知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

現行用紙の著者表示に法14条の推定を認めた事例

2008-06-21 08:13:06 | 著作権法
事件番号 平成18(ワ)3174
事件名 著作権持分確認請求事件
裁判年月日 平成20年06月19日
裁判所名 大阪地方裁判所
権利種別 著作権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 田中俊次

『3 著作権法14条の適用の有無について
著作権法14条は,「著作物の原作品に,又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に,その氏名若しくは名称(以下「実名」という。)又はその雅号,筆名,略称その他実名に代えて用いられるもの(以下「変名」という。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は,その著作物の著作者と推定する。」と定める。本件質問項目が掲載されている現行用紙には「著者」として,P3及びP4と並んでP1の氏名が表示されているところ,被告らは,この表示はあくまでYG性格検査用紙についての著作者の表示であって,YG性格検査についての著作者の表示ではないと主張する。
しかし,現行用紙は,本件において著作権(持分権)の帰属が問題となっている著作物である本件質問項目を掲載したものであるから,本件質問項目は,現行用紙がYG性格検査の被験者等の公衆に対して提供又は提示される際に,これに伴い公衆に対して提供又は提示されるものである。したがって,現行用紙に「著者」として表示されている者は,現行用紙自体の「公衆への提供若しくは提示の際に」その実名が「著作者名として通常の方法により表示されている者」であると同時に,著作物である本件質問項目の「公衆への提供若しくは提示の際に」その実名が「著作者名として通常の方法により表示されている者」ということができる。よって,現行用紙に「著者」としてP1の氏名が表示されている以上,P1は本件質問項目の著作者と推定される(著作権法14条)』

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