知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

固定カメラで撮影したライブ映像の著作物性

2011-11-17 22:55:12 | 著作権法
事件番号 平成21(ワ)31190
事件名 損害賠償請求事件
裁判年月日 平成23年10月31日
裁判所名 東京地方裁判所
裁判長裁判官 大須賀滋

(1) 著作物3の著作物性(創作性)について
ア 前提となる事実に加え,証拠(甲10,15)及び弁論の全趣旨によると,著作物3は,「THE MACKSHOW」の活動初期のライブの映像を収録したDVDであり,
 Yの発意・方針に基づき,関係者への配布を目的として製作されたこと,
 映像は,ライブハウスに設置された固定カメラにより撮影されているが,同カメラは,ステージ全体を捉えることのきる位置及び角度に設置されており,ステージ全体を正面から撮影したり,ステージ上の人物の移動に合わせて左右に角度を変えて撮影したり,望遠によりステージ上の人物を中心に撮影することができるものであること,
 著作物3は,上記バンドがライブにおいて楽曲を演奏する様子を撮影したライブ全体の映像で構成され,ライブの進行に応じて,ステージ全体を正面から撮影したり,特定のメンバーを中心に撮影したり,メンバーのステージ上の移動に伴いカメラの角度を変えて撮影するなどした映像から成っていること,
 著作物3の映像には,ライブの臨場感を損なわないため,特段の編集作業を施していないこと
がそれぞれ認められる。

 したがって,著作物3の映像は,上記バンドのライブにおける演奏の様子が記録され,カメラワークや編集方針により,ライブ全体の流れやその臨場感が忠実に表現されたものとなっており,著作者であるYの個性が現れているということができるから,著作物性(創作性)を認めるのが相当である。

イ 被告は,著作物3のカメラワーク等から,その著作物性(創作性)を争うが,上記のとおり,著作物3は,ライブの進行に応じた撮影を行っていることからすると,著作者の個性が表現されているということができる。
 したがって,被告の上記主張を採用することはできない。

最新の画像もっと見る