知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

出願後に領布された刊行物で出願当時の技術水準を認定することの是非

2010-12-29 11:23:13 | 特許法29条2項
事件番号 平成22(行ケ)10163
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成22年12月22日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 滝澤孝臣

原告らは,本件審決が,本願出願後に頒布された刊行物D(甲17)に基づいて,引用例1記載の「Rテルミールソフト」の粘度を認定したことは誤りであると主張する。

 しかしながら,発明の進歩性の有無を判断するに当たり,上記出願当時の技術水準を出願後に領布された刊行物によって認定し,これにより上記進歩性の有無を判断しても,そのこと自体は,特許法29条2項の規定に反するものではない(最高裁昭和51年(行ツ)第9号同年4月30日第二小法廷判決・判例タイムズ360号148頁参照)。
 よって,本願発明の進歩性の有無を判断するにあたって,引用発明である「Rテルミールソフト」が持つ粘度を認定するために,本願出願後に頒布された刊行物Dを参酌したことは,特許法29条2項に反するものではない。

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