のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.940

2016-10-21 00:00:04 | 新しい子猫たち 





奈津美は 香奈オフィスの利益が増えるのに従い。元々利益の一定比率との原則で膨張していく、奨学金の支出をいたずらに 眺めているだけではなかった







金額として予算をつけていくのか いままで通りの利益の一定比率と云う方針を維持するのかは 考えてはいた







香奈オフィスには、奨学金を貰った人のお礼の手紙 電話などの類が届いていたし、この支給を行う財団にも同様だった。今までの利益の一定比率を維持せずに 金額設定とすると実質的には減額ではあるし、逆に利益が減った時には 比率が上がってしまう事も恐れた







結局 利益一定比率を奨学金に充てる方針は維持した方が奈津美に対する非難は起きないと判断していた







瑠璃が社長退任の切っ掛けとなったのは 瑠璃のハゲタカぶりに対する業界の非難と云うよりは恐怖心が強くなって、元々香奈オフィスは 資源の中間的な売買、利権だったり、その現物だったするが、あくまで中間的な売買はかなりのウェイトを占めていたのが そのビジネスが やりにくいと云う懸念が社内で高くなって、香奈への直訴になっていた







奈津美の公明正大、少なくとも表面的には公明正大路線 が 香奈オフィスにとって今はいいと香奈オフィスの大勢は判断して、そうなった。







非上場の 香奈が作り、完全なファミリー企業の香奈オフィスではあったが、香奈は下からの声にはよく聞いた、社内民主主義はかなり徹底していた。英明な君主が絶対的な権力を持ち、社会の意見を良く聞き、社会の風遠しがいいと どんな民主主義にも優っていた。







一私企業に過ぎない 香奈オフィスが莫大な寄付を続けているのはどーか と云う意見は確かにあった。一方 香奈時代から続けてきた 奨学金制度で多くの人を助けた、その成果が今 利益となって返ってきているのかもしれない、少なくとも香奈オフィスの奨学金を貰っていた人たちは感謝すれこそ香奈オフィスに悪意は持たない筈だ、しかも今も利益は増えつつある。こんな時に従来の方針を変更すべき時ではないとの声があって、香奈は不思議にも香奈オフィス内の意見が 香奈直轄チームによって整理されて、入るようになっていたのだった。







奈津美は奈津美に近い人たちの奈津美派、主流派なるものも香奈オフィスで出来ていて、その人たちの意見でもそうだった。奨学金制度に対する批判は 瑠璃派ではまったくなかった。





それは特別奨学金を貰っていた奴らが瑠璃派の幹部たちに結構いたので当然と云えば当然だった。逆に奨学金減額を奈津美がすればどうなるかも当然考えた、元々強い勢力で瑠璃の社長退任を快く思っている筈のないグループだった。







奈津美が一定の利益比率維持をしてきた事の本当の理由はそこにもあった。ただ考えた挙句の維持ではなく、今までの方針を単に維持していただけの方がいいと奈津美は考えたというだけだった。