・・・「男うた女うた ー男性歌人篇ー」 中公新書 と云う書名の本を読んでいる時に、本の中に昔を思い出させる内容の歌が載っていました。
・・・四十年も前に富山県高岡市に住んでいて、時折、近くの伏木港に行って、ヨットに乗っていました。
天気の良い日にヨットに乗って船の中で寝転がって空を見ていた気持ちの良かったことだけは年数がたった今も良く覚えています。
・・・本に載っていて、そのころのことを思い出した歌は
「朝床に聞けば遥けし射水川 朝漕ぎしつつ唱う船人」 大伴家持『万葉集』巻十九
天平勝宝2年(西暦750年)3月2日に詠まれた歌で、この歌の題詞には「川をさかのぼる舟人の歌をはるかに聞く歌1首」とあります。
『現在の伏木港近辺の小矢部川(射水川)」
・・・高岡市の伏木港に流れ込んでいる小矢部川(射水川)のそばの家で、越中の国の国守として赴任した家持は寝床で歌いながら、船をこいでいる船人の声を聞いていた情景の歌なのです。
同じ場所で、同じ船関係の、のどかな風景と云うことで若かりし頃の思い出が思い出されました。
しかも、今から1300年も昔の人の描いた歌が数十年前の私の経験を思い出させたということはすごいことだなーと思いました。