知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

特許法36条6項と同条4項との関係

2006-12-24 19:48:29 | 特許法36条6項
事件番号 平成18(行ケ)10099
事件名 特許取消決定取消請求事件
裁判年月日 平成18年12月21日
裁判所名 知的財産高等裁判所
裁判長裁判官 篠原勝美

『(1) 決定は,「『線状模様の「線」』本数が明確でなく,また,請求項1に記載の『杉綾模様』を呈する『線状模様の線本数』を計数する方向についての特許権者の主張には,技術的根拠があるとは認めることができないから,発明の詳細な説明の記載を参酌しても,前記『線状模様の線本数』が明確であるとはいえないし,その測定方法が明りょうであるともいえない。よって,本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(注,本件発明1)が,明確であるとはいえないし,発明の詳細な説明の記載は当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。」(決定謄本9頁第6段落~最終段落)としたのに対し,原告らは,「線状模様の線本数」の「線」の意義も,その測定方法も明確である旨主張する。』


『(2) まず,「線状模様の線本数」の「線」の意義について検討する。
・・・
エ 以上によれば,本件発明1は,交互に並んだ凸条部と凹条部とにより線状模様が形成され,その「線」の単位長さ当たりの本数により規定されているものであるところ,不織布のどの部分を「線」ととらえるかについて,

(3) 次に,「線状模様の線本数」の測定方法について検討する。
・・・
ウ 以上によれば,本件発明1は,「凸条部と凹条部とによって形成される線状模様の線本数は3~9本/cm」として,線状模様の線本数について,単位長さ当たりの線本数により規定されているものであるところ,単位長さ当たりの線本数は,計測方向によって変わるものであるにもかかわらず,その計測方向は,本件明細書に記載も示唆もなく,また,技術常識によって定まるものではないから,不明確というほかない
 したがって,「線状模様の線本数」の測定方法が明りょうであるとはいえないから,この点についても,本件発明1の特許請求の範囲の記載は,明確であるとはいえないし,発明の詳細な説明の記載は,当業者が実施をすることができる程度明確かつ十分なものではないと認められる。』

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