事件番号 平成21(行ケ)10158
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成22年03月30日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明
(2) 判断
ア 本願発明に係る「補助エステル」の特定
本願明細書には,本願発明による課題解決をするに当たり,当業者において,本願発明で規定したLogP値の範囲内の化合物群の中から,どのような補助エステルを選定すべきかについて,明確かつ十分な記載がされていないと解される。その理由は,以下のとおりである。
すなわち,エステル化合物については,原告が書証として提出する皮膚外用剤に関する文献について見ただけでも,例えば,・・・が示されているように,多種多様なものを含む。
・・・
ところで,発明の詳細な説明の【0020】では,「栄養素をヒトに送達する」という解決課題を達成するためには,補助エステルは,①プロ栄養素の角質層からのフラックス(透過性)が類似するという性質と,②生物変換に関してプロ栄養素と効果的に競合するという性質の両者が必要であると記載されている。
このうち,②の生物変換に関して微量栄養素(プロ栄養素)と効果的に競合するという性質は,請求項1,11で規定されたLogP値の範囲の補助エステルのすべてが当然に備えているものではなく,当業者が,試行錯誤を繰り返して,生物変換に関して微量栄養素と効果的に競合する補助エステルを選別しない限り,本願発明の目的を達成することができず,本願明細書には,その選別を容易にするための記載はない。
この点について,原告は,補助エステルが,LogP値の範囲内であれば,すべて,前記②の性質を有するように主張するが,同主張は根拠を欠くものであって,採用できない。
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成22年03月30日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明
(2) 判断
ア 本願発明に係る「補助エステル」の特定
本願明細書には,本願発明による課題解決をするに当たり,当業者において,本願発明で規定したLogP値の範囲内の化合物群の中から,どのような補助エステルを選定すべきかについて,明確かつ十分な記載がされていないと解される。その理由は,以下のとおりである。
すなわち,エステル化合物については,原告が書証として提出する皮膚外用剤に関する文献について見ただけでも,例えば,・・・が示されているように,多種多様なものを含む。
・・・
ところで,発明の詳細な説明の【0020】では,「栄養素をヒトに送達する」という解決課題を達成するためには,補助エステルは,①プロ栄養素の角質層からのフラックス(透過性)が類似するという性質と,②生物変換に関してプロ栄養素と効果的に競合するという性質の両者が必要であると記載されている。
このうち,②の生物変換に関して微量栄養素(プロ栄養素)と効果的に競合するという性質は,請求項1,11で規定されたLogP値の範囲の補助エステルのすべてが当然に備えているものではなく,当業者が,試行錯誤を繰り返して,生物変換に関して微量栄養素と効果的に競合する補助エステルを選別しない限り,本願発明の目的を達成することができず,本願明細書には,その選別を容易にするための記載はない。
この点について,原告は,補助エステルが,LogP値の範囲内であれば,すべて,前記②の性質を有するように主張するが,同主張は根拠を欠くものであって,採用できない。