以前『エンジェル・ウィスパー』(山科千晶著 メディアワークス刊)という物語を読んだ。
伝奇小説とファンタジーを融合させた長編ミステリーだが、作者の後書きの文章がとても印象的で忘れられない一冊。
「学生さんには、高い本でごめんなさい。
社会人の方々には費やした時間に見合った内容であればと心配です。
いつかまたお会いできることを楽しみに、明日からまた腕を磨きます。」
長い間の読書経験で、このように読者の懐具合を気遣ってくれたり、内容と消費時間に言及した後書きに出会ったのは初めてだったので、とても新鮮な感じがした。
確かに本の金額と内容と費やす時間が見合ってこそ、読者にとっての読書の喜びは倍増する。
山科千晶さんのような、この真摯な姿勢を忘れている流行作家たちは多いのではないだろうか?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/5d/39a20a557ca1f441c497526443fa81db.jpg)
一昨年『首挽村の殺人』で、第27回横溝正史ミステリ大賞を受賞した大村友貴美さんの『死墓島の殺人』(角川書店・08年8月刊)を購入した。
新進作家にとって、大賞受賞後の第一作目を発表するというのは、かなりの重圧がかかるだろうと思われる。
受賞作よりも優れた作品であればこそ作者の才能は認められ、数多くの読者を獲得し、流行作家への道が開かれる。
二十一世紀の横溝正史と絶賛された大村さんの『死墓島の殺人』に期待した。
不気味な連続殺人の謎解きと並行して、民間伝承や過疎問題・漁業問題、中年刑事の人生の苦悩などの多彩な伏線が満載だ。
この独特な物語の展開の仕方が作品の顕著な特色である。
しかしそれらが、事件となんら交錯することなく饒舌に語られるばかり。
伝奇的な島の歴史やそこに生きる人々の描写は、横溝正史風の雰囲気を醸し出してはいるが、耽美派と社会派の作風ががごちゃ混ぜになっていて奇妙で落ち着かない感じ。
意外な犯人、犯行動機に関しては、これは前作同様驚愕の大村ワールドの真骨頂だが、なぜか不自然で未消化な印象が拭えない。
辛口の批評になってしまったが.......
作者の大村友貴美さん、実はご当地在住作家。
作家という人種を敬愛してやまない私。
我が家の近くにお住まいなので、こっそりお宅拝見に行ったこともあるし、知人に頼んでちゃっかり著書にサインも頂いている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/12/4bca7a598ad5b25253a7dda4fd99df59.jpg)
『○○○の殺人』及び冴えないオヤジの藤田警部補シリーズが、もっともっと面白くなって今後も引き続き発表されることを期待する。
私は、大村友貴美さんの名前が、日本ミステリー界に名を残す存在になって欲しいと強く願う応援団のひとりなのだ。
伝奇小説とファンタジーを融合させた長編ミステリーだが、作者の後書きの文章がとても印象的で忘れられない一冊。
「学生さんには、高い本でごめんなさい。
社会人の方々には費やした時間に見合った内容であればと心配です。
いつかまたお会いできることを楽しみに、明日からまた腕を磨きます。」
長い間の読書経験で、このように読者の懐具合を気遣ってくれたり、内容と消費時間に言及した後書きに出会ったのは初めてだったので、とても新鮮な感じがした。
確かに本の金額と内容と費やす時間が見合ってこそ、読者にとっての読書の喜びは倍増する。
山科千晶さんのような、この真摯な姿勢を忘れている流行作家たちは多いのではないだろうか?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/5d/39a20a557ca1f441c497526443fa81db.jpg)
一昨年『首挽村の殺人』で、第27回横溝正史ミステリ大賞を受賞した大村友貴美さんの『死墓島の殺人』(角川書店・08年8月刊)を購入した。
新進作家にとって、大賞受賞後の第一作目を発表するというのは、かなりの重圧がかかるだろうと思われる。
受賞作よりも優れた作品であればこそ作者の才能は認められ、数多くの読者を獲得し、流行作家への道が開かれる。
二十一世紀の横溝正史と絶賛された大村さんの『死墓島の殺人』に期待した。
不気味な連続殺人の謎解きと並行して、民間伝承や過疎問題・漁業問題、中年刑事の人生の苦悩などの多彩な伏線が満載だ。
この独特な物語の展開の仕方が作品の顕著な特色である。
しかしそれらが、事件となんら交錯することなく饒舌に語られるばかり。
伝奇的な島の歴史やそこに生きる人々の描写は、横溝正史風の雰囲気を醸し出してはいるが、耽美派と社会派の作風ががごちゃ混ぜになっていて奇妙で落ち着かない感じ。
意外な犯人、犯行動機に関しては、これは前作同様驚愕の大村ワールドの真骨頂だが、なぜか不自然で未消化な印象が拭えない。
辛口の批評になってしまったが.......
作者の大村友貴美さん、実はご当地在住作家。
作家という人種を敬愛してやまない私。
我が家の近くにお住まいなので、こっそりお宅拝見に行ったこともあるし、知人に頼んでちゃっかり著書にサインも頂いている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/12/4bca7a598ad5b25253a7dda4fd99df59.jpg)
『○○○の殺人』及び冴えないオヤジの藤田警部補シリーズが、もっともっと面白くなって今後も引き続き発表されることを期待する。
私は、大村友貴美さんの名前が、日本ミステリー界に名を残す存在になって欲しいと強く願う応援団のひとりなのだ。
毎日、中毒のように読み耽ってました。
かなり性格的にも影響を受けた方です。(*^-^)
この大村友貴美さんですが、
現代の横溝正史と言われるとワクワクしますね。
また昔が蘇るようです。
この辛口批評でちょっと怖気づいた気がしますが、
今後のご活躍を期待します。
例によってまた、揚げ足取りみたいで申し訳ありませんが、この呼称って…。
よくは知りませんが、そもそも横溝正史って、「現代の」作家ではないのでしょうか?
このキャッチを考えた業界の人は、「横溝正史の再来」とか言いたかったのでしょうか?
「歩く辞書=walking dictionary」「生ける屍」「和製リチャード・ギア」「日本のアルプス」「人間発電所」「お人形さんみたい(に可愛い)」
辞書は普通は歩かないし、屍は死んでいる、リチャードは日本人じゃない。だからこそこれらの修辞には意味があるはずです。
nihao さんのご主張の要点でもある「(サービス業を意識した)プロの矜持・覚悟・姿勢」そのものにも強く共感いたしますがそれに関連して、いつも言っていることですが言葉や文章を商売道具にしている(はずの)プロ達の不勉強と意識の低さが、日本語をダメにしている元凶だと思います。「政治家」も或る意味、言葉が武器だと思うんですが、その親玉があの体たらくですしねえ…。
因みに私が一番好きなキャッチフレーズはこれです。
「女子プロレス最強の男(神取忍)」
「先生」になってしまった(してしまった)のはどうかと思いますが、飲みに行ったら「いいやつ」なんだろうなあ、とは思います。格闘家としては一流でしたし。
性格的に影響を受けたって?
え~っ、一体どんな風に?八つ墓村風?(笑)
私もたくさん読みましたよ。見事にはまりました。
あの錦絵のような絢爛豪華な文章で綴られるおどろおどろしい世界。今でも大好き!
大村さんの作品は、本格推理の手法が横溝正史風です。
ちょっと辛口の批評だったけれど、今後もっともっと頑張って欲しいというエールのつもりです。
先ずはお詫び申し上げます。
「現代の横溝正史」ではなくて「二十一世紀の横溝正史」の間違いでした。
私のうろ覚えによるミスでした。本文の方も訂正しておきますね。
指摘されなければ全然わからない重要なミスでした。
まあ、どちらにしても大袈裟な表現で、横溝正史ほどの才能を持った人が現れる筈はないのです。
それにしても、文章の隅々まで神経を払って読んでくださっているのですね。
闘魂さんの注意力の凄さは、横溝正史の世界より恐怖です(笑)
>「女子プロレス最強の男(神取忍)」
なるほど、キャッチフレーズとはこのように作るものですか。
まさに横溝正史っぽい、おどろおどろした雰囲気の物語でしたが、
登場人物の個性が今ひとつ。。。と思ったような記憶が。。。
でも、表紙は、読書欲をそそりますね。
私も、自分のブログで、ついつい面白くなかった、
と書いてしまうことがありますが、
それは著者を批判しているのではなくて、
ただ、自分の好みではなかっただけのこと。。。
nihaoさんのように、渇!を入れる記事も、
ファンとしては、大切なのかも。。。
地元の作家さんなら、応援したくなりますよねー。
確か満足度は低かったような.......。
私は『首挽村の殺人』は、横溝正史賞にふさわしいよい作品だと思い、第二作が出るのを期待して待っていたんですよ。
でもなんだか期待外れで、つい辛口批評になってしまいました。
でも大村女史は、類を見ない個性的な作風の作家ではあると思います。
映画にしたら面白いかも。
地元作家だし頑張ってほしいです。
ミステリーの愛読者って皆、かなりの量の作品を読んでいるから、作品の好みもはっきりしているし、作品の良し悪しを判別することもできますよね。
娯楽小説なのだから楽しめない作品はダメです。
って書いてあるのに和尚様は何を
勝手に「現代の」なんてデフォルメして批評
なんかしてるんやろ?と思ったら・・・
原文は現代のだったということですか(^^)
推理小説といえば東野圭吾の作品の映画化
で観た「容疑者Xの献身」はちょっと泣けてよかったです
文章を書く時は、もっと注意を払わなければいけませんね。
よそから引用する場合などは、特に気をつけなくては。
『容疑者Xの献身』は、私もつい最近DVDで見ました。
原作も読んでいたので、最初からトリックがわかっていて「しまった!」と思いました。
ミステリー映画だけは、先に原作を読まない方がいいですね。
それにしてもこの映画は、ミステリーのジャンルを超えた人生ドラマ、見応えがありました。
堤真一さんは、数学教師石神の役を大変見事に演じきっていましたね。
あの映画でキラリと光ったのは福山雅治でも
柴咲コウでも松雪泰子でもなくて堤真一でしたね
自分にはなんの関わりもないことに
自らの存在を堵して大切なものを守ると
いうこと
そしてそれで十分満足だったはずなのに
花岡靖子の告白に「な、何を言ってる
んだ・・」とたじろぎながらも
最後には泣き崩れる石神が人間として
逆に救われるシーンには涙してしまい
ましたね。人間の心情の奥底を垣間見た
映画に感動いたしました
本日、nihaoさんの記事『黄金のレシピ』を
無断でリンクさせて頂きました。
ひとことお知らせしなかったことを
お詫びいたします。
よろしければ見てやってくださいね。