知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

特許法29条2項のクレームの用語解釈の例

2007-03-11 07:22:45 | 特許法29条2項
事件番号 平成18(行ケ)10202
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成19年02月28日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明

『本願発明の構成中の「(所定の波長の光に対する)反射率が高い薄膜層」の意義については,①特許請求の範囲の記載において,「反射率が高い」と記載され,格別の限定はないこと,②本願明細書の発明の詳細な説明には,薄膜層は,本願発明に係る光ディスクを使用する際に,ディスク駆動装置の光ヘッドが各データ面から同量の光を受け取ることができるように,データ面における所望の量の光の反射をもたらすためのものであることが説明されていることが認められ,上記記載に照らすならば,「反射率が高い薄膜層」とは,「該データ面のデータを読み取れる程度に再生波長(所定の波長が再生波長を指すことについて争いはない。)の光を反射する薄膜層」であると理解すべきであって,これをもって足りる。

 この点,原告は,「反射率が高い薄膜層」とは,「屈折率が高く,かつ吸光係数が低い材料からなる薄膜層」であると解すべきであると主張する。

 しかし,材料,屈折率及び吸光係数については,特許請求の範囲の記載において格別限定されていないし,発明の詳細な説明等を参照しても,そのように限定的に理解すべき根拠は見い出せない。原告のこの点の主張は採用できない。』

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