実は リトルチャもチャタロウも育種ビジネスそのものに 乗り気ではなかった
ただ動物愛護、つまり猫たちのために使うと云う大義のためなら辛抱できた
リトルチャもチャタロウも 今は金融センターの庭と言うか観光牧場の住んでいる 元 肉牛さんと仲良しになっていた。育種ビジネスとは聞こえはいいが 牛の遺伝子操作をして 美味しい肉を作るような仕事と思っていた。あの牛さんはなかなかイイやつで、色々と占いもしてもらった。あんな牛さんを殺して肉を取るのが育種と思うと気が重かった。
猫がトップの企業がそんな事をしてもいいんだろうかとの思いもあった
リトルキャット九州の社長とかお宝銀行の頭取にはナントナク 二匹の胸中が判った
リトルキャット内部では育種ビジネスの利益について話するのさえ 控えるようになった。
まして 育種ビジネスで儲けた金を他に転用する事はご法度になっていた
リトルキャット九州が買収した イギリスのハイテクソフト企業の時は 買収日時に余裕をもって現金を全額揃えるのが難しく、一時的に遺伝子分析センターのイギリスの子会社の金を少し使ってもらった、その口実に合弁会社の出資としただけだった
その後 この出資分は チャタロウグループで譲り受けたいと申し出たが 遺伝子分析センターの研究用のソフト制作にも協力してもらえるためにはその方がいいからといってそのままになったが、あくまで例外だった
二匹の胸中を察した最高幹部の姿勢がグループ全体にいきわたり、これが結果として リトルキャットグループとしての動物愛護運動の資金になった。資金は十分で世界中の猫たちを救うのだと思えば 育種ビジネスの後味の悪さが少しは緩和される気が 二匹の猫はしていた。