徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

吉野宮ものがたり ~北原 香菜子~

2022-04-02 21:52:40 | 音楽芸能
 7年前、「くまもと全国邦楽コンクール」の各年度最優秀者による「邦楽新鋭展」において、第12回最優秀賞の薩摩琵琶奏者・北原香菜子さんが演奏した「琵琶経 ~3.11後の供養曲~」に感動した。その後、彼女がCD「吉野宮ものがたり」をリリースしたという情報を宮崎県諸塚村さんのサイトで知り、すぐに購入した。以来、何度も聴いているが、つい最近、諸塚村さんのフェイスブックにこの曲の映像が紹介されていた。素晴らしいロケーションの映像を楽しみながら聴くことができる。

 この曲は宮崎県諸塚村に伝わる悲劇の琵琶盲僧の話をもとに創作されたもの。南北朝時代(1337–1392)、吉野朝廷(南朝)から密命を帯びた琵琶盲僧が肥後へ向かう途中、九州山地の最奥、諸塚村境の峠で盗賊に襲われ命を落としたという。諸塚村ではこの盲僧を祀った吉野宮で500年にわたり、命日に「座頭神祭」を執り行い供養してきたという。

 「座頭神祭」には北原さんが現地を訪れて琵琶演奏をしていたそうだが、コロナ禍により今年を含め、3年続けて祭が中止になったことも映像公開のきっかけになったようだ。「座頭神祭」を以前のように開ける日が早く来ることを祈りたい。