今日の即興詩2 「いくつものいくつものわたし」
薬王華蔵
いくつものいくつものわたしがいるが、どうも、そのどれもが、わたしらしい。
わたしの分身が、わたしを言い張って、わたしを譲らない。
「勝手にどうぞ」と僕は言う。言い放つ。いくつものいくつものわたしが好き勝手に動き出す。
団栗になってごろんと転がっているのもいる。岩になって夏空を仰いでいるのもいる。
小鳥になって鳴き出したのもいる。霧になって山の谷間を流れているのもいる。
でもみんなわたしの視界の中だけにいる。分身だから、わたしに見られていないと、消えてしまうらしい。
号令を出すと、みんなわたしに帰って来て、わたしをわたしの宇宙にして終わる。
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