The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

『ヤング・ポープ 美しき異端児』 S1: E1~E5 (2)

2017-09-19 | 海外ドラマ
”The Young Pope”  Pope Pius XIII  S1


制作 : HBO,Canal +、Sky 
初放送 : Oct..2016
S1 全10話


・・・・・(2)

今回は取りあえずS1の前半E5迄の概要、感想等を少しだけ書き置きます。
少しばかりネタバレしているかもしれませんがご了承下さいマセ。


若くしてアメリカ人として初のローマ教皇となったレニー・ベラルド。
彼は幼い時ヒッピーの親に捨てられ 10歳から保護施設でシスター・メアリーが母親代わりとなっ
て育てられる。
父親代わりともいえるスペンサーの影響でクリスチャンとして成長し、若くして初のアメリカ人教皇
の座に上り詰める。


冒頭のシーンでピウス13世となってバルコニーで初の演説をするレニー。雨が降る中、サン ピ
エトロ広場を埋め尽くす数の信徒を前に、神を冒涜する様な罰当たりで破廉恥な演説をする。
一瞬にして水を打った様に静まる信徒。卒倒する枢機卿。
しかしその時空が一気に晴れ渡り太陽の日差しが。神の御業か・・・・
これは結局彼の夢であったのだが、この事が彼の心の奥底にある願望、或は一種の不安の表
れの様なものなのかもしれないと感じさせる。


型に嵌らず思い通りに行動するレニーは、用意された朝食には手を付けずチェリー味のコークが
欲しいと駄々をこねたり、前教皇が決めた禁煙の掟を破りスパスパタバコは吸うわ(くわえタバコ
の教皇ってのもある意味新鮮?)で、周囲を困惑させる。

コンクラーベを操作してレニーを教皇に当選させた枢機卿達は 彼を傀儡として操るつもりであっ
たにもかかわらず、破天荒な新教皇に振り回される。


最高権力者となったレニーは、自分を育ててくれたシスター・メアリーを呼び寄せ周囲の反対を押
し切って自分の片腕として自分の特別補佐官に就任させ、この事が又問題を起こす事になる。
自分の容姿が優れている事を十分知りながら、マスコミ、信者には決して姿を見せないと言い切り、
教皇グッズで収入大を目論む広報にも写真すら取らせないと言うミステリアスさを貫く。
(これも何か思惑があるのか・・・・) しかし、こんな美形の教皇ならグッズも凄い売れ行きに
なるだろうに・・・(笑)
自分は凄くハンサムだし、セクシーだ と公然と言ってのける傲慢さもあるけど、そう言われても
はい、仰せの通りででござります。と平伏したくなりますもん。

親代わりのシスターに対するレニーの気持ちは特別ではあるが、それでもある時から自分をレニー
と呼ばせず”聖下=His (Your)Holiness←教皇に対する呼称”と呼ぶようにキッチリけじめをつけ
たりするようになる。
自分を捨てたヒッピーの両親に対する想い(特に母親)は常にレニーの心の中にあり、二人の影を
追っている様で、シスター・メアリーもレニーにとっては母親代わり、そしてもしかしたら初恋の
人とも言える存在なんだろうと思われますね。
このシスター・メアリーもユニークでタバコは吸うは、気分転換にバスケットボールのシュートの練
習はするは、シスターの修道服を着ていないときは普通のオバサン。

胸に大きく"I'm A Virgin But This Is An Old Shirt." なんて書かれたトレーナー(Tシャツ?)を着
てるのにはかなり笑えます。

レニーに左遷されそうになった国務大臣のヴォイエッロ枢機卿はレニーの過去から汚点、後ろ暗
い事件等を調査し洗い出すように指示するが なかなか弱点が見つからない。


引き延ばした枢機卿達へのスピーチ時、超豪華な法衣、宝冠は眼を見張るばかり。
荘厳な雰囲気で威厳が出ています。

そしてその時のスピーチでレニーは、自分の考えを通しこれまでの規律を原点回帰する様に、同
性愛禁止、離婚や妊娠中絶禁止は認めない 又他宗教も認めないと言ったの様に次々改革して
いく。
教皇に反対していた枢機卿達も心ならずも彼にを屈服し靴にキスを、これに躊躇していたヴォイ
エッロの頭をもう片方の足で押さえつけて無理やりキスをさせる。 これでもうレニーの立場は定
まった感じ。

自分達の思惑と違い暴走していくレニーの失脚を狙い 彼のスキャンダルや過去の過ちを探り出
そうとするヴォイエッロ。
そしてレニーの失脚後の教皇の座には自分がつくべきだというスペンサー。
同時に不倫をしていた警護官の妻エスターを利用してレニーを誘惑させようとし、その証拠写真
を撮ろうとししたハニートラップにも引っ掛からなかった教皇に対する国務大臣の思惑も変化して
くる。

不妊で悩んでいたエスターが妊娠し、出産した時には自ら病院に花を持って訪ねるし、その後も
度々子供を見に訪れる教皇に夫婦は戸惑い気味。 だけど、家族を知らないレニーにとっては 
この赤ちゃんは特別な様でピウスと名づけたり、オムツを替えたりする姿は微笑ましいと同時に 
何故か切なくなる。
レニーの心の奥には常に家庭や親に対する憧れがあるんですね。


グティエレス司教を信頼して代理でアメリカに送ろうとするも、司教は自分がゲイであり、アル中で
ある事を告白して辞退しようとするのですが、そんな事は知っているというレニー。
(このグティエレスが何となく可愛いんです。 いや、外見では無く・・・)
レニーはグティエレスだけでは無く、他の枢機卿達の秘密、プライベートも色々知っている様子。 
この点も不思議な所。 シスター・メアリーに調査させているのか、或は他の誰かを信用して、調査し
ているのか、或は聖人では無く悪魔だとさえ言われる様に 何か特別な能力を持っているのか。

この辺りまで観ていても未だレニーの本心が良く分からない。
心底神を信ずる敬虔な教皇なのか、自分自身の中の神を信じられないのか、或は自分が心から
神を信じているのか迷いを持っているのか・・・。
教皇の地位に執着する様でも無く、でも自分の思い通りに教会を変えて行こうとする”自分が神
なのだ”と言う思いもある様にも感じられる。


一方世界で一番の権力者であると自認しては居るものの、孤独なレニーは夜屋上で司祭に気持
ちを打ち明けたり、宮殿を抜け出し親友と夜の町に繰り出して飲み明かしたり、と心の葛藤も感じ
させられる。
(プライベートな時間にはフード付きのジャージ(?)で。 但しこのジャージも上下 ”白”)

ベールに包まれたバチカンの中の出来事ではあるが 政治の世界をも彷彿とさせる派閥争い、
スパイ、裏切りなども描かれ、又聖職者の少年に対する性的思考問題等にも切り込んでいく、
宗教界に対する皮肉や諷刺も感じられる展開には目が離せない。。 



とは言え、途中枢機卿達の私生活、レニーの子供時代のエピソード等視点が広がりすぎて散漫
になっている様な点もあり、実際少し中だるみの感もあり・・・・

取りあえずS1のE1からE5迄観た感想ですが、このドラマはカトリック教徒、キリスト教信者と特別
信仰心の無い者とは視点、受け止め方が違うのかとも感じたのですが(私自身キリスト教系学校に
通っていたにも関わらず信者ではないので←小声で) 、イタリアでも放送後大変な視聴率で人気
があったという事だし、何よりもバチカンからクレイムも横やりも入っていないとの事で少し意外
な気もしたものです。

先にも書きましたが、兎に角超豪華な教皇の聖衣のお召替えが何度もあり、これだけでも目の保養
になります。

後半E6~E10に関しては、書けるかどうか分かりませんが 取りあえず意外な結果となっている
とだけ言っておきましょう(勿体ぶってる)

そして、現在既にS2制作の予定が発表されている様です。
だがしかし・・・
どうなんだろう、E10の終わり方から考えてみると 続けるとしても難しい様な気もするし もろ手
を挙げて賛成!という気にはなれないし S1で終わらせた方がすっきりするんじゃないかというの
が正直な気持ちですわ。



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