知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

発明の詳細な説明の内容をクレームの範囲に一般化できるか

2008-03-17 21:29:17 | 特許法36条6項
事件番号 平成18(行ケ)10448
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成20年03月06日
裁判所名 知的財産高等裁判所
裁判長裁判官 塚原朋一

『本件訂正発明1は,Ra値が60μm以下であることを特徴とする不織布の発明であって,明細書の発明の詳細な説明には,不織布の融着部のくぼみの深さとフィルター機材の毛羽立ちとが関係が深く,さらに,くぼみの平均深さが,一定の条件で測定されるRa値と密接に関係し,Ra値を60μmとすることで,従来の不織布に比べ大幅にフィルター機材の毛羽立ちを抑制し,逆にRa値が60μmを超すと,フィルター基材の毛羽立ちが幾何級数的に大きくなっていき,エアーフィルターとして適さなくなることを見出してされたものと記載されている。しかし,乙1実験及び甲12実験の結果によれば,上記の明細書に記載された関係を認めることができず,また,不織布のRa値が60μm以下であり,本件訂正発明1に含まれるものであっても,毛羽立ちの特性が悪いものがあり,さらに,技術常識に照らしても,発明の詳細な説明の内容を,特許請求の範囲に記載された範囲について,一般化することができない。
そうすると,本件訂正発明1は,特許法36条6項1号の要件を満たさない
ものということができ,このことをいう審決に誤りはない。』

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