徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

ビートルズ60年

2024-05-17 23:12:23 | PC
 ザ・ビートルズが「ラブ・ミー・ドゥ」でメジャーデビューしたのは1962年10月のこと。しかし、日本では1964年2月に発売された「I Want To Hold Your Hand(抱きしめたい)」がビートルズの日本デビュー曲となった。この1964年がいわば日本のビートルズ元年といえる。僕は当時も今も特別なビートルズファンというわけではないが、彼らが世に出た頃が一番音楽を聴いていた時期なので、その時代の空気感みたいなものはよく憶えている。
 この1964年、僕は高校を卒業して上京した。この年は東京オリンピックの年で、大学の水泳部もシーズンインがいつもの年より早く、まだ卒業式前の2月に入ると早くも大学水泳部の寮に入った。慣れない寮生活で楽しみと言えば、高校時代からのラジオでヒットポップスを聴くことだった。なかでも熊本では聞けなかったFEN(Far East Network)を聴くことができるのは嬉しかった。FENというのは駐留米軍向けの英語放送で、朝から晩までアメリカのヒット曲を流していた。2月のある日、ミョーな曲を聴いた。それが「I Want To Hold Your Hand(抱きしめたい)」だった。最初は奇声を発しているとしか思えなかった。その前年は「ヘイポーラ」、「ワンボーイ」、「アイ・ウィル・フォロー・ヒム」、「ブルー・ベルベット」など、甘ったるい曲が流行っていたので、かなり衝撃だったことは間違いない。その日以降、「I Want To Hold Your Hand」は毎日何回も聞かされることとなった。今でこそ「I Want To Hold Your Hand」もビートルズの名曲の一つに数えられているが、当時は音楽評論家と称する人の中にも酷評する人が結構いた。おまけにあのキテレツなヘアスタイルもあって「キワモノ」扱いする向きもあったほどだ。しかし、不思議なもので何度も聞かされていると段々耳にここちよくなってくる。最初は眉をひそめていた僕の先輩も、しまいには彼等の格好も含めて「可愛い…」と言い出す始末。いやはや、とんだ「ビートルズ元年」の想い出である。