徒然なか話

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隠し砦の三悪人 ~雪姫とは~

2017-03-23 23:23:06 | 映画
 今日、BSプレミアムで黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」をやっていた。もう何回観たろうか。何度観ても面白い。僕は黒澤監督の時代劇の中では「隠し砦の三悪人」が一番好きだ。
 この映画を初めて見た人が必ずと言っていいほど抱く違和感、実は僕自身も初めて観た時に感じたのがヒロインの雪姫のキャラクターである。あの異様な化粧、露出度の高い衣装、そして妙な口調のしゃべり方と声。何度も見ているうちにあまり感じなくなったものの、やはり、演じる上原美佐がヘタなのだろうとしか思っていなかった。
 ところが、最近、興味深い研究論文を目にした。実はあの雪姫のキャラクターは能を意識したものだというのだ。雪姫の顔は能面の「喝食(かっしき)」をイメージしたもので、無表情なのはそのせいだという。また、口調も能のようなしゃべり方になっており、鞭を打ったりする動作も能のように誇張して表現されているというのだ。
 黒澤監督と言えば、「虎の尾を踏む男達」、「蜘蛛巣城」、「影武者」、「乱」など、能楽の影響を受けた作品が多いことはよく知られているが、冒険大活劇のキャッチで公開された「隠し砦の三悪人」にも能の要素が入っているという認識は僕にはなかった。その雪姫の発散するエロチシズム。一見アンバランスなのだが、そこをあえて狙った黒澤監督はやっぱり凄い人なのかも。






【喝食】
 禅寺で、諸僧に食事を知らせ、食事の種類や進め方を告げること。また、その役目の名や、その役目をした有髪の少年。能では美しく、知恵や芸能に長けた若者の役に喝食の面を使用するという。