知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

著作権侵害の意図と損害賠償

2011-11-18 22:03:42 | 著作権法
事件番号 平成23(ネ)10020
事件名 損害賠償等・同反訴請求控訴事件
裁判年月日 平成23年10月31日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 著作権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 中野哲弘

3 「著作権侵害及び損害賠償の対象ではない」との主張について
(1) 控訴人は,被控訴人が本件写真の著作権を有することを知らないか,又は本件写真の芸術的若しくは商業的価値を認めていないから,無許可で使用しても著作権侵害の意図がなく,損害賠償責任を負わないと主張する。

 しかし,著作権侵害につき不法行為に基づく損害賠償請求権が成立するためには,行為者に自己の行為が他人の著作権を侵害するものであることにつき故意又は過失があれば足り,また,故意又は過失が認められるためには対象となる著作物が他人の著作物であることを認識し又は認識し得れば十分であって,著作権の帰属に関する行為者の認識の有無,行為者が著作権侵害の意図を有していたか否か,さらには対象となる著作物に対して行為者が芸術的若しくは商業的価値を認めていたか否かは不法行為が成立するための要件ではない。

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