知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

組み合わせの動機付けの検討例

2007-03-09 01:04:43 | 特許法29条2項
事件番号 平成18(行ケ)10350
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成19年02月27日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官中野哲弘

『 第1引用発明は,おむつを着用者へ取り付けるとき,出っ張り部50を含むウエストの伸縮性部材38又は40に取付操作中に発生する張力が伸縮性部材34,36を直接膨張させることにより着用者の回りでの脚カフのよりきつい嵌合が保証される,という本願発明と同様の効果を奏するから,おむつの縦方向の長さ調節のために,後方ウエスト部分の取付手段の幅を前方ウエスト部分の取付手段の幅より大きくするという,第2引用例に開示されている上記(2)の技術的事項を第1引用発明と組み合わせる動機付けが存在するということができるし,また,第2引用例に記載された上記(2)の技術的事項を第1引用発明と組み合わせることによって,様々な寸法の着用者に応じて脚カフの嵌合具合を調節することができるという効果を奏することができるというべきである。

 なお,第2引用例には,「前記前方ウエスト部分の取付手段の幅の前記後方ウエスト部分の取付手段の幅に対する百分率比は約10%ないし約30%の間,好ましくは約25%であること」という,本願発明の数値は記載されていないが,おむつの縦方向の長さ調節のために,後方ウエスト部分の取付手段の幅を前方ウエスト部分の取付手段の幅より大きくするに際して,前方ウエスト部分の取付手段の幅の後方ウエスト部分の取付手段の幅に対する割合をどの程度にするかは,当業者が適宜選択すべき事項であって,本願の発明の詳細な説明(甲5)にも,前記2(1)ア(イ)のとおり,この数値が好ましいと記載されているのみであるから,この数値について当業者が容易に想到し得るものではないということはできない。』

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