところだぞぉー!ウ○コしてんじゃねえのかぁ!ブツブツ、ガタガタ…」が、聞こえたらしい。検査技師が、尿検査の部屋からぐるーっと回って、採尿室へ入って行った。

 事情を把握した検査技師氏は、「どうしようもないなあ、っつたく!」という表情で、採尿室から出てきた。仲裁をあきらめたらしい。

 そして、5分後…個室内に20分籠城していた人が出てきた様子。カメラを持つ手が震えた。「撮影してから仲裁に入ろう。ここまで待ったのだからまず撮影しなきゃあね」と、自分に言い聞かせた。
 と、ところが…乱闘が始まらない…?出てきた人も、ジイサンで、かなり萎びておられた。耳が極端に悪いらしい。それだもの、罵詈雑言が聞こえない。杖をかざしたジイサンも、振り下ろす気が削がれたらしく無言で個室へ入っていった。

 よく考えてみると、大学病院へ通う傘寿の患者に乱闘を期待するのは無理だった。私が籠城ジイサンの立場なら、個室から出るやいなや、「うるさいぞ!このクソジジイ!」と怒鳴ったと思います。そうなると、ジイサンも反撃するでしょう。「オ、オレは小便を採取するんだ!クソではないわい!だからクソジジイは正しくないわい!」

 生乱闘、「80歳VS80歳」は、見ることが出来ませんでした。しかし、20分近くも、罵詈雑言を並べたジイサンを見ることが出来て良かったです。どうしてそれが良かったのかって?こんな凄いものを、無料で見られたのですから。