知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

プログラムの機能を分割して独立した手段とした場合

2007-03-11 07:09:14 | 特許法29条2項
事件番号 平成17(行ケ)10779
事件名 特許取消決定取消請求事件
裁判年月日 平成19年02月28日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官三村量一

『 原告は,刊行物1記載の「コントローラ部210」は,たとえ2分割しても本件発明1の課題を達成することができるものではないし,各接続方式との関係を示唆する何らの記載もないから,本件発明1の「前記印刷情報データを受信する印刷装置インターフェース制御部」と「前記印刷装置インターフェース制御部が受信した前記印刷情報データに基づき印刷制御を行う印刷装置データ処理部」とを兼ねたものに相当しないと主張する。

 しかしながら,刊行物1によれば,刊行物1記載発明の「コントローラ部210」は,「転送されてきた印刷コマンドに基づき,…(中略)…印刷イメージを展開」して,後に「レーザプリンタエンジン211によって印刷」される機能を有するもの(刊行物1の6頁左下欄10行~14行)であることが認められる。したがって,「コントローラ部210」は,本件発明1における「前記ホストコンピュータインターフェース制御部から前記接続方式に対応した転送方式で転送されてきた前記印刷情報データを受信する」機能及び「前記印刷装置インターフェース制御部が受信した前記印刷情報データに基づき印刷制御を行う」機能を共に有するものである。

 上記のとおり,刊行物1記載発明の「コントローラ部210」が本件発明1の「印刷装置インターフェース制御部」と「印刷装置データ処理部」とを兼ねたものに相当するとの決定の認定に誤りはない。』

 『原告は,本件発明1の「ホストコンピュータデータ処理部」及び「ホストコンピュータインターフェース制御部」は,各接続方式に対応する書き出しプログラムに代えて,2分割し,機能分けをしたものであると主張する。

 しかし,特許請求の範囲には,「各接続方式に対応する書き出しプログラム」の文言はなく,発明の詳細な説明にも,そのように限定的に解釈すべき記載はない。本件発明1の「ホストコンピュータデータ処理部」及び「ホストコンピュータインターフェース制御部」を各接続方式に対応する書き出しプログラムに代えて2分割し機能分けしたものであると限定的に解釈すべき理由がない。』


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