こだわり米専門店スズノブ 西島 豊造(五ツ星お米マイスター)の豊かに造ろう

様々な現実を見つめらがらも、日々を前向きに考えて進んでゆくためのブログです

判断は産地に

2016年09月07日 22時46分53秒 | Weblog


昨日、JAさがと最悪の話をしていた。
 
「JAさが」「最悪」というキーワードがあれば、自分の投稿を読み続けている人なら、何の話だったか想像できるかもしれない。
しばらく前に、今回の件について、既に投稿していたからだ。
 
自分が、初めて産地ブランド化を計画し、今まで何度もテレビ・雑誌などで紹介されていた、佐賀松浦のブランド「逢地」。
佐賀県で特A評価を連続でもらっているのは、この「逢地さがびより」。
誤解されている事が多いが、他の地区の「さがびより」ではない。
 
時間がかかったブランド米。
というか、頂点にたどり着くまでに、時間がかかり過ぎてしまったブランド米と言った方が、正しいと思う。
 
まだほとんどの人が知らなかった平成13年から、タンパク質含量とお米の食味との密接な関係に着目してスタートさせた「低タンパク栽培」。
低タンパクの方が食味が良いとは言われていたが、栽培でコントロールするという考え方は、まだ無かった。
しかし「逢地」ブランドは、お米に含まれるタンパク質を減らすための栽培研究を始めた。
周りからは「不可能」と言われもした。
しかし、「低タンパク栽培が可能であれば、お米が持つ本来の旨味を引き出すことが出来るはず」という考えから、失敗に失敗を重ね。
等級までも下がってしまう事も続き、生産者の生活にまでもしわ寄せが行ってしまった。
さらに新しい栽培方法にも挑戦し続けていった。
そして作り上げたのが、「品種のポテンシャルを、最大限にまで引き出す低タンパク栽培」。
佐賀県独自の新しい農法だった。
 
つまり「さがびより」の特Aは、この努力の上に存在した、逢地技術の集大成なのだ。
なのだが昨日は、その「逢地」ブランドの、これからについて話し合っていたのだ。
 
だから「最悪」なのである。
  
生産者の収入、産地の活性化、担い手問題、ブランド化計画の現実、ブランド米としての品質、流通改善・・・
色々なことを考え無ければならない時期に「逢地」は来ている。
それは、JAさがと進めている「伊万里深山米」「天川」「プレミア天使の詩」の3ブランドでも同様のこと。
さらに、佐賀県庁で進めている「佐賀米高品質化プロジェクト」についても同様のことなのである。
 
湧き上がってしまった現実は、綺麗ごとや理想論では解決できない。
自分の強引な考え方や計画は、昔とは違って、産地に迷惑をかけてしまうだけとなった。
必要があるから、産地の将来を考えてのことだった。
だから、きつくも当っていた。
昔なら、それでも付いてきてくれた。
でも今は、それは通用しない。
どんなに説得しても、自分に付いてきてくれる人はいない。 
 
もう自分の声は届かないという事は、既に数年前から確信していた。
全てが「むなしい提案でしかない」という事も判っていた。
それでも、1%以下しかない可能性を、ひたすら信じていた。
 
だから、決断できなかった。
全て判っていながらも、数年間、引っ張り続けていた。
 
自分としても思い入れが強い「逢地」。
それを「止める」。
Suzunobu Project Riceのラインナップの中から、「逢地」が消える。
 
それが自分にとって、どれほどのダメージになるかも理解している。
だから先延ばしをしていた。
でも、いつかは決断しなければならない。
なので今回、自分として決断した。
 
昨日は、佐賀県から、前担当も来てくれていた。
稲刈りが終わってから、「もう一度みんなと話し合って」とも言ってもらえた。
しかし自分が、話す内容、かける言葉が見つからないのだ。
見つけたとしても話せない。
「どうせ伝わらない」「どうせやってもらえない」という諦めの気持が、先に出てしまうから。

これからも、聞かれれば答えるし、ブランド化の手法も教えはする。
突き放したりはせずに、情報交換は続ける気持ちでいるが、すべては産地側の気持ちだろう。
 
後については、JAさが、JAからつ(旧佐賀松浦)、あうちの里の米生産研究会(35名)の判断に委ねる。
そして、「伊万里深山米」「天川」「プレミア天使の詩」の3ブランドについても、同じく判断を委ねる。
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気持ちがあるのなら

2016年09月07日 21時34分36秒 | Weblog


今日の午後、長崎県天草からJAあまくさと生産者が、「天草ブランド米」を作りたいという事で、自分に相談しに来た。
 
事前に、玄米でサンプルは送ってもらっていたこから、食味分析計でポテンシャルを調べて、さらに試食もしている。
今回送ってもらっているサンプルは「早期コシヒカリ」。
「コシヒカリ」以外に、「ヒノヒカリ」「にこまる」も栽培しているとのこと。
 
今まで一度もブランド化を考えたことが無いという、言葉通りの米粒。
ずば抜けて点数が高い成分も2つあったが、全体としては平均点を下回っている地力。
なのだが食味は、「早期コシヒカリ」としては平均点以上。

であるが、産地の現状を聞く限りでは、じっくりと計画を立ててから実行するとか、地力を復活させてから実行させるという余裕は無いようだ。
しかし、ブランドの「ブ」も知らない現状。
その中で、強引にブランド化をスタートさせて、同時に販売もしていくという、器用なことが可能なのか。

島根県弥栄では、確かに同時進行させて、もうじきブランド米としての販売が始まる。
ド素人からのスタートであったが、たった半年で、ブランド米としてのレベルにまで到達した。
 
現実としての事例はある。
しかし、島根県弥栄と長崎県天草とでは、基礎体力に大きな違いがあるし、スタートラインも違い過ぎている。
 
同じ考え方では、ブランド化は出来ない。
無理やりスタートさせても、途中でスタミナ切れを起こしてしまうのは明らか。
自分としては、「現段階での、消費地販売は厳しい」と思っている。
 
しかし、既に時間切れを起こしてしまっている産地。
助けるとしたら、この新米から動かすしかない。
今年の新米の販売結果から、ブランド化について検討してという余裕は無い。
 
「天草」という誰もが認知しているブランド名は、既にある。
お米は全然ブランドでは無い。
しかし、果物や野菜などではブランドを持っている。
そのブランド力を利用することは可能なのか。
リンクさせることが出来るか。
ド素人レベルに、Suzunobu Project Riceのブランド化シートが使いこなせるか。
 
シッカリと取り組めば、面白いブランド米となるとは思う。
出来れば、1段1段、階段を上るように育ててあげたい。
しかし、時間切れの中では、いくつもの段を飛ばさなければならない。
自分が係われば、やろうと思えば出来ない事ではない。
でももし失敗したら、産地を潰してしまう。
ハイリスク、ハイリターン。
 
焦らないことだ。
慌てないことだ。
まずは、ブランド化シートのチェック項目を、全て埋めてもらおう。
 
埋めることが出来れば、可能性は0%ではない。
0%でないのなら、後はコントロールだ。
他産地のブランド化のように、様子を見ながら実行することはしない。
初めから100%を超えるスピードで、ブランド化への実行をさせ続ければ、そのスピードが産地としては当たり前となる。
そのスピードが当たり前になれれば、いくらでも出遅れは取り戻せる。
 
無謀は十分承知。
天草ブランドを作るために、自分の力を使いたいというのであれば、やってもらうしかない。

※写真は、内容とは異なります
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もう一度

2016年09月07日 20時28分41秒 | Weblog


少し硬めに炊き上がった。

米質のせいなのか?
早炊きのせいなのか?

いずれにしても、もう一度炊いてみる必要はある。
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