知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

著作権法32条1項の引用に該当するとした事例

2010-02-21 21:43:52 | 著作権法
事件番号 平成20(ワ)32148
事件名 損害賠償請求事件
裁判年月日 平成22年01月27日
裁判所名 東京地方裁判所
権利種別 著作権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 清水節

(4) まとめ
以上のとおり,被告各図表は,いずれも,被告書籍の表現形式上,利用する側の著作物であるAの執筆部分と明確に区別して認識することができると認められ,また,偶数頁に掲載されたAの執筆部分の記載内容を,読者に視覚的に分かりやすく伝えるための補足資料として利用されたものにすぎず,Aの執筆部分が主,被告各図表が従という関係にあると認めることができる(・・・。)。

 そして,被告書籍における原告各図表の利用行為が上記のようなものでありまた原告各図表の利用に当たり,「出典:月刊ネット販売」と明記されていることからすれば,被告書籍に被告各図表を掲載した被告の行為は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,引用の目的上正当な範囲内で行われたものと認めることができる。

 したがって,仮に,原告各図表が編集著作物であるとしても,被告が被告書籍において原告各図表を利用した行為は,著作権法32条1項の引用に該当し,適法なものと認めることができる。

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