敗者復活

　日本に生まれて良かった、と思う点は、敗者復活が可能な社会だ、と思う点だ。
もちろん、たやすくはない。また、できない場合もある。そのような、やや過酷な一面を見過ごしているわけではないが、意思があれば、努力を積み重ねれば、何とかなることが多い。

　気を付けなければならないのは、何を持って勝ち負けとするか、だ。相手が誰だかわからない、漠然とした「世の中」ではない。それだと、霧の向こうの巨人を相手にしているようなもので、達成感も満足感も得られない。
　
　日々の暮らしの中で、夜床に就くとき、今日も頑張ったな、とささやかな満足感があるか。あるいは、朝起きたとき、じゃあ今日も頑張ろうか、と、前向きな気持ちになれるか。　

　敗者、とは、うちひしがれた、卑屈な心情にあるもののことを言うのだと思う。顔を上げて、また一歩を踏み出すことができるのなら、敗者ではない。