徒然なか話

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俚奏楽 民謡七福神

2024-02-02 17:34:26 | 音楽芸能
 先日行われた「第57回熊本県邦楽協会演奏会」で、本條流直門師範の本條秀美さん率いる「秀美会」の皆さんが演奏した「俚奏楽 民謡七福神」。この唄は本條流家元の本條秀太郎さんが創作され、豊漁や五穀豊穣を七福神に祈願する民衆のこころが唄われています。「伊勢音頭」風の軽やかな節に乗って本條秀美さんの透明感のある唄声が魅力です。
 本條秀太郎さんは自らの著書「三味線語り」のなかで、「俚奏楽」に対する想いを次のように語っておられます。

 私が創作している三味線音楽は「俚奏楽(りそうがく)」と名づけています。鄙唄(むらうた)である民謡を昔は「俚謡(りよう)」といいました。私は「俚」という字を「人」に「田」と「土」と解しています。田舎を連想するこの文字は、より広い意味で日本人そのものを表しているような気がします。自然とともにその土地に生かされている人間の営みを「俚」という文字から感じるのです。
 しかし、鄙の世界は鄙のみでは成り立たず、都の世界も鄙なしではその存在があり得ません。この相対する世界の連関のなかで文化の成熟と、新しい世界が開かれるのではないでしょうか。「鄙」と「都」この二つの世界の融合が「俚奏楽」なのです。古典といわれる作品と俚謡、地方に残されている小さな“うた”、日本人のもつ土俗的・普遍的な“モティーフ”を三味線音楽として昇華させ、現代に生まれた伝統三味線音楽として「俚奏楽」に命を与えたいのです。俚謡は素朴で美しく、短い旋律であるのに感動を与えることのできる“ちから”をもっています。それが田舎唄と片づけられてしまうのは悲しすぎます。この小さな“うた”たちを継承し、後世に伝えることも「俚奏楽」の使命の一つなのです。


2018年4月、山鹿八千代座での「山鹿をどり」において「お練り」の先頭車に乗り込んだ本條秀太郎さん

2024.1.28 国際交流会館 第57回熊本県邦楽協会演奏会
演奏:秀美会
舞踊:藤間きみ藤社中


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