かたじけなや、かたじけなやかたじけなや。小慈小悲もなき身にて、大慈大悲を身に浴びぬ。我へ来て、花を咲かせたまひける。
そうでありました。これではとてもとても威張れることなどできませんが、顧みてみますと、それがそうではなく、ことごとに威張っているのです。もらうべき吉祥吉事がまだ足りぬなどと大声を出しているのです。神さまにも仏さまにも命令口調をしているのです。蛇蝎男のこの男、ふてぶてしいのです。
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夏の朝に夏コスモスが咲いております。淡い淡い桃色です。涼しげです。かぜはちいともありませんから、ほっそりとした茎と葉っぱと花とが、しずかにして空を向いて立っています。
お慈悲はやさしいのです。頬を染めてほんのりとしているのです。