知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

審決における具体的な指摘

2008-10-31 07:03:38 | 特許法36条4項
事件番号 平成19(行ケ)10238
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成20年09月29日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 田中信義

(3) 上記(2)ア~オによると,当業者が,本願発明1の規定する6つのパラメータの値をそれぞれ本願発明1において規定する範囲内のものとし,これらのパラメータ値を同時に満たす官能化ケイ酸を製造することに特段の困難はないものと考えられるから,本願明細書の記載が簡略に過ぎるきらいはあるとしても,審決における具体的な指摘が何らないまま,明らかに実施可能要件を満たさないと断ずることは到底できない

 したがって,当業者にとって本願発明1の規定する6つのパラメータ値を同時に満たす官能化ケイ酸を製造することが困難であるとした上で,実施可能要件がないとした審決を取り消すべき理由とはなり得ない旨の被告の主張は,前提を誤るもので失当であるといわざるを得ない。

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