のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.947

2016-10-28 00:07:58 | 新しい子猫たち 








実は杉山自身は学閥の意識は少ない人だった













地方大学の医学部とは云え、京大出身の有名な教授に可愛がられ、早くから助教授にまで押し上げられ、この教授の尽力で 学会でも自由に活動できた。













この教授はやがて 出身の京大に教授として戻るが、それまでは、この地方大学の医学部の教授はあくまで京大出身との決まりを破ってこの教授の尽力で 教授になれた。













影でどれだけこの教授が尽力していたかは後で知った。この教授には親しい有名な教授が京大の基礎医学にいて、この人も動いていた。当時のこの地方大学の医学部で自学出身の教授は杉山だけだった。













この教授が定年退官した後は杉山を強力に後任の京大の教授として推したし、基礎医学の大物教授も強力に推薦して基礎医学をまとめた。













この基礎の大物はエンゼルホープジャパン病院の基礎医学研究所を作った人でもあって、杉山もこの人の推薦でエンゼルホープジャパン病院に入った













ただ神三郎は 杉山の遺伝子治療の理論も知っていて、エンゼルホープジャパン病院の遺伝子治療センターを作る元になった













学閥意識が少ないとしても 京大の看板を一度は背負っていたし、自分の出た、地方大学も可愛がっていた。













遺伝子治療センターは多くの大学、病院からも研究員を受け入れてはいたが、やっぱり京大と自分の出身した大学の卒業生は可愛がっていた。













それにクリスの医学的な才能も一番知っていたのも杉山だった。













ジブトラスト遺伝子研究センターの研究陣は当初 学閥はまったくなかった。もっとも当時は無名の研究所でもあったが、各大学出身が混在していた研究所だったが、東大出身の有名な教授を所長にしてから急速に東大閥に変わっていた。













主任研究員クラスには地方大学が多いのに、東大出身が幹部になりやすい傾向があった













香奈は学歴 学閥とは遠い存在だったが、香奈の両親は二人共 東大出身、旦那も東大出身、香奈自身も東大出身、息子も娘も東大出身と云う東大揃いだった。娘の瑠璃は中退ではあったが。













香奈にとって東大は普通の大学と云う意識しかなかった。現に香奈の家系では、ほとんどは東大に入っていた。アイツも珠美も東大だったが、それで優秀とはみんなは思われなかった。意識してどの学部ならドコドコと思う人だけ違う大学に言っていた。香奈の弟の勝は意識して東京工業大学に入っていた。













それでいて、学歴、大学を振りかざすのは止めろと言うのは、香奈の母の和子の影響だった













東大のアホを十分見てきたからではあったが、勝の奥さんの真理が地方の高校卒であるのを、みんなに意識される事を和子は恐れていて、大学とか学歴を言葉として振りかざすのを和子は酷く嫌がった。













それが香奈の家系に残る学歴、大学を意識するなと云う教えではあったが、実態としてはほとんどの人は自然の事として東大に入るのは普通だったし、香奈も東大は普通の大学と云う思いもあったのだ。













香奈が今の所長を単に自分に判りやすく説明してくれたと云う理由でたまたま空席となっていた所長の後任に据えた













遺伝子分析センターは各部門の権限は強くて、それほど影響はない筈との香奈の思いはあったが、やっぱり幹部になる時には所長の意見は効いていた。