知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

特に取引の実情を考慮して類似するとした事例

2009-10-31 22:28:37 | 商標法
事件番号 平成21(行ケ)10071
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成21年10月28日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明

・・・
エ 取引の実情等について
 前記(1)に認定したとおり,原告は,平成6年ころから,長年にわたって,引用商標中の「優肌」を含む商標(「優肌シリーズ」,「優肌」,「優肌絆」,「優肌包帯」,「ゆうきばん/優肌絆」,「優肌パミロール」,「優肌パーミエイド」等)を,原告の製造に係る商品(医療用粘着テープ,医療用粘着フィルム,医療用包帯等の商品)の包装箱に継続的に使用し,また,雑誌等の宣伝広告媒体に掲載していること,絆創膏等の商品について,複数のメーカーが存在するが,各メーカーは,例えば,ニチバンは「スキナゲート」,祐徳薬品工業は「ユートク」,スリーエムヘルスケアは「マイクロポア」の各商標を有して,互いに異なった商標を使用していること等の事情に照らすと,「肌優」が本件商標の指定商品に使用されると,取引者,需要者は,同一の出所に由来するものと誤認する可能性があるという意味で「優肌」と類似する商標と理解するというべきである。

オ 小括
 以上のとおり,取引の実情を考慮して,本件商標と引用商標とを対比すると,観念及び外観において類似する。本件商標と引用商標がいずれも造語であり,特に本件商標については,複数の称呼が生じ得ることにかんがみると,本件商標と引用商標の類否を判断するに当たり,本件において称呼を重視するのは妥当とはいえない

 本件商標に係る指定商品のうち,ばんそうこう,包帯,創傷被覆材が引用商標の指定商品と同一であり,その他の指定商品が引用商標の指定商品と類似することは当事者間に争いがない。

 そうすると,本件商標は,引用商標とその指定商品が同一又は類似する。

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