知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

商標法50条1項の判断おける画像処理技術名とファクシミリ製品名

2011-12-11 21:37:14 | 商標法
事件番号 平成23(行ケ)10096
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成23年11月30日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明

 上記認定した事実,すなわち,
「GENESIS」の表示は,原告の製造,販売に係る「ファクシミリ」に関する説明用のカタログやウエブサイト等に記載されていること,
「GENESIS」の表示の態様は,文章の各文字よりも,大きく,太く,まとまりのある,特徴的な字体により,独立して,目立つように記載されていること,すべて同一の字体が使用されていること,
ウエブサイトの「GENESIS」の項目には,「対応機種:キヤノフアクスL380S,L230,JX6000,L2800」と表記されて,ファクシミリとの関連性が明確に示されていること等
に照らすならば,カタログやウエブサイト等の「GENESIS」の表記に接した需要者,取引者は,「GENESIS」の表記を,原告の製造,販売に係る「ファクシミリ」に関する標章であると認識,理解する
ものといえる。

確かに,前記商品カタログ等の説明文には,「GENESIS」について,原告の独自に開発した画像処理技術を指す旨の記載がある
 しかし,原告の製造,販売に係るファクシミリに用いられている「原告の独自に開発した画像処理技術」が,どのような技術を指すかについての詳細の説明は格別されていないこと,前記商品カタログ等は,画像処理技術の販売等に係る配布物等ではなく,ファクシミリの販売等に係る配布物等であることに照らすならば,そのような説明は,原告の製造,販売に係る「ファクシミリ」が,いかに性能が高く,品質等が優位性を有しているかを強調するために用いられた,ごく一般的な広告手法であるといえる。したがって,そのような説明がされているからといって,取引者,需要者が,「GENESIS」の標章について,原告の開発した画像処理技術について使用されていると理解,認識すると解することは困難であり,むしろ,原告の製造,販売する「ファクシミリ」の広告などに,同商品の出所を示す趣旨で使用されているものと理解,認識すると解するのが自然であり,合理的である

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