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即興詩2「いくつものいくつものわたし」

2024年07月13日 11時49分47秒 | Weblog

今日の即興詩2 「いくつものいくつものわたし」

薬王華蔵

 

いくつものいくつものわたしがいるが、どうも、そのどれもが、わたしらしい。

わたしの分身が、わたしを言い張って、わたしを譲らない。

「勝手にどうぞ」と僕は言う。言い放つ。いくつものいくつものわたしが好き勝手に動き出す。

団栗になってごろんと転がっているのもいる。岩になって夏空を仰いでいるのもいる。

小鳥になって鳴き出したのもいる。霧になって山の谷間を流れているのもいる。

でもみんなわたしの視界の中だけにいる。分身だから、わたしに見られていないと、消えてしまうらしい。

号令を出すと、みんなわたしに帰って来て、わたしをわたしの宇宙にして終わる。

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